Category: 監視ツール編
2022.05.12
目次
自社の要望にマッチする監視ツールは?製品の特長を解説
システムを安定稼働させ、自社のサービスを健全に運営するためには、アプリケーションやサーバー、ネットワーク機器など、システムを構成する機器・ソフトウェアが正常動作している必要があります。
それらの正常動作を定期的にチェックし、異常が発生したら速やかに検知・通知を行う役割を担うのが監視ツールです。監視ツールを導入することで、サービスへの影響を最小限に留め、迅速に必要なアクションを取ることが可能です。
本記事では、監視の概要と重要性を踏まえて国内外の主要監視ツール7製品の概要と、比較時のポイントについて解説します。
1. 監視ツールとは
監視ツールはシステムの安定稼働のために重要ですが、なぜ重要なのでしょうか。まず監視の概要と重要性について解説します。
1.1 監視とは
監視とは、システムを構成するアプリケーションや、サーバーなどのインフラに対して、定期的にそれぞれの稼働状況をチェックすることを指します。アプリケーション、インフラに異常が発生した場合は速やかに検知、通知を行い、原因特定の支援を行うなど、システム安定稼働のために重要な役割を担う機能です。
1.2 監視ツールの重要性
監視ツールとは、監視を行うためのツールです。システムの安定稼働を目的とした重要な仕組みであり、主に下記の機能を提供します。
- メトリクスの収集
- 状態の判定
- 障害発生時の通知
- 障害発生時の「原因特定」
サーバー監視を行わないと障害の拡大や二次災害を引き起こし、障害復旧に時間を要することになるため、安定かつ継続的にサービス提供するためには必須の仕組みと言えます。
2. 監視ツール運用時のよくあるお悩み
監視ツールは製品によってさまざまな特徴がありますが、下記のような運用上のお悩みの声が聞かれます。
- UIが使いづらく運用負荷が高い
- 十分なサポートが受けられない
- さまざまな監視対象(異なるOS、クラウド)を1つのツールで監視できない
- 拠点ごとに別々の監視ツールがあり効率が悪い
2.1 UIが使いづらく運用負荷が高い
UI(ユーザインターフェイス)が使いづらく操作に時間がかかり、迅速な障害対応ができないなど、エンドユーザからの問い合わせ対応負荷が高い場合があります。
2.2 十分なサポートが受けられない
利用中の監視ツールの有償サポートでは障害解決のための十分な情報が得られず、社内の調査工数が膨れ上がるといった声が聞かれます。
2.3 さまざまな監視対象(異なるOS、クラウド)を1つのツールで監視できない
システムを構成する製品はさまざまなベンダーから販売されています。異なるベンダー機器やOS、クラウドやコンテナなどをまとめて監視したいという声があります。
2.4 拠点ごとに別々の監視ツールがあり効率が悪い
システムを複数拠点で管理している企業では、拠点ごとに異なる監視ツールが稼働しており、管理や保守が煩雑になりがちです。監視ツールを統合して効率を上げたいが、個々の拠点ごとの監視も行いたいといった悩みがあります。
3. 監視ツール比較のポイント
監視ツールを選定する際は、どのような点に気を付けて比較すればよいでしょうか。監視ツール比較のポイントは下記の通りです。
- 監視状況の可視性・見やすさ
- 導入前検証や導入時、導入後のサポートの厚さ
- 監視対象範囲の広さ・柔軟性
- 複雑・大規模な環境をマルチテナントで監視できるか
3.1 監視状況の可視性・見やすさ
コンソール・グラフをカスタマイズできるなど、監視状況が見やすく工夫されているかどうかがポイントです。実際の運用に合わせて柔軟にカスタマイズできると運用効率の向上を期待できます。
3.2 導入前検証や導入時、導入後のサポートの厚さ
事前検証、監視設定移行、稼働後の不具合修正、バージョンアップ、独自機能追加などをサポートしてくれるかがポイントです。導入時だけでなく、利用していくにあたって継続的な安心できるサポートがある監視ツールを選ぶことが重要です。
3.3 監視対象範囲の広さ・柔軟性
異なるベンダーの機器やOSクラウドやコンテナなど、プラットフォームを問わず柔軟に監視可能かどうかがポイントです。近年のクラウド化の広まりに伴い、プラットフォームを問わず監視できることは重要です。
3.4 複雑・大規模な環境をマルチテナントで監視できるか
監視システムのスケールや分散監視の容易さやマルチテナント対応かどうかがポイントです。複数拠点を構える大企業では、拠点を一元管理でき、拠点が増える場合でも監視できることは重要です。
4. 主要な監視ツール7選
監視ツールは多くのベンダーが開発・販売を行っています。ここでは、国内外で利用されている主要な監視ツールの概要と特徴を解説します。
4.1 Zabbix
製品の概要
Zabbixは、Zabbix社が開発を行っているOSS(オープンソースソフトウェア)ベースの統合監視製品です。監視に必要な機能をオールインワンパッケージで提供しています。20年以上の歴史を持ち、OSSの監視ツールとしてはデファクト・スタンダードとして知られている製品です。
製品の特長とメリット・デメリット
Zabbixはエージェント型の製品で、監視に必要な機能は一通り揃っており、国内外での実績も豊富です。RDBMS(データベース)との連携により、監視データの蓄積と柔軟な活用が可能です。専門書籍や日本のZabbixユーザー会等のコミュニティが充実しており、情報を得られやすい点はメリットですが、エージェント型で、サーバーやRDBMSの導入も必要であることと、多機能であるがゆえに導入難易度は高いと言えます。
4.2 Prometheus + Grafana
製品の概要
OSSベースで、PULL型の監視ツールであるPrometheusと、グラフ化などデータ可視化を担うGrafanaを組み合わせて利用する方式です。
製品の特長とメリット・デメリット
Prometheusは導入が容易で、コンテナやクラウドなどスケールするプラットフォームのリソース監視を得意としています。Exporterと呼ばれる追加のツールを導入することで、リソースだけでなく、死活監視やポート監視、ログ監視なども可能になります。システムを網羅的に監視することは難しいですが、Grafanaにより折れ線、円、ピクトグラムなどさまざまな形式のグラフ化が可能で、視覚的に見やすい画面にカスタマイズすることができます。
4.3 Nagios + Cacti
製品の概要
OSSのネットワーク監視ツールであるNagiosと、Webベースでリソース監視を行うCactiを組み合わせて利用する方式です。
製品の特長とメリット・デメリット
Nagiosはプラグインが豊富で、プラグイン追加により機能強化できることが特徴です。CactiはWebブラウザ上で動作するためシンプルで使い勝手が良いという特徴があります。プラグインの導入が必要となる機能もありますが、比較的柔軟に機能追加・強化が可能な組み合わせです。ただしコンテナなどには一部未対応であることと、OSSベースであるがゆえにサポートの充実度が低いことがデメリットです。
4.4 Hinemos
製品の概要
Hinemosは、NTTデータが開発を行うOSSの統合運用監視ツールです。システムの統合運用監視に必要な、ジョブ管理及び監視機能をオールインワインパッケージで提供しています。複数のシステムを単一のコンピューターのようなイメージで、一元的な運用管理を行うことができます。
製品の特長とメリット・デメリット
システムの統合運用監視に必要な機能をオールインワンパッケージで提供している製品であり、監視に必要な機能を網羅しており、幅広い仮想化・クラウド環境に対応しています。また、日本製であるため、各種機能、インターフェース、マニュアル等のドキュメント類、サポート等の各種サービスは全て日本語で提供されているため使い勝手が良いこともメリットですが、オールインワンであるため導入難易度は高めです。
4.5 Pandora FMS
製品の概要
Pandora FMSは、OSSベースの監視ツールで、監視・通知・グラフ表示・インシデント管理など運用監視に必要な機能をオールインワンパッケージで提供している製品で、OSS版と、商用版のPandora FMS Enterprise があります。また、商用版をベースにアールワークス社が独自開発した機能を搭載したPandora FMS Enterprise SaaSがあります。
製品の特長とメリット・デメリット
数千台規模の監視対象を一元管理できるメタコンソールや、監視システムのHA構成や分散監視など、大規模環境向け機能が充実した製品で、マルチテナントにも対応しています。商用版ではOSS部分を含めたサポートを受けられるほかコストパフォーマンスにも優れています。また、SaaS版は10年以上の開発実績とOSSコミュニティによる安心かつ迅速な製品改善を継続しており、監視システム自体の保守が不要というメリットもあります。
4.6 HP Network Node Manager i-series software(NNMi)
製品の概要
HP NNMiは、HP製のネットワーク監視製品で、SNMPを採用し、ネットワーク全体をビジュアルなマップで表現する視覚的に見やすいUIで集中管理を行う製品です。主に大規模システムのネットワーク監視に用いられます。
製品の特長とメリット・デメリット
基本的にはネットワーク機器の監視や、サーバーの死活監視に特化した製品であり、ビジュアルが見やすくネットワーク全体の状況を可視化して効率よく監視することが可能です。ただし単独でログやアプリケーションレベルの監視はできません。また、細かい設定・チューニングが可能であり、厳しい要件に対して柔軟に対応できる反面、導入難易度が高い商用製品であり、ライセンスや保守費用が高価であることもデメリットです。
4.7 IBM Tivoli Network Manager
製品の概要
IBM Tivoli Network Manager は、IBM製の統合運用監視ソリューションのひとつで、25年以上の歴史を持ち、主に大規模システムの監視に用いられている製品です。金融や基幹系などの大規模システムを中心に実績も豊富な製品です。
製品の特長とメリット・デメリット
基大規模な基幹システム向けに作られた製品であるため、大規模システムに必要な監視機能は一通り揃えており、細かい設定・チューニングが可能な反面、導入難易度が高い製品です。また、基幹向けであるため、小規模なシステムやWebサービスに関する監視は苦手です。また、商用製品であり、ライセンスや保守費用が高価な点もデメリットです。
5. まとめ
監視ツールは多くのベンダーから販売されていますが、企業によって監視に求める機能・要件は異なりますので、自社の要件を適切に定義・把握してそれに見合った監視ツールを選定することが重要です。本記事で紹介した7製品の詳細な比較をホワイトペーパーとしてご提供していますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
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Tag: Cacti Grafana Hinemos HP Network Node Manager i-series software(NNMi) IBM Tivoli Network Manager Nagios Pandora FMS Prometheus Zabbix 監視ツール比較
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