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VMwareからHyper-Vへの移行を判断する際の5つの視点、移行ツールを紹介

Category: 入門編

2025.08.21

移行ステップや注意点も解説

VMware から Hyper-V への移行は、コストを抑えたい企業やライセンス管理をシンプルにしたい企業にとって有効な選択肢です。Hyper-V が自社に適しているかどうかを判断するためには「どのような視点で判断すべきか」を事前に理解する必要があります。

本記事では、 VMware から Hyper-V への移行を判断する際の 5 つの視点や移行ツールなどを紹介します。VMware から Hyper-V への移行ステップや注意点についても解説しますので、参考にしてください。

1. VMwareからHyper-Vへの移行を検討する背景・メリット

VMware から Hyper-V への移行は、Microsoft が提供するツールなどを活用することで実施可能です。代表的なツールとしては、System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)があります。ここではまず、 VMware から Hyper-V への移行を検討する背景やメリットについて解説します。

<VMwareからHyper-Vへの移行を検討する背景・メリット>
VMwareからHyper-Vへの移行を検討する背景・メリット

コストを抑えるため

VMware の場合は、仮想化ソフトウェア( ESXi 、 vCenter など)に対して個別のライセンス購入が必要なため、初期費用が高額になりやすい傾向があります。

一方、 Hyper-V は、 Windows Server に標準搭載されている仮想化ソフトウェアです。Windows OS のライセンスがあれば追加費用なしで利用できるため、コストを抑えやすくなります。

複雑化したライセンス管理をシンプルにしたいため

VMware は Broadcom による買収後、ライセンス体系が大幅に変更され、サブスクリプションモデルへの移行が進んでいます。どのライセンスを契約すべきかが分かりづらく、ライセンス管理が煩雑になっています。

Hyper-V は、 Windows ライセンスの一部に組み込まれているため、ライセンス体系が比較的シンプルで管理しやすいのが魅力です。

サポート体制に不安を感じているため

Broadcom による買収後、 サポート体制に対する不安の声が多く聞かれます。サポート契約の内容や提供体制が変更される可能性があることが主な理由です。

Hyper-V は Microsoft の正式な製品であり、 Microsoft のサポート窓口を通じて一貫したサポートを受けられるメリットがあります。

2. VMwareからHyper-Vへの移行を判断する際の5つの視点

<VMwareからHyper-Vへの移行を判断する際の5つの視点>
VMwareからHyper-Vへの移行を判断する際の5つの視点

VMware から Hyper-V への移行を検討する際は、下記の 5 つの視点を踏まえて慎重に判断することが重要です。

仮想化に必要な機能要件を整理する

自社で現在利用している仮想化機能を洗い出し、 Hyper-V でも同等の機能が利用できるかを確認します。Hyper-V は、ライブマイグレーションやリソースの自動最適化など、基本的な仮想化機能を標準装備していますが、自社の要件をすべて満たせるかどうかを精査しましょう。

使用しているアプリケーションがHyper-V上で動作するかを確認する

業務で使用しているアプリケーションが、 Hyper-V 上での動作を公式にサポートしているかどうかも確認しましょう。特に仮想アプライアンス形式で提供されている製品や、特定の仮想基盤に依存するミドルウェアなどは Hyper-V に対応していないケースもあるため確認が必須です。

社内にHyper-Vを扱える体制・スキルがあるかを確認する

Hyper-V は Windows Server と密接に連携して動作するため、 Windows Server や Active Directory の運用経験があれば比較的スムーズに対応できますが、VMware とは運用方法や管理ツールの設計思想が異なります。社内に Hyper-V を扱える体制・スキルがあるかどうかも確認しましょう。

AD(Active Directory)との整合性を考慮する

Hyper-V は、基本的に Active Directory との連携が推奨されているため、自社の AD 環境との整合性を確認することもポイントです。特に AD を導入していない小規模構成や、 Linux 主体の環境では、 AD 構築や管理負荷の増加がネックになる可能性があるため注意する必要があります。

ライセンス形態・運用コストが適切かどうかをシミュレーションする

Hyper-V と VMware のどちらがよりコスト最適化につながるかをシミュレーションします。現在の仮想マシンの数や将来的な拡張計画、仮想マシンごとの OS 構成などを踏まえたうえでシミュレーションしましょう。特に Windows Server が中心の企業の場合、追加のライセンス費用がかからないため Hyper-V の方がコストを抑えやすくなります。

3. VMwareからHyper-Vへの移行ステップと移行ツール

続いて、 VMware から Hyper-V への移行ステップと移行ツールについて解説します。

VMwareからHyper-Vへの移行ステップ

VMware から Hyper-V への移行は、下記の 4 ステップで進めることが可能です。

1. 現行環境の棚卸しと要件整理

移行対象となる仮想マシンの数やスペックなどを把握し、要件を整理します。

2. 移行前検証とツールの選定

PoC 環境を構築して検証を実施します。移行をスムーズに進めるには、移行ツールの活用がおすすめです。

3. 運用設計と体制整備

監視・バックアップ・セキュリティ対策などの運用設計と体制構築を実施します。

4. 段階的な移行と動作検証

業務影響の少ない仮想マシンから段階的に移行を進めます。

代表的な移行ツール

VMware から Hyper-V へ移行する際に使われている主なツールは、下記の 3 つです。

移行ツール 概要
System Center Virtual Machine Manager Microsoft が提供する仮想化管理ツール。移行後も Hyper-V 環境の統合管理に活用可能。
StarWind V2V Converter StarWind Software 社が提供している無料のツール。同社の Web サイトからダウンロードすることが可能。
Zerto Hewlett Packard Enterprise( HPE )が提供している移行支援ツール。VMware や Hyper-V 、クラウド( AWS、 Azure )など、異なる環境間での移行が可能。

4. VMwareからHyper-Vへ移行する際の注意点

VMwareからHyper-Vへ移行する際は、下記の 3 点に注意する必要があります。

<VMwareからHyper-Vへ移行する際の注意点>
VMwareからHyper-Vへ移行する際の注意点

PoCの結果を過信せず、本番相当の条件で再検証する

PoC フェーズでは、限られた台数・範囲で検証するケースが多く、本番と完全に同一の条件ではないケースがほとんどです。本番では想定以上の負荷や制約が生じる可能性があるため、 本番環境に近い構成で検証を行うことが重要です。

移行後のサポート体制(社内・外部)を確認する

Hyper-V の環境に移行した後のサポート体制(社内・外部)も確認しておきましょう。特にトラブル対応や日常運用を支える体制が整っているかどうかが確認すべきポイントです。

社内に 人材が不足している場合、あらかじめ Microsoft パートナーや SIer とのサポート契約を締結することをおすすめします。これにより、移行後の安定運用と迅速な障害対応が可能になります。

事前に段階的な移行計画と切り戻し戦略を策定する

すべてのシステムを一気に Hyper-V へ移行するのではなく、業務への影響が少ない範囲から段階的に移行を進めるアプローチが現実的です。万が一 Hyper-V で想定通りに動作しなかった場合に備えて、 VMware 環境に切り戻せるようなバックアッププランやリストア手順を準備することもポイントです。

5. まとめ

VMware から Hyper-V へ移行することで、コストを抑えたり、ライセンス管理をシンプルにしたりなど、さまざまなメリットを享受できます。移行を検討する際は、自社システムとの互換性や社内スキル、移行後の運用体制などを含めて慎重に判断する必要があります。

Rworks では、 PoC 支援から本番移行、運用まで一貫して支援することが可能です。VMware からの移行を通じてコスト削減に貢献した実績も豊富にあるため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

Tag: Hyper-V

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