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ランサム攻撃の現実を可視化、被害拡大を防ぐための運用の要点とは
サイバー攻撃のなかでも、企業を標的とするランサムウェア攻撃は被害が深刻化しています。ファイルやサーバーを暗号化し、業務を停止させたうえで身代金を要求するこの攻撃は、もはや大企業だけの脅威にとどまりません。
セキュリティ専門人材や運用リソースが限られる中小企業や自治体でも被害が相次いでいます。背景には、リモートワークやクラウド利用の拡大による防御範囲の複雑化、そして日常運用の形骸化があります。
本記事では、ランサム攻撃の仕組みと被害構造を整理し、運用を軸にした現実的な防御とリスク低減の方法を解説します。
1. ランサムウェア攻撃とは
近年、企業を狙うサイバー攻撃で最も深刻化しているのがランサムウェア攻撃です。IPA (情報処理推進機構)が公表した「情報セキュリティ10大脅威 2025」でも、企業に対する脅威の上位としてランサムウェアが取り上げられており、その危険性は年々高まっています。ここでは、ランサムウェア攻撃の仕組み、特徴、企業が狙われやすくなった背景を解説します。
ランサムウェア攻撃の基本構造
ランサムウェアは、感染したシステム内のファイルを暗号化し、解除と引き換えに金銭を要求するマルウェア(悪意のあるソフトウェア)です。支払いには追跡されにくい仮想通貨が使われることが多く、支払っても追加要求がある例も存在します。近年はネットワーク全体を同時に暗号化する手法が増え、復旧には多大な時間とコストを要します。
ランサムウェアによる具体的な攻撃手法
初期は無差別攻撃が中心でしたが、現在は企業の弱点を事前に調査する「標的型攻撃」が主流です。さらに、暗号化に加えてデータ窃取で脅す「二重脅迫型」、取引先にも影響を広げる「三重脅迫型」へと進化しています。これらは分業化した犯罪組織が実行しており、攻撃ツールや盗取データが闇市場で取引されるなど、サイバー犯罪のビジネス化が進んでいます。
企業のIT環境が狙われやすくなった背景
リモートワークやクラウド利用の拡大により、防御範囲は複雑化しています。監視やパッチ適用が追いつかず、バックアップ体制も不十分な企業も少なくありません。特に運用リソース不足が深刻な中堅・中小企業は格好の標的です。ランサムウェア対策は、セキュリティ製品の問題を超えた運用課題となっています。
2. ランサム攻撃の手口と侵入プロセス
企業が受けるランサムウェア攻撃の多くは、単発の感染ではなく複数段階で巧妙に仕組まれています。ここでは、代表的な感染経路と、攻撃者がどのように社内システムを掌握していくのかを解説します。
ランサム攻撃の感染経路
最も多い侵入口は、添付ファイルや誘導URLを通じたフィッシングメールです。そのほか、 VPN 機器や Web アプリの脆弱性を突いた侵入、 RDP (リモートデスクトップ)の不正ログイン、クラウドストレージの誤設定悪用も増加しています。これらはいずれも、人的ミスや設定の甘さを突く手法です。
ランサム攻撃の攻撃プロセス
侵入後、攻撃者は痕跡を隠して潜伏し、社内の別のサーバーなどに移動して管理者権限を奪取します。そのうえで重要データを暗号化し、同時に外部へ持ち出して保管するケースが一般的です。バックアップからの復旧が可能でも、情報公開を盾に要求が行われます。自動化ツールにより侵入から暗号化までの速度が速くなり、検知前に被害が拡大する傾向が強まっています。
実際の攻撃事例
国内外で製造業、医療機関、自治体など多様な業種が被害を受けています。 2024 年 6 月の KADOKAWA (ニコニコ動画)では、ランサムウェア攻撃により約 1.5TB のデータが窃取され、動画配信や出版事業が停止しました。原因として監視やバックアップ体制の不備が指摘されており、運用上の隙を突かれた典型的な事例といえます。
3. ランサム攻撃の影響と被害リスク
ランサム攻撃は、単なるセキュリティ事故ではなく、事業継続に直結する重大な経営リスクです。その被害がどのように表れ、企業にどのような影響を及ぼすかを整理します。
業務停止と経営への影響
ランサム攻撃を受けると、基幹システムやファイルサーバーが暗号化され、業務が全面的に停止するおそれがあります。顧客対応や出荷、会計などの日常業務が機能せず、売上損失や取引停止に発展するケースも少なくありません。復旧作業に時間を要することで、従業員の稼働やサプライチェーン全体に影響が及びます。
情報漏えいと信用失墜
暗号化と同時にデータを窃取する「二重脅迫型」の場合、顧客情報や設計データが外部に流出するおそれがあります。情報公開を盾にした脅迫を受ける企業も多く、取引先や利用者の信頼を損ねることで、長期的なブランド毀損につながります。また、法的対応や報告義務への対応負担も大きくなるでしょう。
復旧コストと被害後対応の難しさ
暗号化されたデータの復旧には多大な時間と費用がかかり、システム再構築や被害範囲の調査を経なければ再稼働できません。感染範囲が広い場合は安全性の確認が必要で、復旧が遅延しがちです。身代金を支払っても完全復旧の保証はなく、追加要求を受ける例もあります。そのため、再構築やバックアップ復旧に基づく「早期復旧体制」の整備が極めて重要です。
4. ランサム攻撃を防ぐための運用対策
高価なセキュリティ製品を導入しても、日々の運用が追いついていなければランサム攻撃は防げません。ここでは、被害防止と、万が一の際の影響最小化に必要な運用対策を解説します。
監視の強化
不審なログインや通信を早期に検知する仕組みが不可欠です。特に、監視が手薄な夜間や休日に攻撃が発生しやすいため、 24 時間監視や自動アラートが有効です。クラウドやリモート接続まで含め、全体を継続的に監視する必要があります。
バックアップ運用
バックアップは取得するだけでは不十分で、定期的なリストア検証が重要です。オンラインとオフラインの多重バックアップを組み合わせ、ネットワーク経由で感染が広がらないセキュアな設計にすることが求められます。保存先や世代管理を明確にし、復旧時間( RTO )を想定した運用を行います。
パッチ管理と脆弱性対応
OS ・ミドルウェア・ VPN 装置などの脆弱性を突かれるケースは多いため、更新を後回しにせず、影響範囲を踏まえて優先度を決め、適用することが重要です。脆弱性情報を定期的に確認し、パッチ適用の手順を整備しておくとよいでしょう。
復旧体制の確立
攻撃を完全に防ぐことは困難です。だからこそ、被害発生時に業務を継続できる「復旧手順」「代替運用」の準備が欠かせません。システムごとに復旧優先度を定め、切替手順を整えておけば、被害を最小限に抑えられます。最終的には「運用で復旧できる体制」が最大のリスク対策となります。
5. まとめ
ランサム攻撃は今や特定業種に限らず、中堅・中小企業や自治体でも日常的なリスクです。攻撃を完全に防ぐことは難しく、「被害を受けても業務を継続できる運用体制」を構築することが防御の鍵となります。
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