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HCXの制約故のユースケースと考えられる選択肢
VMware HCX は、オンプレミスの VMware 環境にある VM (仮想マシン)を、クラウド上や別拠点の VMware 環境へスムーズに移行するツールです。
HCX では用途に応じた複数の移行方式を選択できるため、安全かつ効率的なクラウド移行を実現できます。 Azure や AWS などのパブリッククラウドの VMware 環境を移行先とすることで、ハイブリッドクラウド環境構築の第一歩としても利用可能です。
しかし、 HCX での移行は、今後も VMware 基盤への依存が残る点に注意が必要です。 VMware のライセンス体系が変化するなかで、他社クラウド基盤やクラウドネイティブ環境への移行も含め、広い視野での検討が重要となっています。本記事では、 VMware HCX の基本概念からメリット、そして現在の市場環境を踏まえた今後の選択肢について解説します。
1. VMware HCXの基本概念
VMware HCX は、異なる VMware 環境同士を安全かつ効率的に接続し、 VM (仮想マシン)の移行を支援するツールです。
通常、オンプレミスの VM をクラウドや別のデータセンターに移行する場合、 IP アドレス変更やハイパーバイザーの互換性問題など、多くの課題が発生します。特に大規模な移行プロジェクトでは、システム停止時間の発生やネットワーク切替作業の複雑化により、業務影響の最小化が困難です。
HCX を利用すれば、物理的なデータセンター間やクラウド間のネットワークを仮想的に延伸し、 IP アドレスを変更することなく VM を移行できます。
VMware Cloud Foundation(VCF)との関係
VMware Cloud Foundation ( VCF )は、 VM 基盤の vSphere 、ストレージソリューションの vSAN などの VMware 製品を統合管理する SDDC ( Software-Defined Data Center )ソリューションです。オンプレミス環境やクラウド上に統合管理された VMware 環境を構築できます。
HCX は VCF 環境とクラウド上の VMware 環境を接続する「架け橋」となります。 VCF が基盤のオンプレミス環境からクラウドへ移行する際、 HCX により L2 延伸や無停止移行が可能です。
2. VMware HCXの導入メリット
クラウド移行においてHCXを採用する主なメリットは以下のとおりです。
移行負荷を軽減できる
HCX の導入により、 VM 移行に伴う管理者の作業負担を大幅に軽減できます。
従来の移行作業では、ネットワークの再設計、 IP アドレスの変更、 OS やアプリの互換性確認、ストレージの調整など、膨大な手作業が必要でした。 HCX はこれらを自動化し、移行計画の作成から実行、進捗管理までを一元化できるため、スムーズなプロジェクト進行が実現します。
停止時間を最小限にして移行できる
HCX の強みは、 VM の停止時間を極小化できる点です。
通常の移行作業では VM をオフラインにする必要があり、その間は業務やサービス提供が停止してしまいます。しかし、 HCX では L2 延伸やレプリケーション技術により、 VM をオンライン状態のまま別環境へ移行可能です。これにより、ビジネスへの機会損失を防ぎます。
用途に合わせて4つの移行方式を選択できる
HCX は、システムの重要度や移行規模に応じて 4 つの移行方式から選択可能です。
| 移行方式 | 特徴 |
|---|---|
| vMotion | 無停止移行(ライブマイグレーション) |
| Bulk Migration | 複数 VM をまとめてコピーしながら移行る |
| Replication-assisted vMotion | vMotion と Bulk Migration のハイブリッド形式で、複数 VM をまとめて移行する際に vMotion で無停止移行 |
| Cold Migration | 停止状態で移行 |
これらを計画的に組み合わせることで、大規模環境であっても安全かつ効率的なクラウド移行が可能です。
3. VMware HCXが利用可能な移行先環境
VMware HCX で VM を移行する際、移行先も VMware に互換性があることが前提となります。
オンプレミス環境からクラウド環境へ移行する際、本来であればハイパーバイザーの違いや VM 形式の変換といった壁があります。しかし HCX を利用すれば、 VMware 同士の互換性を維持したまま移行可能です。
具体例として以下が挙げられます。
| 移行先 | 具体例 | 用途 |
|---|---|---|
| オンプレミスの vSphere 環境 | – | データセンター統合、ハードウェア交換 |
| パブリッククラウド上の VMware 環境 |
|
クラウド移行、 BCP 対策など |
4. VMware HCXの利用上の制約と今後の選択肢
HCX は VMware 環境同士であればスムーズな移行を実現しますが、裏を返せば「 VMware 環境以外への道はない」ともいえます。昨今の VMware ライセンス改定のトレンドも踏まえ、今後の選択肢を整理します。
VMware環境以外には移行できない
HCX の制約として、 AWS EC2 や Azure VM といったクラウドネイティブな VM 環境や、 Hyper-V 、 KVM などの他社ハイパーバイザーへの直接移行はできない点が挙げられます。
HCX はあくまで「 VMware から VMware への移行ツール」です。脱 VMware を前提とした移行には、 VM 形式の変換やアーキテクチャ見直しなどの追加工程が必要となります。
今後の選択肢
Broadcom 社による買収以降、 VMware 製品は永続ライセンスの廃止とサブスクリプション型への完全移行が行われました。
さらに製品ラインナップが VCF などのフルスタック製品群に集約されたことで、特に中小規模の利用環境においてはコストへの懸念が高まっています。
一方で、 AWS や Azure などのクラウド上で提供される VMware サービスは、クラウド事業者独自のライセンス体系を採用しているため、オンプレミスほどの急激な影響を受けにくいケースもあります。HCX による移行を検討する際は、クラウド型 VMware 環境への移行、または他社基盤への移行など複数の選択肢を比較し、今後の最適な基盤方針を見極めることが重要です。
具体的な選択肢には以下があります。
| 選択肢 | VMware 依存度 | 概要 |
|---|---|---|
| HCX でクラウド上の VMware 基盤へ移行 | 高 | 脱オンプレミスを目指す選択肢。 HCX を活用することで比較的低リスクに移行できる。 |
| クラウド移行後に段階的にクラウドネイティブへ転換 | 中 | 移行後、コンテナ化やマイクロサービス化を進め、最終的に VMware 依存からの脱却を目指す。 |
| VMware 基盤以外へ移行 | 低(なし) | Nutanix AHV や、 OpenShift Virtualization など他社製品を利用する。 HCX は使えず、 VM 形式変換などが必要だが、 VMware 依存からは脱却できる。 |
5. まとめ
VMware HCX は、オンプレミスの VMware 環境をクラウドや別拠点へ「安全・高速・無停止」で移行するための強力なソリューションです。 IP アドレス変更の回避や L2 延伸により、移行プロジェクトのハードルを劇的に下げることができます。
しかし、 HCX はあくまで VMware 環境間での利用に限定されます。既存の VMware 環境を移行する際は、昨今のライセンス体系の変化や今後の安定性も踏まえ、自社に最適なプラットフォームを見極める必要があります。
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- https://www.rworks.jp/cloud/vmmigration-to-cloud/ 脱VMwareオンプレミス基盤移行支援サービス:
- https://www.rworks.jp/system/vmmigration-to-on-premis/
Tag: VMware
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