Managed Service Column <システム運用コラム>

Storage vMotionとは?vMotionとの違いや無停止ストレージ移行の活用シーン

Category: 入門編

2026.04.03

設定手順と、他社製品における対応機能も整理

Storage vMotion とは、 VM (仮想マシン)を稼働させたまま、 そのストレージ領域を別のデータストアへ移行できる機能です。 vMotion が CPU やメモリなどのコンピュートリソースを移行するのに対し、 Storage vMotion は VM に紐づくストレージ領域を移行する点が大きな違いです。 Storage vMotion を活用することで、性能最適化やコスト最適化といったさまざまなメリットを享受できます。

本記事では、 Storage vMotion の実行手順や要件に加え、 Hyper-V や Nutanix AHV といった他社製品との比較についても解説します。自社の運用基盤を整理し、「最適なVM基盤とは何か」を検討する際の参考にしてください。

1. Storage vMotionとは?vMotionとの違い

vSphere では、 VM の無停止移行を実現する機能として vMotion と Storage vMotion が提供されています。

Storage vMotion の概要

Storage vMotion は、稼働中の VM を停止させることなく、その VM に紐づいているストレージ領域(仮想ディスク)を別のデータストアへ移行する機能です。

vSphere 上では、 VM の仮想ディスクはデータストアに保存されています。 Storage vMotion を実行すれば、 VM がサービスを提供し続けている状態のまま、仮想ディスクのデータストア間移行が可能です。

これにより、VM を停止せずにストレージ更改やメンテナンスができるため、仮想化基盤の運用柔軟性が大幅に向上します。

vMotionとの違い

vMotion と Storage vMotion の大きな違いは、何を移行するか(移行対象)です。

vMotion は VM の稼働状態を維持したまま、 コンピュートリソース( CPU 、メモリ)を別の ESXi ホストへ移行します。 一方の Storage vMotion は、 VM の仮想ディスクを移行する機能です。

通常、 VM は vSphere クラスタ内のいずれか 1 台の ESXi ホスト上で稼働し、そのホストのコンピュートリソースを利用します。 vMotion を実施すると、 VM の実行場所が別のホストへ切り替わりますが、仮想ディスクの保存先(データストア)は変更されません。

そのため、 vMotion は主にホストのメンテナンスや障害回避、クラスタ内の負荷分散など、コンピュートリソース側の課題を解決する際に利用されます。

<vMotion と Storage vMotion の違い>
vMotion と Storage vMotion

2. Storage vMotionの活用シーン

Storage vMotion は主に以下のシーンで活用されます。

EOS( End Of Service )や性能不足を理由にストレージを入れ替える際に Storage vMotion は有効です。従来は、 VM を停止してデータ移行を行う、もしくは移行手順が複雑になるケースも多く、サービス停止や性能低下などの業務影響が生じやすい状況でした。

Storage vMotion では、 VM を稼働中のまま仮想ディスクを別のデータストアへ移行できるため、業務影響を抑えての移行が可能です。

性能最適化

外部接続ストレージを利用している場合、 I/O 負荷の高いサービスを提供する VM を、低速なストレージから高速な環境へ移行することで、アプリケーションの応答性能を改善できます。また、一時的に負荷が高まった VM を空き容量に余裕がある別ストレージへ退避させるなど、運用状況に応じた柔軟な配置変更も可能です。

<Storage vMotion 性能最適化のイメージ>
Storage vMotion 性能最適化のイメージ

コスト最適化

一般的に、 vSphere 上のすべての VM を高価な高速ストレージに配置する必要はありません。コストやパフォーマンス、重要度などを考慮し、最適なストレージを使い分けることが重要です。

Storage vMotion を活用すれば、性能要件の低い VM を大容量かつ安価なストレージへ移行できるため、全体のストレージコストを抑えた効率的な運用が実現します。

<コスト最適化のイメージ>
コスト最適化のイメージ

3. Storage vMotionの実践方法と設定手順

Storage vMotion を実行するには、いくつかのシステム要件を満たす必要があります。ここでは、具体的な要件と実践方法を解説します。

Storage vMotionの要件

ライセンス Storage vMotion に対応した vSphere のライセンス(エディションや契約内容により利用可否が異なる)
ストレージ
  • 移行元・先のデータストアが同一の vCenter 配下であること
  • データストアが vSphere のサポート形式( VMFS 、 vSAN など)であること
  • 移行先データストアに十分な領域があること
  • 移行先データストアがメンテナンスモードでないこと
VM
  • 移行対象のデータストアを領域とする VM が VMware Tools のインストールや更新中でないこと
  • 仮想マシンのディスク形式が VMDK であること

実践方法・設定手順

Storage vMotion は vSphere Client からウィザード形式で実行できます。

以下は、一般的な実行手順です。

  1. vSphere Client を開く
    管理対象の vCenter にログインします。
  2. 移行対象の VM を右クリックし、「移行」を選択
    稼働中の VM に対しても操作が可能です。
  3. 移行タイプの選択画面で「ストレージのみ変更」を選択
    ホスト移動( vMotion )ではなく、仮想ディスクのみを移行します。
  4. 必要に応じて、ディスクフォーマットや仮想マシンストレージポリシーを選択
    フォーマット変更は必須ではなく、ストレージポリシーを利用している場合のみ指定します。
  5. 移行先のデータストアを選択
    移行先には十分な空き容量があることを事前に確認しておきます。
  6. 設定内容を確認し、「完了」をクリック 実行後はバックグラウンドでデータ移行が開始され、 VM は稼働を継続します。

4. 他社製品における対応機能の整理

Storage vMotion と同様に、 VM に紐づくストレージ領域(仮想ディスク)を無停止移行できる機能を持つ他社製品を紹介します。

機能名 製品名 提供元
Storage vMotion VMware vSphere Broadcom (旧 VMware)
Hyper-V Storage Live Migration Hyper-V Microsoft
Live Migration AHV Nutanix
ストレージ(ライブ)マイグレーションなど Citrix Hypervisor、 KVM 、 Proxmox VE など Citrix 、 Red Hat 、 Proxmox ほかx

他社製品でも Storage vMotion と同様の機能が標準機能として提供されています。ただし、利用可否や条件は製品・ライセンス構成によって異なるため、導入や移行を検討する際は事前の仕様確認が重要です。

5. まとめ

Storage vMotion は、 vSphere 上の VM を停止することなく、仮想ディスクを別のデータストアへ移行できる機能です。ストレージ更改やメンテナンスなどの場面でも、サービスを停止せずにデータストア移行を完遂できます。

通常の vMotion が VM のコンピュートリソースを移行するのに対し、 Storage vMotion はストレージ領域を対象としており、両者を組み合わせて VM 全体を一括移行することも可能です。

Hyper-V や Nutanix AHV などの他社製品にも Storage vMotion と同様の機能が存在するため、ストレージ移行の可否が他社基盤への乗り換えを妨げる要因にはなりません。

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