Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Database for MySQL

Category: 入門編

2020.12.16

はじめに

円滑な企業の運営には、膨大な量のデータを管理する必要があります。そこで活用されるのがデータベースです。データベースは情報をより効率的に利用するためのもので、企業のようにさまざまな情報を扱う場合には必須といえます。 データベースには多くの種類があり、それぞれ特徴が異なります。使いやすく、適したデータベースを選べば、情報の運用がスムーズになり、業務が効率化できるでしょう。

前々回の記事では「Azure SQL DatabaseとSQL Serverについて」、前回は「Azure Database for PostgreSQLについて」解説しました。今回は同じMicrosoft社が提供する「Azure Database for MySQL」について解説します。バックアップや価格などについてもご紹介するので、データベース選びの参考にしてください。

Azure Database for MySQLとは?

Azure Database for MySQLは、クラウドサービスで提供されている、フルマネージド型のMySQLデータベースです。
フルマネージド型とは、運用やメンテナンスを提供側が実施するタイプのクラウドサービスのことで、データベースへのパッチ適用、バックアップ、監視、セキュリティ、フェールオーバーなどを自動化してくれるため、データベースの運用や構築に専念できます。

3つのプラン

Azure Database for MySQLは、3つのプランに分かれています。それぞれの特徴を解説していきましょう。

Basic

低負荷のコンピューティングと、入出力に重きを置く処理に適したプラン。主に、小規模で使用頻度の低いアプリケーション開発や、開発テスト用のサーバーなどに利用されています。導入・利用コストが少なく、最低限の機能が搭載されていることが特徴です。

BASICでは、IOPS(1秒間に処理できる入出力数。一般的に数値が高いほど高性能といわれる)の保証はありません。したがって、処理能力が保証されていないことになるので、場合によっては必要な性能が使えない場合もあります。
Gen5論理CPU(Intel E5-2673 v4(Broadwell)2.3GHz)のVCore1と2が利用可能で、それぞれ2GiB、4GiBの記憶容量を持ちます。また、サーバーの利用可能領域は最大1TBです。

汎用(General Purpose)

負荷が分散されており、入出力の拡張性、コンピューティング・メモリのバランスを必要とするような、ビジネス系ワークに適しているプラン。具体的には、Webやモバイルアプリ、複数のリソースや要素から構成されるサービスのサーバーなどに使われています。
IOPSは、割り当てが完了しているデータの保管領域に対し、3対1の比率で増強します。バランス型のプランで、中規模な開発で利用できるでしょう。

Gen5論理CPU(Intel E5-2673 v4(Broadwell)2.3GHz)のVCore2から64が利用可能で、それぞれVCore2で10GiB、VCore8で40GiBの記憶容量を持ちます。最大のVCore64では、320GiBが利用可能。また、サーバーの利用可能領域は最大16TBです。

メモリ最適化(Memory Optimized)

トランザクション処理の短縮や、高レベルな計算が必要な大規模開発に適しているプラン。リアルタイムにデータを分析し、ハイパフォーマンスな処理をするソフトやアプリ、分析用ソフトの開発、サーバーなどに利用されています。

Gen5論理CPU(Intel E5-2673 v4(Broadwell)2.3GHz)のVCore2から32が利用可能で、それぞれVCore2で20GiB、VCore8で80GiBの記憶容量を持ちます。最大のVCore32では、320GiBが利用可能です。また、サーバーの利用可能領域は最大16TBです。

バックアップの種類

3つのバックアップ容量

バックアップは容量に応じて3種類に分かれています。

最大1TBのBasicストレージサーバー

BASICストレージは、BASICプランをサポートするバックエンドストレージです。BASICストレージサーバーのバックアップは、基本的にスナップショット(その時点までの画像データ)で実施。完全版は毎日作成され、処理内容のバックアップは5分ごとに実行されます。

ちなみに、BASICストレージサーバーでは差分バックアップが実行されず、スナップショットによる完全バックアップと処理内容バックアップのみが行われます。

最大4TBの汎用ストレージサーバー

汎用プランとメモリ最適化プランでは最大4TBの汎用ストレージサーバーが利用可能です。毎週1回完全バックアップをとり、差分のバックアップは1日2回実施。処理内容のバックアップは5分ごとに実行されます。

最大4TBのバックアップでは、スナップショットではなく領域をそのまま使うため、大きくストレージを消費することが想定されます。特に1TBを超える場合は、処理システムの改善や、次にご紹介する最大16TBのストレージサーバーへの移行を考えても良いでしょう。

最大16TBの汎用ストレージサーバー

最大16TBの汎用ストレージサーバーでは、バックアップ容量が4TBを超えるとスナップショットといわれるデータで残していきます。最初のバックアップはサーバー作成後に行なわれ、その後は差分のスナップショットバックアップのみが行なわれます。

差分のスナップショットバックアップは1日1回以上、処理内容のバックアップは5分毎に実行されるよう設定されています。

バックアップの保管期間

バックアップは保有期間の設定に基づき、7日間~35日間保管されます。デフォルトでは7日の設定です。バックアップの保有期間によって、現在からどのくらい前のデータを取得できるかということも管理されます。
また、保管されるバックアップデータは、ストレージサーバーの種類によって以下のように異なります。

最大4TBのストレージを持つサーバーの場合

  • 完全バックアップを最大2件
  • 差分バックアップ
  • 最初からの処理内容バックアップ

最大16TBのストレージを持つサーバーの場合

  • 完全なデータベーススナップショット
  • すべての差分スナップショット
  • 8日間の処理内容バックアップ

Azure Database for MySQLの価格

Azure Database for MySQLの価格は、Basic、汎用、メモリ最適化という3つのプランによって分かれています。
どの程度の価格で利用できるのか、具体的なケースを想定してご紹介します。
なお、3種類ともGen5(2.3 GHz Intel E5-2673 v4 プロセッサ)をベースとした論理CPUを使用しています。

BASIC

BASICプランの場合、VCore1のメモリは2GiBで、1時間5.824円、VCore2なら11.648円です。また、サーバー用のプロビジョニング(リソース提供準備領域)は、1GBにつき月額13.44円かかります。1TBまで拡張可能です。バックアップのローカル冗長も、1GBあたり月額13.44円です。これらのトータル金額を、月額料金として支払う必要があります。

汎用

汎用プランの場合、VCore2のメモリは10GiBで、1時間28.426円、VCore8なら40GBで113.703円です。また、VCore64まで選択でき、320GiBで1時間909.620円かかります。1年予約、3年予約だと、それぞれの料金が37%、55%まで割引になります。
サーバー用のプロビジョニングは、1GBにつき月額15.456円かかり、16TBまで利用可能。さらに、バックアップのローカルローカル冗長は、1GBあたり月額13.44円、地理冗長は26.68円です。

メモリ最適化

メモリ最適化プランの場合、VCore2のメモリは20GiBで、1時間31.764円、VCore8なら80GiBで127.053円です。また、VCore32まで選択でき、320GiBで1時間508.212円かかりますます。1年予約、3年予約だと、それぞれの料金が33%、53%まで割引になります。
サーバー用のプロビジョニングは、1GBにつき月額15.456円で、16TBまで利用可能。さらに、バックアップのローカルローカル冗長は、1GBあたり月額13.44円、地理冗長は26.68円です。

Azure Database for MySQLは基本的に使った分だけ支払うシステムです。そのため、導入の際にはしっかりと計画を練っておき、予算内で利用できるようにしましょう。

おわりに

自動バックアップなど多くの便利な機能があるAzure Database for MySQLですが、利用する際は必要な機能、記憶容量を選択して契約することが重要です。
もちろん、金額を上げていけば、それだけハイパフォーマンスなサービスを受けられますが、規模に見合ってなければ、宝の持ち腐れとなることもあります。そのため、どの規模の開発なのか、どういった用途に使うのかなどを総合的に判断して、選ぶようにしましょう。

また、記憶容量がどの程度必要なのかも考えておくことで、スムーズにAzure Database for MySQLを利用できるようになります。一時的な容量不足であれば、冗長や追加することもできますが、やりすぎると高くつくこともあるため注意です。

Azure Database for MySQLをうまく活用するためには、開発環境や必要データを見直し、それぞれのプロジェクトに合わせたプランにすることが重要といえるでしょう。

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Tag: Azure Database for MySQL DB

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