目次
クラウドを効率的に操作・運用するには?便利なユーザーインターフェースについて解説
今や多くの企業でクラウドが重要な基盤となっています。その中心にあるのが、Microsoft Azure のようなパワフルなクラウドプラットフォームです。
クラウドを適切に操作・運用するためには、誰にでも扱いやすく、リソースやアプリケーションなどの一元管理が可能なユーザーインターフェースが必要です。 Azure では、 Azure portal という直感的なユーザーインターフェースを提供しています。
本記事では、 Azure portal の基本から、アクセス方法、設定や運用のポイントに至るまで、Azureを適切に運用するためのポイントについて詳しく解説します。
1. Azure portalとは

Azure portal とは、 Microsoft が提供するパブリック・クラウド Microsoft Azure のサービスを一元管理するための Web ベースの統合型コンソールです。
統合型コンソールとは、クラウドの管理対象(アプリケーションや仮想マシン、仮想ネットワーク、データベース、ストレージなど)を一元的に表示・操作・管理する仕組みを指します。リソースの状態やコストの表示、セキュリティ対策を含むサービスの各種設定・操作ができるインターフェースを提供します。
Azure CLIとの違い
Azure portal は GUI (グラフィカルユーザーインターフェース)を採用しており、ブラウザ上で直感的に操作できることが特徴です。一方で、 CLI (コマンドライン インターフェース)でコマンドを使用してシステムを管理する Azure CLI も提供されています。
Azure portal はコマンドの知識は不要で初心者でも扱いやすいことがメリットです。しかし、大量のリソースを一括管理したい場合などは、自動化・スクリプト実行が可能な Azure CLI の方が適しています。必要に応じて使い分けるのがよいでしょう。
Azure CLIについて詳しくは以下をご覧ください。
2. Azure portalの機能
Azure portal は統合型コンソールとしてさまざまな機能を備えています。Azure portal で管理および制御できることは下記の通りです。
- サービス・デプロイ管理
- アクセス制御
- サブスクリプション管理
- システムの監視/診断/分析
- Azure Marketplace へのアクセス
サービス・デプロイ管理
Azure portal は Azure のサービスを一元管理するための仕組みです。
サービス・リソース単位で管理・デプロイすることも可能ですが、Azure portal のダッシュボードから素早くアクセスして管理できます。また、Azure Resource Manager によって、複数のリソースをまとめたリソースグループとして管理することも可能です。
アクセス制御
Azure portal ではアカウント単位、サービス単位でアクセス制御を行うことが可能です。
加えて、Azure Resource Manager により、組織内のだれがリソースに対してアクションを実行できるか制御できます。役割を定義し、ユーザーまたはグループを役割に追加することにより、アクセス許可を管理できます。
サブスクリプション管理
Azure portal からサブスクリプションの管理を行うことができます。
Azure portal のサブスクリプションのページから、契約中のサブスクリプションの一覧、およびサブスクリプション単位の詳細情報を確認することが可能です。サブスクリプション単位の請求金額やその内訳を確認し、PDF や CSV 形式でダウンロードできます。
システムの監視/診断/分析
Azure p ortal では、ダッシュボードを活用して仮想マシンやネットワークなどの各リソースや、利用中のサービスの稼働状況を一元的に管理・可視化 できます。ダッシュボードはカスタマイズでき、利用頻度の高いリソースや重要なメトリクスをピン留めすることも可能です。
監視アラートなどもリアルタイムで確認できるため、 システム全体の監視/診断/分析に活用できます。
Azure Marketplaceへのアクセス
Azure Marketplace とは、 Azure 上で利用できるソフトウェアやサービスを提供するオンラインストアです。 Azure Marketplace へは Azure portal からアクセスでき、開発ツールやセキュリティツールなどのソリューションをスムーズに検索・選択・デプロイできます。
3. Azure portalの特徴とメリット
Azure portal の特徴とメリットは下記の通りです。
- Azure リソースの一元管理ができる
- セキュリティを強化できる
- コストの見える化ができる
Azure リソースの一元管理ができる
Azure portal は、Azure が提供するリソース・サービスを一元的に管理・表示し、設定や操作を行うことが可能です。従来は各リソース・サービスの管理画面にアクセスする必要がありましたが、この手間と時間を削減できます。
セキュリティを強化できる
Azure portal では、 アカウント単位、グループ単位、サービス単位で、きめ細やかなアクセス制御 ができます。 たとえばプロジェクトごとにメンバーが異なる場合でも、状況に合わせて最適な権限を付与することが可能です。さらに、 Microsoft Entra ID を利用すれば、 IP アドレスによるアクセス制御もでき、セキュリティの強化につながります。
Microsoft Entra ID について詳しくは以下をご覧ください。
コストの見える化ができる
Azure のサービスは基本的に利用した分だけ課金される従量課金制です。Azure には現在の利用料金の確認や料金予測が可能な Cost Management の機能が備わっていますが、Azure Portal から簡単にアクセスしてコストを確認できます。
4. Azure portalの使い方
ここまで、Azure portal の概要や機能について解説してきました。Azure portal は Azure クラウドの全てを統合管理する重要なサービスで、Azure でシステムを構築・管理するためにはまず Azure portal の使い方を知ることが重要です。ここでは Azure portal の基本的な使い方について解説します。
なお、スマホやタブレットから Azure portal へアクセスする場合は、iOS または Android デバイス向けに提供されているモバイルアプリ Azure mobile app を使用してください。
アカウントの作成
Azure portal を使用するためにはまずアカウントの作成が必要です。個人で新規アカウントを作成するにはAzure アカウント作成ページへアクセスし、無料アカウントの作成を行います。無料ですが、信用照会のためにクレジットカードの情報が必要です。
法人の場合は会社単位で契約が必要です。契約が無事に完了したら、組織アカウントを作成します。まず所有者権限を持つユーザーを作成し、共同作成者や閲覧者など組織や権限に応じたユーザーを作成します。
ログイン
アカウントを作成後、Web ブラウザを起動し、Azure の公式サイトの Azure portal ログインページへアクセスします。画面上部のヘッダーナビゲーションにある「サインイン」をクリックして認証情報を入力することで Azure portal を使用できます。また、下記URLから直接 Azure portal へアクセスすることも可能です。
ログインが成功すると、Azure portalサイトのホーム画面が表示されます。
画面構成とレイアウトの確認
Azure portal を効率的に利用するためには、Azure portal の画面構成とレイアウトを把握することが重要です。Azure portal の画面は下記の通り構成されています。
- トップバー
- サイドバー
- メインコンテンツ
トップバーには、Cloud Shell 、ディレクトリとサブスクリプション、通知、設定、サポートとトラブルシューティング、フィードバックの機能が集約され、それぞれへワンクリックでアクセスできます。
サイドバーは、リソースの作成やダッシュボード、全てのサービスへのアクセスが可能である他に、「お気に入り」を登録できます。お気に入りは使いやすいよう自由にカスタマイズ可能です。
メインコンテンツは、Azure サービスや、サブスクリプションやリソースグループへの移動、ツールや役に立つリンク集が表示されます。Azure サービスを選択すると、サービスごとの管理画面が表示されます。
リソースグループの作成
リソースグループとは、 Azure のリソースを管理するためのコンテナのようなものです。関連するリソースをまとめられるため、コスト管理やアクセス制御に役立ちます。
サイドバーから「リソースグループ」を選択すると、リソースグループを新規作成できます。作成時にグループ名やサブスクリプション、リージョンを設定しましょう。また、新規作成以外にも、次のステップであるリソース作成時にリソースグループを同時に作成することも可能です。
リソースの作成
サイドバーから作成したいリソースのサービス画面に移動し、新規作成を選択して必要事項を入力します。内容に間違いがないことを確認したら、画面の指示に従い作成を完了させましょう。
リソースは必ずどこかのリソースグループ配下に作成しなければなりません。もしくはリソースの作成時にリソースグループを新規に作成することもできます。ただし一つのリソースを複数のリソースグループに所属させることはできないため、注意しましょう。
認証
Azure portal へのアクセスには認証情報が必要ですが、一般的なパスワード認証だけでは、パスワード漏洩などが不安です。
Azure portal ではパスワード以外の認証要素を使用した二段階認証を設定することが可能です。Azure アカウントは、Microsoft アカウントと紐づいており、Microsoft アカウント画面から二段階認証の設定を行うことができます。また、組織で使用する場合は Microsoft Entra ID と連携させて二要素認証を設定することもできます。
5. Azure portalの活用シーン
Azure portal は基本的なリソースの作成や管理以外にも、次のような場面で活用できます。
システムの運用管理・障害対応
Azure portal のダッシュボードを活用すれば、システム全体の稼働状況をリアルタイムで可視化できます。統合監視ツールの Azure Monitor と統合することで、パフォーマンス低下や障害の兆候を事前に検知し、アラート通知を設定することも可能です。
トラブル発生時にはリソースのスケールアップや構成変更を GUI で即座に実行できるため、迅速な障害対応ができます。
Azure Monitor について詳しくは以下の記事をご覧ください。
システム移行
Azure portal から移行ツール Azure Migrate を利用すると、オンプレミス環境やほかのクラウド環境から Azure へのシステム移行をスムーズに行えます。
移行完了後は、 Azure portal 上で仮想ネットワークの設定やセキュリティ構成を調整し、安定した運用環境を整備することが可能です。バックアップや DR (災害復旧)機能も活用できるため、安全かつ計画的なシステム移行を実現できます。
Azure Migrate について詳しくは以下の記事をご覧ください。
6. AWS・Google Cloudの統合型コンソール
Azure だけでなく、AWS や Google Cloud でも同様の統合型コンソールを提供しています。基本的にはどのクラウドサービスも機能に大きな差はありませんが、概要を紹介します。
AWS( AWS Management Console )
AWS Management Console は、 AWS ( Amazon Web Service )が提供する、 AWS を管理するための Web ベースのアプリケーションです。 AWS に最初にサインインすると、まず AWS Management Console が表示されます。 Azure portal と同様に、 AWS のサービスの操作・管理・状態表示や、アカウントごとのアクセス制御、コスト管理などが可能です。
Google Cloud( Google Cloud Console )
Google Cloud Console は、Google Cloud が提供する、 Google Cloud を管理するための Web ベースのアプリケーションです。Web アプリケーション、データ分析、仮想マシン、データストア、データベース、ネットワークなど、 Google Cloud を構成するために必要な全てのサービスとツールを管理し、状態確認が可能です。iOS や Android の専用アプリもあり、外出先でも業務を行うことが可能です。
7. Azure Portalの料金体系
Azure のサービスは基本的に従量課金制、もしくは定額制ですが、Azure portal そのものは無料で利用できます。
Azure を初めて利用する場合、無料アカウントを作成すれば以下の無料枠も利用できます。
- 200$ のクレジット付与( 30 日間 )
- 20 以上のAzureの人気サービスの利用( 12 か月間 )
- 65 種類以上の Azure サービスの利用( 常時 )
※参考:Azure の無料アカウントを作成するか、プリペイドで支払う
上記の期間であればコストを気にせずに Azure サービスを利用できるため、 Azure portal を含めさまざまなサービスを試してみるのがおすすめです。
8. まとめ
本記事では、 Azure portal の概要と基本的な操作、ユースケース、料金などについて解説しました。 Azure portal を適切に設定・運用することで、操作性と運用効率、そしてセキュリティ向上につながり、クラウドを効果的かつセキュアに扱えるようになります。ぜひ専門家の支援を受けながら使用を検討してみてください。
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Tag: Azure portal Azure運用管理
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