Managed Service Column <システム運用コラム>

Citrix Virtual Apps and Desktopsとは? 全体構成や機能、活用シーンを解説

Category: 入門編

2025.11.29

VMwareとの関連性と今後の選択肢も紹介

Citrix Virtual Apps and Desktops は、 Citrix 社が提供するアプリケーション仮想化とデスクトップ仮想化( VDI )のソリューションです。リモートワークの普及やセキュリティ強化、ユーザー増加への対応など、さまざまな用途で利用されています。

本記事では、 Citrix Virtual Apps and Desktops の概要や用途に加え、 VMware 製品との関係性を解説します。さらに、近年話題となっている VMware のライセンス改定による影響を取り上げ、コスト面での課題と今後の選択肢についても紹介します。

1. Citrix Virtual Apps and Desktopsとは

Citrix Virtual Apps and Desktops とは、 Citrix 社が提供するアプリケーション仮想化と仮想デスクトップの2種類の仮想化方式を備えたソリューションです。サーバー上で動作するデスクトップ環境や業務アプリケーションを、クライアント端末からリモートで利用できます。

<Citrix Virtual Apps and Desktopsの全体構成>
Citrix Virtual Apps and Desktopsの全体構成

VMware製品との関係性

Citrix Virtual Apps and Desktops は、アプリケーションやデスクトップをユーザーに配信する仕組みです。

その実行基盤として VMware vSphere が採用されるケースが多く、 Citrix Virtual Apps and Desktops on vSphere (以下 Citrix on vSphere )として運用されます。これは、 VMware の高い仮想化技術と Citrix のリモートアクセス・アプリ配信機能の親和性が高いためです。

Citrix on vSphere を導入すれば、企業は既存の VMware 環境を活かしながら、 Citrix による柔軟な仮想デスクトップ環境を構築できます。

Citrix Virtual Apps

Citrix Virtual Apps は業務アプリケーションをサーバー上で実行し、ユーザーは自分の PC にインストールすることなくリモートから利用できる仕組みです。古い業務システムや社内専用のアプリケーションをリモートで利用できます。

Citrix Virtual Apps on vSphere 環境では、 vSphere 上に構築した Windows VM ( 仮想マシン)上でアプリケーションの仮想化環境を提供します。ユーザーは Citrix Workspace app を通じてアプリケーションにリモートアクセスします。1台の Windows VM上で、複数ユーザーが同時に異なるアプリケーションを利用可能です。

<Citrix Virtual Apps on vSphereのイメージ>
Citrix Virtual Apps on vSphereのイメージ

Citrix Virtual Desktops

Citrix Virtual Desktops は Windows デスクトップを仮想環境として提供し、 VDI 環境を構築できるソリューションです。ユーザーは社内 PC とほぼ同じ操作感で VDI 環境にリモートアクセスできます。

Citrix Virtual Desktops on vSphere 環境では、 vSphere 上に構築した複数の VM へのアクセスを Citrix Virtual Desktops 経由で提供します。各ユーザーは Citrix Workspace app から自分専用の Windows デスクトップにリモート接続し、個別環境として利用可能です。

<Citrix Virtual Desktops on vSphereのイメージ>
Citrix Virtual Desktops on vSphereのイメージ

他社製品との比較

Citrix Virtual Apps and Desktops と同等の製品として、 VMware Horizon と Azure Virtual Desktop( AVD ) があります。

VMware Horizon は VMware 製品で、 vSphere 上での稼働を前提とし、 VMware 製品群との統合に最適化されています。 Citrix Virtual Apps and Desktops は、 vSphere に加えて主要クラウド環境にも対応し、より柔軟な構成が可能です。

また、 AVD は Azure 上で提供される Microsoft 純正の VDI サービスで、クラウド前提の構成です。一方、 Citrix Virtual Desktops はオンプレミスからマルチクラウドまで展開でき、既存資産を活かしたハイブリッド運用にも適しています。

2. Citrix Virtual Apps and Desktopsの活用シーン

Citrix Virtual Apps and Desktops は、業務環境の柔軟化やセキュリティ強化を目的として、多くの企業で活用されています。データはサーバー側で一元管理され、端末に保存されないため、情報漏洩や紛失リスクを低減できるでしょう。

Citrix Virtual Apps は、アプリケーションのリモート利用や短期間のプロジェクトへのアプリ配信に適しています。端末にアプリケーションをインストールする必要がないため、端末管理の負荷軽減や迅速な業務開始を実現可能です。

Citrix Virtual Desktops は、セキュリティの強化や運用効率向上が主な目的で、 VDI 環境として活用されます。社内PCと同等の操作感で Windows デスクトップを提供するため、リモートワーク環境の整備に適したソリューションです。また、アプリケーションの更新・パッチ適用をサーバー側で一括管理できることから、運用負荷の低減と環境の均質化も実現できます。

3. VMwareライセンス改定によるCitrix Virtual Apps and Desktopsへの影響

Citrix on vSphere は Citrix と vSphere の双方のメリットを活かせる環境ですが、 VMware はライセンス体系を改定しており、 vSphere や関連製品の利用コストが増加する可能性があります。

ライセンス改定とコストの関係

VMware のライセンス体系は、大企業での大規模利用を想定したものに改定されました。中小企業では従来と比べて契約条件が厳しくなったり、コア数・最小構成の要件が上がったりするケースがあります。また、ライセンスが永続型からサブスクリプション型に変わるため、 VMware 環境から別環境への移行を検討する企業も出てきました。

今後取り得る選択肢

今後の選択肢として、以下が考えられます。

選択肢 概要 メリット デメリット
vSphere 上での継続運用 Citrix on vSphere 環境を維持する 環境に変更がないため、運用安定性を確保できる ライセンスコスト増加の可能性を受け入れることになる
他プラットフォームへの移行 VMware 以外の仮想化基盤( Hyper-V 、 Nutanix AHV 、 Azure VMware Solution など)への Citrix 移行 ライセンスコストの最適化や柔軟な環境構築ができる 移行後の安定稼働には、事前検証と段階的な移行計画が欠かせない
Citrix Cloud への移行 Citrix Virtual Apps and Desktops をクラウド上で利用する ハードウェアの管理コストを低減し、クラウド環境でのスケーラビリティを得られる Citrix への依存度が高くなる
ランニングコストがトータルで vSphere からの移行前と変わらない可能性がある

4. まとめ

Citrix Virtual Apps and Desktops は、アプリケーション単位、デスクトップ環境の仮想化ソリューションです。利用者は社内外から安全に業務環境へアクセスできるため、リモートワークや BYOD 環境の整備に適しています。VMware vSphere などの既存仮想化基盤上で稼働させることで、柔軟かつ効率的な仮想デスクトップ環境を実現できます。

しかし、 VMware のライセンス改定により、他プラットフォームへの移行を含めた複数の選択肢を比較検討する余地があります。

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