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主要ハイパーバイザーとの違いから見る仮想化基盤の選択肢
仮想化技術は、現代の企業 IT インフラに欠かせない存在であり、その中核を担ってきたのが VMware ESXi に代表されるハイパーバイザーです。
近年は Broadcom による VMware の買収を契機に、ライセンス体系や運用コストを含めて仮想化基盤全体を整理・見直す動きも見られます。こうした環境変化を踏まえ、あらためて各ハイパーバイザーの特徴を理解することが重要になっています。
本記事では、仮想化技術の中核である「ハイパーバイザー」の基礎と VMware ESXi の特徴を整理したうえで、主要なハイパーバイザーとの違いを比較・解説します。
1. ハイパーバイザーとは何か
ハイパーバイザーとは、 1 台の物理サーバー上で複数の独立した仮想マシンを同時に作成・実行・管理するためのソフトウェアです。
主な役割は、 CPU 、メモリ、ストレージといった物理リソースを抽象化し、各仮想マシンへ効率的に配分することです。ハイパーバイザーの活用により物理サーバーを集約し、省スペース化、省電力化、運用コスト削減を実現できます。
ハイパーバイザーの2つの種類
ハイパーバイザーは、アーキテクチャによって「 Type 1 (ベアメタル型)」と「Type 2 (ホスト型)」の 2 種類に大別されます。
Type 1
Type 1 は物理サーバー上に直接インストールされます。ハイパーバイザーが OS 層を介さずにリソースを管理するため、オーバーヘッドを最小限に抑えられ、高いパフォーマンスと安定性を発揮します。高い可用性や信頼性が求められる企業の基幹システムなど、エンタープライズ環境での利用が主流です。
Type 2
Type 2 は Windows や Linux といった既存の OS 上に、アプリケーションとしてインストールされます。 Type 1 に比べてパフォーマンスは劣るものの、導入が容易という利点があります。開発環境や学習目的での利用が中心です。
ハイパーバイザーを用いない仮想化
ハイパーバイザーとは異なるアプローチの仮想化技術に「コンテナ」があります。
コンテナは、ホスト OS のカーネルを共有し、アプリケーションの実行環境を分離・配布することに特化した技術です。ハイパーバイザーと比較して起動が高速でリソース消費も少ない反面、ホスト OS と異なる種類の OS は実行できません。
一方、ハイパーバイザーによる仮想化では、 1 台の物理サーバー上で Windows や Linux など異なる OS の仮想マシンを同時に実行できます。また、各仮想マシンはハードウェアレベルで分離されているため、コンテナよりも高い隔離性(セキュリティ強度)を確保できるのが特徴です。
2. VMware ESXiの特徴
ESXi は、VMware が開発した「 VMkernel 」と呼ばれる専用カーネルで動作する、エンタープライズ向けの高機能な Type 1 ハイパーバイザーです。
VMkernel は仮想化のためだけに最適化された軽量なカーネルです。不要なコンポーネントを徹底的に排除した構造により、攻撃対象領域を最小化してセキュリティを強化すると同時に、ハードウェアリソースを効率的に利用し、仮想マシンの高いパフォーマンスと安定性を実現します。
ESXi が仮想化技術のデファクトスタンダードとされてきた理由は、ハイパーバイザーとしての信頼性や安定性に加え、 vCenter Server との連携によって実現される豊富な管理機能にあります。 vCenter Server と連携することで、 vMotion (仮想マシンの無停止移行)、 HA (高可用性)、 DRS (リソース分散配置)といった高度な運用が可能です。
複雑な IT インフラの運用を効率化する高度な機能で業界をリードしてきた ESXi ですが、 Broadcom による買収を契機としたライセンス体系の再編により、今後のコストや契約形態を見直す企業が増えるなど、運用方針の再評価が進んでいます。
3. 各ハイパーバイザーの比較
自社のビジネス要件や技術戦略に最適な仮想化インフラを再評価する動きが活発化しています。ここでは、 ESXi の代替となり得るハイパーバイザーを紹介します。
ESXiと同じType 1型の 3つのハイパーバイザー
ESXi の代替候補となるのが、同じ Type 1 型の主要なハイパーバイザーである KVM 、 Hyper-V 、そして Xen です。
ESXiを含めた 4つのハイパーバイザーの比較
4 つの主要な Type 1 ハイパーバイザーを、 5 つの視点で比較します。
| 比較項目 | VMware ESXi | KVM | Hyper-V | Xen |
|---|---|---|---|---|
| パフォーマンス | 非常に高い。 専用カーネル( VMkernel )によりオーバーヘッドが小さい。 |
非常に高い。 Linux ネイティブに近い性能。ただし適切なチューニングが必要。 |
高い。 特に Windows ゲストに最適化されている。 |
高い。 準仮想化による高性能化が可能。 |
| 運用面 | 優れている。 vCenter による GUI 集中管理、高機能な HA/vMotion が使える。 |
中程度。 OpenStack などの上位層なしでは GUI は限定的( virt-manager など)。 |
優れている。 Windows 管理ツールによる統合管理で Windows 利用者には直感的。 |
中程度。 OpenStack などの上位層なしでは GUI が限定的。 |
| ライセンスモデルと TCO | 高額。 コア単位のサブスクリプション。 TCO が高い。 |
無料 / 低額。 オープンソース。 Red Hat などによる有償サポートあり。 TCO 削減効果大。 |
Windows Server ライセンスに含まれるが、大規模環境では OS ライセンスと CAL が TCO の主要因となる。 | 無料 / 低額。 オープンソース。商用版は有償サポートあり。 TCO が低い。 |
| ハードウェア互換性とベンダーロックイン | 認定ハードウェア( HCL )が必須で、ベンダーロックイン性が高い。 | 汎用 Linux カーネル上で動作するため、ハードウェアの選択肢が広い。 | Windows Server が動作する一般的なサーバーで動作可能。 | オープンソースであり、ハードウェアの選択肢は広い。 | ESXi からの移行性 | – | 仮想ディスク形式( VMDK )を qcow2 などに変換するツールが存在するが、移行には調整が必要。 | Microsoft Virtual Machine Converter などのツールで VHDX 形式への変換が必要。 | VHD などへの変換ツールは存在するが、移行プロセスは比較的複雑。 |
各ハイパーバイザーにはそれぞれ特性と適した用途があり、自社のシステム要件・運用体制・コストのバランスに応じて最適な基盤は異なります。これらの比較を踏まえ、自社にとって最も持続的に運用できる仮想化環境を検討してください。
4.まとめ
Broadcom による VMware のライセンス体系変更は、多くの企業にとって、これまで慣れ親しんだ仮想化インフラを再評価する契機となっています。各ハイパーバイザーは明確な特徴を持ち、それぞれに適した領域が存在します。本記事を参考に、自社のビジネスやコスト要件に最適な環境を検討していただけると幸いです。
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