目次
働き方改革やDXにも寄与するVDIの最適な導入方法について解説
コロナ禍によりテレワークを導入する企業が増えています。テレワークを実現するための技術のひとつにVDIがありますが、オンプレミスでVDIを構築するには大規模な企業でないとコストメリットが出ない場合があります。そのため、クラウドでVDIを実現する企業も多いですが、クラウドでVDIを実現するサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。
VDIの製品としてはVMware社が提供しているVMware Horizonが有名ですが、Microsoft社とVMware社がAzure上でVMware Horizonを運用するためのサービスを展開しています。
本記事では、VDIの概念と、Azure上でVDIを実現するためのサービス「VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azure」について解説します。
1. VDIとは
まず、VDIの概要とメリットについて解説します。
1.1 VDIの概要
VDIとは、サーバー上で仮想化されたデスクトップ環境を生成し、クライアント端末(業務で利用するパソコン等)側に画面を転送する技術です。クライアント端末側では、サーバーから画面を受け取り、表示し、キーボードやマウスによる操作を行います。
VDIでは、1台のサーバー上に複数の仮想デスクトップ環境を生成することで、複数人で利用することができるようになり、サーバーのマシンリソースを効率的に利用することができます。
1.2 VDIを導入するメリット
VDIを導入するメリットは下記の通りです。
- セキュリティの強化
- テレワークの実現
- 端末管理業務の効率化
- BCP対策
1.2.1 セキュリティの強化
VDIはクライアント端末ではなく、遠くにあるサーバーにデータを保存します。そのため、端末に対するサイバー攻撃や、端末の盗難・物理的な破壊、従業員の悪意による情報漏洩の防止につながります。
1.2.2 テレワークの実現
VDI導入により、どこにいてもサーバーに接続することで業務が可能です。そのため、勤務場所がオフィスに限定されなくなり、テレワークの実現につながります。
1.2.3 端末管理業務の効率化
VDIは遠くにあるサーバーでデスクトップを一元管理します。そのため、OSのアップデートなどを個別の端末に行うのではなく、サーバー上で一括管理できることにより作業負担の軽減と効率化が可能です。
1.2.4 BCP対策
BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)とは、企業が災害等により危機的な状況に置かれた場合でも事業を継続させるためのプランです。VDI導入により、場所を選ばずに業務ができるようになるため、例えば災害や、新型コロナウイルスの影響などによりオフィスへ通勤できなくても自宅等で業務継続が可能となります。
2. VMware Horizonとは
VDIを実現するための製品にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、VMware社が提供している仮想化ソフトウェア、VMware Horizonの概要と特徴について解説します。
2.1 VMware Horizonの概要
VMware Horizonは、VMware社が提供しているVDIを実現するための製品シリーズで、社内のクライアント環境を仮想化し、サーバーに集約することで一元管理を可能とするソフトウェアです。VDI化を実現することでユーザーに快適なデジタルワークスペースを提供することを目的としています。
2.2 VMware Horizonの特徴とメリット
VMware Horizonの主な特徴とメリットは下記の通りです。
- ハイブリッド・クラウド環境の簡素化
- データの保護とコンプライアンスの確保
- ROI(投資収益率)の向上
2.2.1 ハイブリッド・クラウド環境の簡素化
VMware Horizonは、オンプレミス、クラウド両方に導入可能です。これにより、オンプレミスとクラウドをシームレスに管理することができ、ハイブリッド・クラウド環境を簡単に構築することができます。
2.2.2 データの保護とコンプライアンスの確保
VDI化により、端末のデータは全てサーバー側で管理されることになります。そのためセキュリティが向上し、端末紛失・盗難等により、社内の重要データが外部へ流出するリスクが低減されます。
2.2.3 ROI(投資収益率)の向上
ROI(投資収益率)とは、投資に対してどれだけ利益を上げたのかを知るための指標です。VMware Horizonにより個別に管理していた端末を一元管理できるようになり、端末の管理・運用コストを大幅に削減することが可能です。
3. VMware HorizonをAzure上で構築するには
VMware Horizonはオンプレミスまたはクラウドでの利用が可能なサービスですが、Microsoft Azure上でより効果的にVMware Horizonを利用するためのサービス(DaaS)が提供されています。ここではAzureで提供されているDaaS、「VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azure」について解説します。
3.1 DaaSとは
DaaS(Desktop as a Service)とは、VDI環境をクラウドで提供するサービスです。VDIは大規模オンプレミスで、導入・運用コストが高いというデメリットがあります。それに対して、DaaSはクラウド上で設定だけ行えば自動構築とスケールが可能で、小規模でも導入しやすく、導入と運用管理もVDIと比べて容易になるというメリットがあります。
3.2 VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azureとは
VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azureは、VMware社がAzure向けに特化した仮想デスクトップ環境を提供するサービス(DaaS)です。VMware社により継続的な改善が続けられており、Azure上での統合管理や、他のMicrosoft製品との連携を容易にするなど、Azure上で運用管理コストを大きく削減できる仕組みを整えたサービスとなっています。
3.3 VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azureの特徴とメリット
VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azureの特徴とメリットは下記の通りです。
- グローバル展開による高い拡張性・可用性
- 柔軟な課金体系
- Microsoftサービスとの容易な連携
3.3.1 グローバル展開による高い拡張性・可用性
Azureはパブリック・クラウドとして世界最大級のプラットフォームで、世界中にリージョンを持っています。DaaSのプラットフォームにAzureを利用することにより、世界中にサービスを展開可能であり、Azureの持つ高い可用性とスケーラビリティを確保することができます。
3.3.2 柔軟な課金体系
VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azureの料金は、利用した分だけを支払う従量課金制で、利用に必要なライセンスは下記の通りとなっています。
- VMware Horizon Cloud利用料金
- 仮想デスクトップまたは仮想アプリケーション接続料金
- Azure利用料金(仮想マシン・ストレージ・ネットワークの従量課金)
VMware Horizon Cloud利用料金はVMware認定ソリューションプロバイダ経由で購入する必要があり、月額ユーザー単位でのライセンス体系となっています。仮想デスクトップ/アプリケーション接続料金はMicrosoftライセンスパートナー経由で購入する必要があり、年額ユーザー単位での販売となります。
3.3.3 Microsoftサービスとの容易な連携
VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azure は、Azure向けのサービスであるため、他のAzureサービスとの連携や、Office365やActive Directoryなど他のMicrosoft製品との連携が容易です。
3.3 Azure Virtual Desktopとの違い
Azure Virtual Desktop(AVD)は、Microsoft社自身が提供するDaaSで、2019年に発表された新しいサービスです。Azure Virtual Desktopの大きな特徴は、Windows 10のマルチセッション機能を利用できることです。マルチセッションとは、1台の仮想マシンを複数のユーザーへ提供し共同利用する機能で、共同利用によるコストを削減が見込めます。これはVMware Horizonなどサードパーティ製品にはないAzure Virtual Desktop独自の機能です。
4. まとめ
VDIやDaaSは、導入することによりセキュリティの強化、テレワーク実現、管理コスト低減など多くのメリットがあり、働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)実現にも寄与する重要な仕組みと言えます。
VDIやDaaSは本記事で取り上げたもの以外にも多くの製品・サービスがありますが、VMware Horizon Cloud Service on Microsoft Azureは、Office365などMicrosoft製品との親和性が高いサービスです。Microsoft製品を利用している場合は、選択肢のひとつとして導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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Tag: VMware Horizon
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