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VMware vSphereとは?コンポーネントや機能、導入方法を解説

Category: 入門編

2024.10.28

VMware vSphereの基本を押さえて仮想化環境を構築しよう

VMware vSphere は、 VMware 社が提供する仮想化プラットフォームです。多くの仮想化ソフトウェアのなかでも、デファクトスタンダードとして世界中の多くの企業で導入されています。

VMware vSphere は、大規模な仮想化環境も柔軟に運用できるといったメリットが多くありますが、導入を成功させるにはその概要や機能などについて理解することが重要です。

本記事では、 VMware vSphere の主要なコンポーネントや機能、具体的な導入方法まで詳しく解説します。

1. VMware vSphereとは

VMware vSphere (以下、 vSphere )とは、仮想化環境を提供する製品や機能を統合したソフトウェア・スイート(パッケージ)です。仮想化とは、ソフトウェアによってハードウェアを抽象化し、効率よくリソースを利用するための技術のことを指します。

vSphere には仮想化を実現するハイパーバイザーや、複数の仮想マシンを統合的に管理するソフトウェアなどが含まれています。導入することで CPU やストレージ、ネットワークリソースなどを仮想化し、統一した運用環境として管理することが可能です。

vSphere は VMware 社が提供しており、機能性・拡張性の高さや、サポートされる OS の幅広さなどが特長です。また、総合的な管理が容易にできることもメリットで、大規模な環境にも柔軟に対応できます。

2. VMware vSphereの主要なコンポーネント

まず、 vSphere を構成する主要なコンポーネントについて解説します。

<vSphereの主要なコンポーネント>
VMware vSphereの主要なコンポーネント

vSphere ESXi

vSphere の中核となる、ハイパーバイザー型仮想化ソフトウェアです。「ハイパーバイザー」とは、コンピュータを仮想化するための制御プログラムのことを指します。仮想化の土台であり、物理サーバー上で直接実行され、 1 つの物理サーバーで複数の仮想マシンをホストすることが可能です。そのため、物理サーバーと比較するとコストと場所を節約できます。

ESXi について詳しくは以下の記事をご覧ください。

vSphere vCenter Server

構築した仮想化環境を管理するためのサーバーです。 ESXi で作成した複数の仮想マシンを vCenter 上で一元的に運用・管理できるため、運用負荷を軽減できます。また、次の章で紹介する vSphere のさまざまな機能を使用するには、 vCenter が必要です。

vSphere Client/vSphere Web Access

vCenter Server や ESXi ホストに接続して、仮想マシンを管理するためのユーザーインターフェースです。仮想マシンの作成や設定変更、モニタリングなどを直感的に行えます。また、ライフサイクル管理、アラートの確認など、仮想化環境を効率的に管理するための多くの機能を備えています。

3. VMware vSphereの主要な機能

次に、 vSphere が提供する主要な機能について解説します。

HA(High Availability)

仮想マシンの高可用性を確保するための機能です。ホストサーバーが障害を起こした際に、仮想マシンを自動的に別のホストサーバーで再起動することで、サービスの中断を最小限に抑えます。

クラスタ(複数の ESXi ホストをまとめたリソースプール)内の全ホストを常に監視し、障害が発生した場合に即座に対応することにより、計画外のダウンタイムが発生してもビジネスの継続性が保たれます。

vMotion

仮想マシンを稼働中のまま異なるホストへ移動させる機能です。システムのメンテナンスや負荷分散を行う際に、仮想マシンを停止させずに移動させることが可能になります。これにより運用の柔軟性を大幅に向上させることができます。

DRS(Distributed Resource Scheduler)

リソース管理を自動化する機能です。クラスタ内の物理リソース( CPU やメモリ)の使用状況を監視し、仮想マシンを最適なホストに自動的に再配置することで、リソースの効率的な利用と負荷の均等化を実現します。これにより、各ホストが均等に負荷を分散し、仮想マシンのパフォーマンスを最適化できます。

DPM(Distributed Power Management)

データセンターのエネルギー消費を削減しつつ、サービスレベルを維持するための機能です。クラスタ内のリソース稼働率が低下した際に、仮想マシンを少数の ESXi ホストに片寄せして稼働中のホスト数を減らし、残ったホストをスタンバイモードに移行させます。

これにより消費電力を削減しつつ、仮想マシンの中断や停止を回避できます。また、リソース需要が増加した場合には、スタンバイモードのホストを自動的にオンラインに復帰させ、仮想マシンを再配置して負荷分散を行います。

4. VMware vSphereの導入方法

実際に vSphere を導入する際の基本的な手順を紹介します。

1. 事前準備
ハードウェアとソフトウェアの要件を確認し、導入に必要なリソースを準備します。とくに ESXi ホストの互換性や、 vCenter Server のシステム要件を満たしていることを確認しましょう。
2. ESXi のインストール
物理サーバーに ESXi をインストールします。インストール後は起動設定やネットワーク設定などを行います。
3. vCenter Server のインストール
vCenter Server をインストールします。デプロイ方法は GUI と CLI から選択できます。
4. vSphere Client から vCenter Server に接続
vSphere Client を使用して vCenter Server にログインし、インベントリを作成・編成します。これで vSphere のインストールとセットアップは完了です。

導入方法について詳しくは以下の記事をご覧ください。

vSphere のインストールとセットアップの概要|VMware

5. まとめ

VMware vSphereは、仮想環境を構築するためのソフトウェア・スイートです。世界中の多くの企業で導入されており、ビジネスの継続性を確保し、運用を効率化するために役立ちます。vSphereの導入を検討している場合は、主要なコンポーネントや機能、導入方法について理解することが重要です。

Tag: VMware

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