Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

AzureでChatGPTを利用したアプリケーション開発を実現する、Azure OpenAI Serviceについて解説します

Category: 入門編

2024.12.20

生成AIを活用したソリューションをAzure OpenAI Serviceで構築しよう

DX 推進により、企業や組織は日々膨大な量のデータを生成し蓄積しています。これらのビッグデータから有益な情報を抽出し、意思決定や予測分析に活用するために、 AI の高度な処理能力の活用が求められています。

Azure 環境で AI ソリューションの構築を可能とする Azure OpenAI Service は、 AI 技術を迅速にビジネス・プロセスに組み込むことができるサービスです。

本記事では、 Azure OpenAI Service の特徴や機能、混同されがちな ChatGPT との違いなどを解説した上でユースケースや利用手順について述べ、 Azure OpenAI Service の導入に必要な基礎知識を紹介します。

1. Azure OpenAI Serviceとは

Azure OpenAI Service とは、 AI を活用したアプリケーションを Azure 上で安全かつ迅速に構築できるサービスです。 OpenAI 社が開発した GPT-4 などの最先端 AI モデルを利用できます。

Azure OpenAI Serviceとは

図版出典:Microsoft公式サイト

Azure OpenAI Serviceの特徴

主な特徴として以下が挙げられます。

最新のAIモデルを利用できる

最新の自然言語処理や機械学習のモデルを提供してくれます。GPT-43 や BERT などの高度なモデルを利用することで、豊富な言語理解や生成能力を持った AI アプリケーションを構築することが可能です。

シームレスな連携を実現できる

Azure クラウドプラットフォームに統合されているため、既存の Azure サービスやツールとのシームレスな連携が可能です。 Azure Cognitive Services や Azure Machine Learning と組み合わせることで、 AI モデルのトレーニング、デプロイメント、スケーリングが容易に行えるようになります。

柔軟な展開オプション

さまざまな展開オプションを提供しています。クラウド上でのホストやエッジデバイス上での展開、オンプレミス環境へのデプロイメントなど、適切な環境に合わせて AI モデルを実行することができます。また、コンテナ化技術との統合もサポートされており、柔軟な展開が可能です。

リアルタイムな応答能力

高速かつリアルタイムな応答を提供します。大量のリクエストにもスケーラブルに対応することができます。これにより、自動応答システムなど、リアルタイムな応用に適した AI ソリューションを簡易に開発することができます。

セキュリティとプライバシーの保護

Microsoft Azure のセキュリティ機能と統合されており、データの保護とプライバシーの確保を実現します。データのエンドツーエンドの暗号化やアクセス制御などのセキュリティメカニズムが提供されており、信頼性の高い環境で AI 開発を行うことができます。

様々なタスクへの対応

AI を活用して次のような様々なタスクを実行できます。

  • 自然な会話による質問への応答
  • テキストから関連する画像を生成
  • 音声からテキストへの文字起こしと翻訳、テキストを音声に合成
  • コード生成やコード補完などのプログラミング

責任ある AI

「責任ある AI」とは、 AI による有害なコンテンツ生成や悪用、意図しない損害を防ぐための、 Microsoft 社による様々な方策を表す言葉です。

モデルの公平性、信頼性、説明可能性による信頼できる結果の提供や、機械学習資産の保護、透明性およびプライバシーの確保を目的とした様々な機能が組み込まれています。

責任ある AI

ChatGPTとの違い

ChatGPT の Web サービス版では、入力データが AI の学習データとして利用される可能性があります。 Azure OpenAI Service では、デフォルトで入力データは学習データとして使用されません。

Azure OpenAI Service は ChatGPT よりも総じてセキュリティが高く、データ保護の観点で優れており、企業や組織での利用に適していると言えるでしょう。

2. Azure OpenAI Serviceの機能

Azure OpenAI Service の機能として、利用可能な AI モデルや開発環境を紹介します。

利用可能モデルとそれぞれの特徴

利用可能な AI モデルには以下があります。

  • 言語モデル:GPT:自然言語やコードを生成
  • 画像生成モデル:DALL-E:自然言語から画像を生成
  • 音声認識モデル:Whisper:音声を認識し文字起こしを行う、認識した音声を翻訳
  • 埋め込みモデル:text-embedding:自然言語を AI にとって扱いやすいデータに変換する
  • 音声合成モデル:Text To Speech:テキストを自然な音声で読み上げる

開発環境 Azure OpenAI Studio

Azure OpenAI Studio は、生成型 AI アプリケーションを効率的に開発できる開発プラットフォームです。好みのエディタを用いて様々な AI モデルをアプリケーションに組み込むことができます。

主に以下の機能を持っています。

  • モデルカタログ:モデルが一覧で表示され、その中から使いたいモデルを検索して探し出すことが容易。タスクごとに適したモデルのフィルタリングも可能。
  • プロンプトカタログ:生成 AI で使用するプロンプトを一覧できる機能。使用例ごとに適したプロンプトの検索も可能。
  • ベンチマーク:特定のタスクやデータセットにおいて、選択したモデルがどの程度機能するかを可視化可能。

Azure OpenAI On Your Data

Azure OpenAI On Your Data とは、モデルのトレーニングや微調整をすることなく、GPT などの高度な AI モデルを独自のデータ上で実行できる機能です。

これにより、自社ビジネスに特化した特定のニーズや要求に合う高精度の結果を返す独自の AI モデルを簡単に開発できます。

<Azure OpenAI On Your Data 取り込めるデータの種類>
Azure OpenAI On Your Data 取り込めるデータの種類

3. Azure OpenAI Serviceのユースケース

Azure OpenAI Service によりビジネスプロセスの効率化や自動化を行うユースケースを紹介します。

カスタマーサポートの自動化

顧客からの多様な問い合わせに自動応答する AI チャットボットを導入し、365 日 24 時間対応のカスタマーサポートを行えます。このインテリジェントなシステムは、単なる FAQ とは異なり顧客の問い合わせを理解してパーソナライズされたサポートを提供できるため、顧客満足度とロイヤリティの向上に役立ちます。

文章の自動生成

言語モデルを用いて特定のトピックに基づいた自然で読みやすい文章を生成できます。これを活用してニュースレターや企画書、メール文面などの自動生成や校正を行い、文章に関連する業務の効率化が図れます。

コンテンツ、デザイン作成の効率化

製品に関する説明文や写真などを取り込み、 Web ページやパンフレット、マーケティングメールなどを提案させることで、クリエイティブ・プロセスにおける人的リソースや時間を節約できます。

意思決定プロセスの効率化

過去の履歴データを、分析と予測に優れた生成 AI モデルを用いて分析しパターンを識別させることで、正確な予測と情報に基づいた意思決定が可能になります。サプライチェーンの管理や在庫予測、需要計画の効率化に役立ちます。

紙文書などの読み取り自動化

文字や画像を AI-OCR ( AI による光学文字認識)で読み取り、紙文書のデジタルデータ化が可能です。紙文書を基にデータ入力する業務の自動化に活かし、取引先からの注文書のデータ入力時間削減や、手書きアンケート集計の効率化などを行えます。

4. Azure OpenAI Serviceの利用手順

Azure OpenAI Service の導入手順と費用についての概要を解説します。

利用開始までの手順概要

利用開始に必要な手順を順を追って説明いたします。

1. Azure サブスクリプションを作成する
まず、 Azure を利用するためのサブスクリプションを作成します。

※参考:Azure アカウント

2. Azure OpenAI Service へのアクセスを申請する
利用するには事前申請し、それが承認される必要があります。申請から承認までには数日間かかる場合があります。

3. リソースを作成し、モデルをデプロイする
Azure portal や Azure CLI を使用してリソースの作成とモデルのデプロイを行います。以前は GPT-4 モデルの使用に別途申請が必要でしたが、 2023 年 10 月からは申請なしで利用可能となっています。

料金体系

料金体系は大きく次の 2つに分かれます。

  • 従量課金制( PAYG ):使用したリソース分の支払い。使用量に応じて従量課金される。
  • プロビジョニング・スループット・ユニット( PTU ):予測可能なコストでスループットを割り当て、月次および年次の予約により全体的な支出を削減できる課金制。

課金の単価は AI モデル毎に異なります。また、課金対象も GPT-4 の場合はトークン数、DALL-E は画像枚数のように、モデルにより異なります。

※参考:Azure OpenAI Service の価格

5. まとめ

ここまで、最先端の AI 技術を活用し、豊富な言語処理や機械学習の能力を提供する革新的なクラウドサービス Azure OpenAI Service の機能、ユースケースや利用手順など、 Azure OpenAI Service の導入に必要な基礎知識を解説しました。

導入のための準備として、機能やユースケースを知り自社に合うソリューションのイメージを掴むことが大切です。導入の手順や費用について学んでおけば、安心して具体的な導入検討を進めていけるでしょう。

検討にあたっては Azure OpenAI Service に知見と実績を持つプロフェッショナルに相談することもおすすめです。

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Tag: Azure OpenAI Service

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