目次
Azure のストレージサービスを使用してファイルサーバーを構築してみよう
Azure ではストレージサービスが提供されており、これを利用することでファイルサーバーを構築できます。Azure のストレージサービスには複数の種類があり、それぞれ使用用途に応じて最適なものを利用できる点が特徴です。
本記事では Azure で構築するファイルサーバーの概要、 Azure のストレージサービスの種類、利用するメリット、ユースケースを解説します。
1. Azureでファイルサーバーを構築するには

Azure で提供されるストレージサービスを利用することで、クラウド上にファイルサーバーを構築できます。
ファイルサーバー構築のために利用できる Azure のストレージサービスは複数あり、要件や用途に応じて最も適したサービスを選択することが可能です。いずれのサービスもクラウドで提供されるため、 Azure File Sync のような同期サービスを除けば利用者側で新たにストレージを準備する必要はありません。
Azure で構築したファイルサーバーを利用する場合、既存の Active Directory との連携や ACL ( Access Control List )をそのまま引き継いで使用できる点が特徴です。また Windows 、 Linux 、 Mac といったマルチプラットフォームに対応しているため、クライアント環境を意識せずに利用できます。
2. Azureで構築するファイルサーバーのメリット

Azure で構築するファイルサーバーを使用する主なメリットは次のとおりです。
運用負荷の軽減
Azure 上のファイルサーバーはハードウェアや OS の管理が不要で、運用負荷を軽減できます。
たとえばハードウェアの故障対応やリプレース、 OS の設定、監視、パッチ適用に工数をかける必要がありません。ハードウェアや OS のサポート切れを常に確認し続ける必要もないため、新たな機種選定やリプレースによる知識の習得や教育にかかる工数や費用も削減できます。
柔軟な拡張性
Azure のリソースは使用量に応じて柔軟かつ迅速な拡張が可能です。
オンプレミス環境の場合、ファイルサーバーの増設には機器の選定から購入、データセンターへの搬入、設定まで時間をかけなければなりません。しかし、 Azure の場合、 Azure 側であらかじめリソースがプールされているため柔軟に拡張できます。
優れたセキュリティ
Azure のストレージサービスは、定期的なセキュリティパッチの適用、多様なセキュリティ設定、 ExpressRoute などによってセキュアな機能を提供しています。 ExpressRoute は、 Azure とオンプレミス環境を接続する際に使用する、 Microsoft 社が提供する VPN サービスです。
オンプレミスでセキュリティ対策を行う場合、セキュリティパッチ未適用や設定漏れによってセキュリティホールが発生するおそれがあります。しかし、マネージドサービスであればそうした心配はありません。
3. Azureが提供するストレージサービス
Azure でファイルサーバーを構築するために利用できるストレージサービスは主に以下の 5 種類です。
サービス名 | 特徴 | 使用用途 |
---|---|---|
Azure Files |
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Blob Storage |
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Azure NetApp Files |
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|
Azure File Sync |
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|
Azure VM + Managed Storage |
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それぞれのストレージサービスについて詳しく解説します。
Azure Files

Azure Files はクラウド型のマネージドストレージサービスです。
導入が容易で、ハードウェアや OS の管理、パッチ適用が不要というメリットがあります。主に業務用ファイルサーバーを新規に構築する、あるいはファイルサーバーをリプレースする際に利用します。
SMB 、 NFS 、 REST API によるアクセスが可能で、 REST API を使用すれば http メソッド( PUT 、 GET 、 POST など)でファイルの送受信が可能です。さらに Windows 以外にも Linux 、 Mac でアクセス可能なメリットがあります。
Blob Storage

Blob Storage はオブジェクトストレージサービスで、動画ファイルや画像ファイルといった大容量ファイルを長期間保存することに適しています。
Blob Storage の場合、通常のファイル保存と違いデータをオブジェクトとして格納する点が特徴です。 Blob Storage はコンテナと呼ばれる単位でデータを格納します。コンテナはデータを入れる箱で、収納ボックスのように1つのコンテナに複数のデータを保存します。コンテナの数は無制限に設定可能で、コンテナにデータを格納するため通常のディレクトリ構成はとりません。
なお、 NFS や SFTP の使用が可能です。
Azure NetApp Files

図版出典:Microsoft公式サイト
NetApp ストレージは米国 NetApp 社からリリースされているストレージで、 Azure NetApp Files はこのストレージを使用したサービスです。
NetApp は実績のあるストレージで、 OnTAP と呼ばれる独自のプロトコルで通信します。 OnTAP を使い慣れた企業にとっては、これまでの知見を活かして運用負荷を削減できます。 NetApp は読み込み、書き込みの性能にも優れているため、オンプレミスと同等の性能を維持したいときにメリットのあるサービスです。
Azure File Sync

Azure File Sync はオンプレミスにあるファイルサーバーとの間でファイルを同期するサービスです。
複数の拠点にあるファイルサーバーと同期でき、オンプレミスのファイルサーバーに設定されている ACL ( Access Control List )を保持できます。さらにディレクトリ構成の同期が可能で SMB 、 NSF 、 SFTP といった各種プロトコルに対応している点が特徴です。
ファイルサーバーにアクセスするクライアント側は Windows 、 Linux 、 Mac といった OS が使用できます。しかし、同期させるファイルサーバー側の OS は Windows のみ可能な点には注意しなければなりません。
Azure VM + Managed Storage

Azure VM + Managed Storage は、 Azure VM (仮想マシン)用のストレージです。
Managed Storage を仮想マシンにアタッチして使用します。シンプルな構成で利用できるうえ、 VM を使用しているため既存の監視ツールやミドルウェアを導入できる点が特徴です。なお、 Azure VM + Managed Storage を使用する際には VM の管理が発生するため注意が必要です。
このように、それぞれのサービスには特徴があり、 Azure Files のようなストレージサービスのほかにも、目的に応じて Blob Storage や Azure File Sync を選択できます。なお、各サービスの費用はストレージのタイプや容量、使用量に応じて変わるため、詳細は公式サイトで確認する必要があります。
最新情報は以下の公式ホームページでご確認ください。
4.Azureで構築するファイルサーバーのユースケース
ここで、 Azure のストレージサービスにより構築するファイルサーバーのユースケースをいくつかご紹介します。
多拠点間でのファイル共有
クラウド上にファイルサーバーを構築するため、多拠点間でのファイル共有に適しています。
各拠点から Azure 上に構築したファイルサーバーへアクセスする際には ExpressRoute を経由して接続します。各拠点からデータセンターを経由せず直接アクセスするローカルブレイクアウト形式をとるため、広範囲に渡り閉域網の確保が必要な従来の方法に比べてコストを抑えられる点がメリットです。
災害発生時の事業継続
Azure File Sync を使用してファイル同期を実施することで DR ( Disaster Recovery )を実現できます。
仮に拠点が被災しファイルサーバーを使用できなくなった場合でも、 Azure File Sync で同期した Azure 上のファイルサーバーにアクセス先を変更することで事業を継続できます。
オンプレミス環境とのハイブリッド運用
Azure のストレージサービスは既存のインフラ環境を大きく変更することなく導入できます。さらに導入後は Azure 上に構築したファイルサーバーを軸としてインフラ基盤の更新や再設計も可能です。
たとえば、ファイルサーバーのみ Azure サービスを利用したい場合、既存のインフラ環境を大幅に変更することなく ExpressRoute の構築と設定変更のみで実現できます。
5. まとめ
Azure のマネージドストレージサービスを利用することで、クラウド上にファイルサーバーを構築できます。
Azure のストレージサービスにはさまざまな種類があり、使用用途に応じて選択できます。ハードウェアの導入や管理の必要がなく拡張性に優れ、コストの無駄がない点もメリットです。
今後ファイルサーバーを導入、拡張する際には、 Azure のストレージサービスを利用することも検討してみてください。
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