目次
データアクセスの最適化、コストの削減、セキュリティの強化に役立つAvere vFXT for Azureの基本機能、メリット、設定手順について
クラウドテクノロジーの進化により、企業や研究機関は従来のオンプレミス環境にとどまらず、クラウドリソースを積極的に活用するようになりました。従来のオンプレミス環境の堅牢性に加え、クラウドプラットフォームは高い信頼性とスケーラビリティを備えており、オンプレミスとクラウドの効果的な融合が進んでいます。
オンプレミスとクラウドの融合を実現するために、クラウドストレージとオンプレミスストレージの最適な統合を可能にするのが、次世代キャッシュソリューション Avere vFXT for Azure です。
本記事では、 Avere vFXT for Azure の基本機能、メリット、利用事例について紹介します。
1. Avere vFXT for Azureの概要
求められる背景
近年、ハイパフォーマンスコンピューティング( HPC )環境や、ビッグデータや複雑なシミュレーションデータなど、大容量のデータを処理する複雑なワークロードでは、高速データアクセスが求められています。
また多地域にまたがるユーザーがデータにアクセスする場合、データのレプリケーションや同期など、堅牢に一貫性を確保しながらグローバルアクセスを実現することが求められています。
しかしクラウドストレージは大変利便性の高いサービスですが、コストは容量や頻度に応じて発生する従量制であり、高頻度でアクセスされるデータを保持するとコスト負担が増える可能性があります。
このような背景から、昨今のデータ統合はハイブリッドクラウド環境でのデータアクセスの最適化やストレージコストの最適化、大容量データの処理、グローバルなデータアクセスの要件に応えることがで、企業や研究機関に求められています。
リリースまでの経緯
元々は Avere Systems 社が、オンプレミスのキャッシュソリューションとしてリリースし、データのアクセス速度とパフォーマンスの向上を実現するなど、革新的なファイルシステム技術とキャッシング技術で、大規模コンピュートワークロードを実行するソリューションとして提供されていました。
ストレージおよびコンピュートリソースを複数のデータセンターで効率的に共有し、プライベートおよびパブリッククラウドインフラを効果的に実装し、様々なメディアおよびエンターテインメント業界のグローバルブランド企業などでも運用され、時間短縮による効率化やコスト削減を可能とするソリューションです。

図版出典:@IT
Microsoft は2018年に Avere Systems 社を買収し、 Avere の技術とソリューションをAzureプラットフォームに統合しました。これにより、クラウドストレージとオンプレミスストレージの統合がさらに強化され、ハイブリッドクラウド環境でのデータ管理がよりシームレスになりました。
そして2020年に Avere vFXT for Azure が正式にリリースされ、 Azure の高度なパフォーマンスコンピューティングサービスとの統合が実現され、企業や研究機関はオンプレミスとクラウドの両方の環境でデータの効率的な管理とアクセスを実現し、クラウドコンピューティングの利点を最大限に活用することができるようになりました。

図版出典:Microsoft公式サイト
2. Avere vFXT for Azureの基本機能
Avere vFXT for Azure に適した環境
Avere vFXT for Azure は、データ集約型のファイルシステムキャッシュソリューションです。このようなキャッシュソリューションが適した環境とはどのようなものなのでしょうか。 Microsoft 公式のガイダンスでは、利用の前提として以下のような環境に適していると解説されています。
- HPC ワークロードでの読み取り負荷の高い操作
- 一般的な NFS プロトコルを使用したアプリケーション
- 1,000 から 40,000 CPU コアのコンピューティング ファーム
- オンプレミス ハードウェア NAS 、 Azure Blob Storage 、またはその両方との統合
- ※1 参考記事:
- Avere vFXT for Azure とは
Avere vFXT に適した環境かどうかを判断するには、書き込みに対する読み取りのワークロードの比率が高いかどうかに注目する必要があります。次の図より、ワークフローが右上に近いほど、Avere vFXT for Azure のキャッシュソリューションが環境に適していると言われています。詳しくは Microsoft 公式サイトにてご確認ください。

図版出典:Microsoft公式サイト
- ※2 参考記事:
- Avere vFXT for Azure の FAQ
Avere vFXT for Azure の主な機能
クラウドストレージへのキャッシュ
Avere vFXT for Azure は、 Azure Blob Storage や Azure Files などの Azure クラウドストレージにアクセスする際に、キャッシュを使用してデータの読み取りと書き込みを高速化します。
よくアクセスされるデータは高速キャッシュに保持され、頻繁にデータをストレージから取得する必要がなくなるため、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。またデータアクセスに対するコスト削減にも役立ちます。
オンプレミスとクラウドの統合
オンプレミスのストレージと Azure クラウドストレージとの間でデータの統合を実現します。これにより、既存のオンプレミス環境を保持しながら、クラウドリソースを活用するハイブリッドクラウド環境を構築できます。
HPCの最適化
Avere vFXT for Azure は、 HPC ワークロードに特化した設計となっており、複雑な数値計算や大規模なデータ処理を高速に行うことができます。データアクセスの効率化により、 HPC ワークロードの計算時間を大幅に削減し、生産性を向上することができます。
グローバルなアクセス
Avere vFXT for Azure は、複数の地理的なリージョンにわたってデータをキャッシュし、グローバルなアクセスをサポートします。データのレプリケーションや同期により、異なる場所にいるチームやユーザーがデータにシームレスにアクセスできるようになります。
データのセキュリティとコントロール
Avere vFXT for Azure は、データの暗号化やアクセス制御、 Azure Active Directory を使った認証などのセキュリティ機能を提供します。データの保護とセキュリティを強化することで、データの安全性が確保できます。
3. Avere vFXT for Azure の展開手順
Avere vFXT for Azure の展開手順を重要なポイントに絞って解説します。
手順1:テンプレートの選択
Azure portal にある作成テンプレートにアクセスし、「 Avere vFXT for Azure ARM Template 」 を選択し作成を開始します。

図版出典:Microsoft公式サイト
手順2:クラスター情報の入力
クラスターコントローラーの情報、 vFXT クラスターの情報を入力します。


図版出典:Microsoft公式サイト
手順3:作成したパラメーターでデプロイする
作成したパラメーターや価格情報を確認し必要事項を入力して作成(購入)します。

図版出典:Microsoft公式サイト
デプロイが完了すると、リソースグループから情報を確認できるようになります。

図版出典:Microsoft公式サイト
手順4:クライアントをマウント(接続)する
クラスターノードとクライアント トラフィックの負荷を分散させる方法を決定し、マウントする IP アドレスとパスを確認し、適切な引数を指定して mount コマンドを発行します。mountコマンドに関する詳細は公式サイトをご参照ください。
クラスター作成から接続までの手順は以上です。ここでは重要なポイントを利用開始手順の流れを解説しましたが、利用環境によって設定する値は異なります。詳細はマイクロソフト公式サイトにてご確認ください。
- ※3 参考記事:
- vFXT クラスターのデプロイ
- Avere vFXT クラスターをマウントする
- mount コマンドの引数
- ※4 参考記事:
- ※5 参考記事:
4.まとめ
本記事では Avere vFXT for Azure について時代背景における重要性、機能、利用開始までの手順について解説しました。 Avere vFXT for Azure は、ハイブリッドクラウド環境においてクラウドとオンプレミスのストレージを融合させる革新的なキャッシュソリューションです。
クラウドストレージへのキャッシュ、オンプレミスとクラウドの統合、 HPC の最適化、グローバルなアクセス、データのセキュリティとコントロールを活用し、ハイブリッドクラウド環境におけるデータアクセスの最適化やストレージコストの削減、セキュリティの強化に貢献する Avere vFXT for Azure の今後の展開が期待されます。
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Tag: Avere vFXT for Azure
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