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中小企業が行うべきBCP対策とは?クラウドを活用した対策も解説

Category: 入門編

2025.01.16

中小企業で効率的にBCP対策を行うには

災害が発生し、システムの停止などが発生すると、中小企業の業務に大きな影響を与える場合があります。回復できない状態が長引けば、最悪の場合は企業の存続にさえも影響を与えかねません。このような事態に陥らないよう、中小企業では日頃から BCP (事業継続計画)対策を継続的に行うことが重要です。

本記事では、 BCP の重要性や中小企業の現状、 BCP 策定の基本ステップ、またクラウドを活用した BCP の強化について解説します。中小企業における BCP の要点を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1. BCPの重要性と中小企業の現状

BCP 対策を行うに当たって、まずはその重要性と現状を把握する必要があります。ここでは、 BCPの重要性と中小企業の現状を解説します。

中小企業でBCP対策が必要な理由

中小企業は大企業と比較すると、設備や従業員の人数が少ない場合が多いです。そのため、災害や悪意のあるセキュリティ攻撃のような予期せぬ事態からの回復力に乏しい傾向があります。

こうしたリスクに備え、非常事態から可能な限り迅速に事業を正常に行える状態に回復できるようにするための BCP ( Business Continuity Planning :事業継続計画)を策定する必要があります。

BCPの重要性と中小企業の現状

中小企業のBCP対策の取り組み状況

中小企業における 2019 年から 2021 年の BCP の策定状況の推移を見ると、 BCP を策定している企業は毎年増加傾向にはあるものの、半数近い企業が BCP 対策を行っていない状況が続いていることがわかります。

中小企業のBCP対策の取り組み状況

図版出典:中小企業庁:2022年版「中小企業白書」 第5節 事業継続計画(BCP)の取組

中小企業では、 BCP 対策として非常時の連絡網の作成や、業務データのバックアップの保管など、一般的な取り組みが行われている場合が多いです。しかし、専門知識が豊富な人材が不足しているために、個々の企業の業務に特化した BCP 対策は進んでいない傾向があります。

中小企業にメリットがある制度

中小企業が活用できる制度として、中小企業庁が実施している「事業継続力強化計画認定制度」があります。この認定を受けることで、災害からの回復力の高さをアピールでき、企業としての信頼性を高めることが可能です。また、保険料の優遇を受けられるなど、付随的なメリットもあります。

※参考:事業継続力強化計画 | 中小企業庁

2. BCP策定の基本ステップ

ここでは、 BCP 策定のためのステップを解説します。

基本方針の策定と運用体制の決定

まずは基本方針を策定します。例えば「災害時でも主要業務を 48 時間以内に再開する」といった、 BCP 策定により実現する方針をしっかりと定めることで、進むべき方向性が明確になります。

次のステップとして、運用体制を整える必要があります。万が一災害が発生しても、最適なチームワークによる運用で災害に対応できるように体制を整えましょう。

中核事業の特定と復旧目標の設定

災害などの予期せぬ事態が発生した場合に、最優先で回復する必要がある中核事業を特定しておく必要があります。これにより BCP 対策に明確な優先順位を付けることが可能です。

また、復旧目標を設定することで、災害が発生した場合にも明確なプロセスをたどることができます。

事前対策と定期的な訓練

常日頃から従業員への教育を行うことで、予期せぬ事態にも冷静に対処できるようになります。事前に対策を共有し、役割分担を明確にしておきましょう。

また、定期的な訓練を通じて問題点を洗い出すことで、 BCP の実効性を高めることができ、災害からの回復も早まります。

3. クラウドを活用したBCPの強化

近年では、 BCP におけるクラウドの有効性が注目されています。ここでは、 BCP にクラウドを活用するメリットや事例について紹介します。

クラウドを活用する利点

クラウドサービスは冗長な構成が取られており、仮に特定のデータセンターが被災しても、他のデータセンターが機能することにより、影響を抑えられます。加えて、このような冗長な構成でデータのバックアップを取得しておくことにより、復旧時間の短縮にもつながります。さらにクラウドサービスでは災害からの復旧手順が自動化されている場合が多いです。

またクラウドサービスでは堅牢なセキュリティ対策が実装されているため、サイバー攻撃による被害が発生するリスクも低減させることができます。万が一データが漏洩した場合も、データの暗号化により被害を最小限に抑えられます。

中小企業におけるクラウドの活用事例

中小企業における事例の一つとして、クラウドストレージを活用した顧客データの管理が挙げられます。従来のオンプレミス環境では、災害時にサーバーの物理的な損傷や停電などによる顧客データの消失リスクがありました。一方クラウドストレージであれば、自社で管理するデータが破損しても、クラウド上で顧客データを安全に管理・復旧することが可能です。

また、新型コロナウイルス感染症のような非常事態が発生した場合でも、インターネット環境さえあればどこからでもデータにアクセスできるクラウドサービスを活用することで、リモートワークを実現して中小企業の業務を維持できます。

4. 中小企業におけるBCPのポイント

ここでは、中小企業における BCP のポイントを解説します。

シンプルで実行可能な計画を立てる

BCP の策定と運用のポイントは、基本的な策定プロセスを遵守し、確実に実行することです。特別な独自性や複雑な工夫を加える必要はありませんが、自社の業種や規模に応じて適切な対応を組み込むことが求められます。定期的に見直しを行い、シンプルで実行可能な BCP 対策を行うことが成功につながります。

中小企業庁のガイドラインの活用

中小企業庁による「中小企業BCP策定運用指針」では、中小企業が現実的に行える BCP対策が説明されています。また、内容は専門用語の多用を避けているため簡潔で分かりやすく、 BCP に対する知見が浅い担当者でも理解して実戦することが可能です。

※参考:中小企業BCP策定運用指針

クラウドサービスの活用

前章で解説したように、クラウドサービスはデータの安全性を高められます。また、従量課金制であることが多いため、 BCP においても中小企業の業務量に合わせてコストを最適化することが可能です。リソースや予算が限られた中小企業において、クラウドサービスの利点を活用することは重要な BCP のポイントと言えるでしょう。

中小企業におけるBCPのポイント

5. まとめ

リソースやコストが限られる中小企業の BCP 対策は、 BCP 策定の基本ステップを理解して効率的に実施する必要があります。またクラウドには BCP に有効な特徴が多いため、活用することでさまざまなメリットが得られます。ぜひこの記事を参考にして、効率的な BCP 対策を実現してください。

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Tag: BCP対策

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