Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

VDIとは?VDIの用途とメリット、実装方式や製品について解説

Category: 入門編

2021.07.08

はじめに

コロナ禍でテレワークを導入する企業が増え、VDIという技術に注目が集まっています。VDIとは、離れた場所にあるサーバー上で仮想的なPC環境を生成し、セキュリティを確保したままオフィス以外でも業務ができるようにするための技術です。本記事では、VDIの概念、メリット、実装方式や、VDIを実現するための製品について解説します。

1. VDIとは

VDIとはどのようなものなのでしょうか。VDIとは、Virtual Desktop Infrastructureの略称で「仮想デスクトップ」とも呼ばれます。まずはVDIの概要について解説します。

1.1 ファットクライアントとシンクライアント

VDIの概要を解説する前に、まずはクライアント端末側の環境の種類について知っておく必要があります。クライアント側の環境は大きく下記の2種類があります。

  • ファットクライアント
  • シンクライアント

ファットクライアント

ファットクライアント(Fat Client)とは、一般的なパソコンと同様に、OSやアプリケーション、ファイルなどを自分のローカルに保持する構成です。あらゆる作業がネットワークを介さずに端末上で行うことができ、作業者がファイルやデータを外部へ持ち出すことも可能です。

シンクライアント

シンクライアント(Thin Client)とは、ハードディスクなどの記憶装置を持たず、処理やファイルなどの保存をサーバー側で行う構成です。端末は一見普通のパソコンに見えますが、ディスプレイ・キーボード・ネットワークアクセスなど、最小限の機能に絞られた構成となります。作業にはネットワーク接続が必須となり、ファイルやデータは全てサーバー上に保持されるため、作業者はファイルやデータを外部へ持ち出すことができません。

1.2 VDIとは

次に、VDIの概要について解説します。VDIとは、シンクライアントを実現する手段のひとつです。

サーバー上で仮想化されたデスクトップ環境を生成し、クライアント側に画面を転送します。クライアント側では、サーバーから画面を受け取って表示し、キーボードやマウスによる操作をサーバー側へ転送します。

こうすることで、作業者からは手元の端末上でデスクトップを操作できているように見えます。1台のサーバー上に複数の仮想デスクトップ環境を生成して複数人で利用することで、サーバーのマシンリソースを効率的に利用できる構成を取るのが一般的です。

VDIを導入するメリット)
VDIを導入するメリット

2. VDIを導入するメリット

近年、VDIを導入する企業が増えています。企業がVDIを導入するメリットと、普及が進んでいる理由について解説します。

2.1 VDIを導入するメリット

企業がVDIを導入するメリットについては下記が挙げられます。

  • セキュリティの強化
  • テレワークの実現
  • 端末管理業務の効率化
  • BCP対策

セキュリティの強化

VDIは端末側にファイルやデータを保持しないため、セキュリティの強化につながります。端末に対するサイバー攻撃や、盗難・物理的な破壊、従業員の悪意による情報漏洩を防ぐことが可能です。

テレワークの実現

VDI導入により、勤務場所がオフィスに限定されず、ネットワークさえ繋がる環境であればどこでも勤務可能となります。

端末管理業務の効率化

ファットクライアントの場合、OSのアップデートなどは端末個別に実施する必要がありましたが、VDI導入によりサーバー上で一括管理することで、作業負担が軽減され、作業品質の向上に繋がります。

BCP対策

テレワークの実現により、万が一災害やパンデミック等でオフィスが使用不可能となっても自宅等で業務を継続できるため、事業への影響を抑えることが可能です。

2.2 VDI導入が増えている理由

2020年に入ってから、VDIを導入する企業が増加しています。IDC Japanの調査(※1)によると、2020年にVDIを導入した企業は27.7%と、前年比3.5ポイント増加となっています。働き方改革や、新型コロナウイルス・大災害などのリスクを考慮して拡大するテレワークの導入において、それを実現するためのVDIは企業にとって重要な技術の一つだと言えるでしょう。

※1 参考:IDC Japan 2020年 国内クライアント仮想化市場ユーザー動向分析調査結果を発表

3. VDIの実装方式

VDIはどのような実装方式で実現するのでしょうか。ここでは、VDIの代表的な4つの実装方式について解説します。

  • VDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式
  • SBC(Server Based Computing)方式
  • ブレードPC方式
  • DaaS(Desktop as a Service)方式

3.1 VDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式

VDI方式は、サーバー上で仮想化されたデスクトップ環境を生成し、クライアント側に画面を転送する方式です。

クライアント端末側では、サーバーから画面を受け取り表示し、キーボードやマウスによる操作を行います。一般的には、1台のサーバー上にユーザーごとに独立した複数の仮想デスクトップ環境を生成して複数人で利用します。

環境が独立しているため個々のユーザーの自由度が高く、ユーザーごとの環境設定が他のユーザーには影響しないことが特徴です。サーバーのマシンリソースを効率的に利用することができますが、ユーザーごとに自由度の高い独立した環境を提供するため、必要なサーバーリソースは大きくなります。

3.2 SBC(Server Based Computing)方式

SBC方式は、1つのOS・アプリケーションを複数のユーザーで共有して利用する方式です。ユーザーはネットワーク経由でサーバーにアクセスしてOSとアプリケーションを利用します。

OSやアプリケーションを共有することになるため、ユーザーごとの柔軟性には欠ける方式です。また、特定のユーザーの利用方法が他のユーザーに影響を与える場合もあります。しかし、マシンリソースが共有されるため、VDIに比べて1台のサーバーでサービス提供可能なユーザー数が多く、安価に実現できるというメリットがあります。

3.3 ブレードPC方式

ブレードPC方式は、サーバー側でユーザー単位にブレードPCという小型で最低限の装置のみで集約されたパソコンを用意し、ネットワークへ接続することで利用する方式です。

つまり、ユーザーが利用するパソコンを遠隔地に設置し、ネットワーク経由で利用させる方式とも言えます。環境が完全に独立しており、柔軟性や自由度が高い一方、ユーザー数分のブレードPCを用意する必要があり、導入や運用管理コストがかかるというデメリットがあります。

3.4 DaaS(Desktop as a Service)方式

DaaS方式は、厳密にはVDIを構築するための方式ではありませんが、近年テレワークの実現方法としてDaaSを利用する企業が増加しているためここで紹介します。

DaaSもVDIと同様に、シンクライアントから遠隔地のサーバーに接続して画面転送する方式です。VDIとDaaSの違いは、VDIは企業がオンプレミスで設備を調達・設置していることに対して、DaaSはクラウド上に用意されている点です。クラウド事業者はクラウド上のサーバーをVDIのサービスとして、インターネットを介して提供します。

企業はDaaSの構成を詳しく知ることはできませんが、サーバーの構築や運用管理を行う必要がないため、コスト・運用保守の効率の面で優れているというメリットがあります。

4. VDI導入における注意事項

企業がVDIを導入するにあたり、注意するべき点を解説します。下記について、導入前に十分に確認・検討を行わないとVDIのメリットを十分に享受できなくなる可能性があります。

  • 適切なサイジングと事前検証が必要
  • サーバー障害時の対策は必須

4.1 適切なサイジングと事前検証が必要

VDIを導入するにあたり、利用者数に応じた適切なサイジング(サーバー台数やCPU/メモリなどのマシンリソースの見積り)が必要です。見積りが多すぎるとコスト負担が大きくなり、少なすぎるとデスクトップの必要数が確保できず、また処理性能も出ずに業務に支障を来たすおそれがあります。処理性能については社内のネットワーク構成にも依存するため、事前にネットワーク構成や帯域の調査を行った上で、検証用のVDI環境を構築して動作検証や性能検証を実施することが重要です。

4.2 サーバー障害時の対策は必須

VDI方式は、サーバー上に複数の仮想デスクトップを搭載する方式であるため、サーバー障害時の影響範囲が大きいと言えます。サーバー障害により大勢の社員が業務できなくなる場合もあるため、VDIを構成するサーバーやネットワーク機器が障害を起こしても業務継続できるよう、機器の冗長化を行うなどの対策は必須です。

5. VDIやDaaSを実現する代表的な製品とサービス

それでは、実際にVDIとDaaSを実現する代表的な製品とサービスについて概要を紹介します。

5.1 VMware Horizon

VMware Horizonは、ヴイエムウェア社が提供しているVDIを実現するためのソフトウェアです。サーバー仮想化ソフトウェアとして数多くの実績があるVMware vSphereを活用しているため、信頼性と運用保守性の高い仮想デスクトップ環境の構築が可能です。また、企業の規模とサーバー構成に柔軟に対応できるよう、オンプレミス用のライセンスと、Microsoftのクラウドである Azure上のライセンスを用意しており、ハイブリッドな環境でVDIを構築できることも特徴のひとつです。

5.2 Citrix Virtual Apps and Desktops

Citrix Virtual Apps and Desktopsは、シトリックス・システムズ・ジャパンが提供しているVDI用のソフトウェアです。サーバー仮想化ソフトウェアであるXenDesktopを活用しており、VMware Horizonと同様に総合的なVDI環境の構築が可能です。VDIとしての機能や運用管理機能としてはVMware Horizonと大きな差はありませんが、よりセキュアなVDI環境を提供できるようセキュリティ強化(※2)に力を入れている製品です。

※2 参考:Citrix Virtual Apps and DesktopsサービスとVMware Horizon Cloudの比較

5.3 Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)

Azure Virtual Desktopは、マイクロソフトが提供しているDaaSです。Microsoft Azure上のサービスとして2019年に発表されました。Azureのサーバーやネットワークはマイクロソフトが提供・管理しているため、インフラを意識せずに従量課金により低コストでVDI環境を整備することができます。また、Microsoft製品やAzureとの親和性が高く、Azure上で構築したActive DirectoryやSQL Serverなどとのシームレスな連携が可能です。

※あわせて読む:Azure Virtual Desktop(旧:Windows Virtual Desktop)とは?今こそ知りたい基本情報

5.4 Amazon WorkSpaces

Amazon WorkSpacesは、アマゾンウェブサービスが提供しているDaaSです。AWS上のサービスのひとつとして提供されています。Azure Virtual Desktopと同様にDaaSとして総合的なVDI環境を提供しており、従量課金により低コストで使用することができます。

Azureと比較すると、Microsoft製品との親和性は劣りますが、WindowsとLinuxのデスクトップを利用可能です。また、料金体系の種類(※3)が多いのが特徴で、利用者数や利用期間、利用特性に応じて柔軟な料金体系を選択することができます。

※3 参考:Amazon WorkSpecesの料金

まとめ

VDIは、テレワークによる働き方改革や、情報漏洩などのセキュリティ強化、BCPを実現するための技術で、企業の事業経営リスクを抑えるための技術でもあります。VDIを導入する際は、VDIの恩恵を最大限享受することができるよう、適切な見積りや事前調査が必要であり、適切な製品・サービスを選択する必要があります

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Tag: Azure Virtual Desktop VDI

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