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BCP対策の代表的なガイドライン4選!内容や特徴をわかりやすく解説

Category: 入門編

2025.01.20

ガイドラインの共通点を参考にしてBCPを策定しよう

BCP (事業継続計画)は、自然災害やサイバー攻撃などの被害を受けた場合において、迅速に復旧して事業を続けることを目的としています。企業で BCP を策定する際は、各省庁のガイドラインを参考にするのがおすすめです。ガイドラインの内容を理解することで、自社に適した BCP 対策を立案しやすくなるでしょう。

本記事では、 BCP 対策の代表的なガイドラインを 4 つ紹介します。ガイドラインの共通点や BCP 対策でクラウドを活用するメリットについても解説しますので、参考にしてください。

1. BCP対策の代表的なガイドライン

BCP 対策の代表的なガイドラインは、下記の4つです(ガイドライン名から各資料へリンクしています)。

ガイドライン名 事業継続ガイドライン 地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン 金融庁業務継続計画(首都直下地震対応編 自然災害発生時の業務継続ガイドライン
策定機関 内閣府 総務省 金融庁 厚生労働省
特徴 自然災害のみならず、サイバー攻撃やパンデミックなど多様なリスクに対応できるような対策を提案している 具体的なサンプルやチェックリストを提供している 金融庁の非常時優先業務などを掲載している 通所サービスや訪問サービス、居宅介護支援サービスなど、各サービス類型に応じた具体的な対応策が掲載されている

それぞれのガイドラインの内容や特徴について解説します。

内閣府「事業継続ガイドライン」

内閣府が策定した「事業継続ガイドライン」は、企業や組織が災害や危機的事象に直面した際に、重要な事業を中断させず、迅速に復旧させるための指針を提供するものです。このガイドラインは、事業継続計画( BCP )や事業継続マネジメント( BCM )の策定・運用をサポートし、組織のレジリエンス強化を目的としています。

記載されている主な内容は下記のとおりです。

  • 事業継続の取組の必要性と概要
  • 事業継続戦略・対策の検討と決定
  • 事前対策及び教育・訓練の実施
  • 事業継続マネジメント( BCM )の点検・評価 など

事業継続ガイドラインの特徴は、自然災害のみならず、サイバー攻撃やパンデミックなど多様なリスクに対応できるように幅広い視点での対策を提案している点です。

BCM は経営課題の一つであり、経営者自らが積極的に関与することの重要性を強調しています。テレワークの活用や情報セキュリティの強化など、現代のビジネス環境に即した対策を盛り込んでいるのも特徴です。

総務省「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン 」

総務省が策定した「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン」は、地方公共団体が災害やシステム障害などの緊急事態において、 ICT (情報通信技術)部門の重要業務を中断させず、迅速に復旧させるための指針を示しています。

記載されている主な内容は下記のとおりです。

  • BCP 策定の基盤づくり
  • 簡略なBCPの策定
  • 本格的なBCPの策定と全庁的な対応との連動

本ガイドラインの特徴は、非常用電源の確保やデータのバックアップ、代替拠点の設定など、事前に講じるべき対策を具体的に解説している点です。 災害発生時の初動対応として、職員の参集手順や外部事業者との連携方法などを明確に定めることの重要性を記載しています。

また、地方公共団体が自らの状況に合わせて BCP を策定できるように、具体的なサンプルやチェックリストを提供しているのも特徴です。本ガイドラインでは、クラウドサービスの利用やデータの遠隔バックアップなど、最新の ICT 技術を活用した業務継続対策を推奨しています。

金融庁「金融庁業務継続計画(首都直下地震対応編)」

金融庁が策定した「金融庁業務継続計画(首都直下地震対応編)」は、首都直下地震の発生時において、金融庁が優先的に実施すべき業務や、その業務を継続するための体制を定めたものです。この計画は、首都直下地震発生時における金融庁の業務継続体制を強化し、金融システム全体の安定性を確保するための重要な指針となっています。

記載されている主な内容は下記のとおりです。

  • 金融庁の非常時優先業務
  • 想定災害発生時における職員の参集体制
  • 業務継続のための執務環境の整備

金融庁業務継続計画の特徴は「都心南部直下地震( M7.3 、東京 23 区の最大震度 6 強)」を想定している点です。災害対策本部の設置・運営や、金融市場・金融機関の状況確認、国民・金融機関・海外当局等への情報発信、被災者支援の要請、被災者からの相談受付などを優先業務として定めています。

厚生労働省「自然災害発生時の業務継続ガイドライン」

厚生労働省が策定した「自然災害発生時の業務継続ガイドライン」は、介護施設・事業所が地震や水害などの自然災害に備え、サービスを安定的・継続的に提供するための指針を示しています。

記載されている主な内容は下記のとおりです。

  • BCP の基礎知識
  • 介護施設・事業所における業務継続計画( BCP )
  • BCP 作成のポイント

本ガイドラインの特徴は、通所サービスや訪問サービス、居宅介護支援サービスなど、各サービス類型に応じた具体的な対応策が示されている点です。地域との連携や福祉避難所の運営についても詳しく解説しています。

2. ガイドラインの共通点

前項で紹介した 4 つのガイドラインの共通点は下記の 3 つです。

  • 初動対応と情報共有の重要性
  • 多様なリスクへの対応
  • 継続的な見直しと改善

初動対応と情報共有の重要性

どのガイドラインにおいても、災害発生直後の初動対応や、関係者間での迅速な情報共有が復旧作業を円滑に進めるポイントとして位置付けています。初期段階での正確な状況把握と適切な情報伝達は、その後の対応や意思決定の質を大きく左右するでしょう。

多様なリスクへの対応

4 つのガイドラインでは、自然災害(地震や洪水)に加えて、パンデミックやサイバー攻撃といった複合的・現代的なリスクにも対応する必要性を述べています。これらの新たなリスクに対しては、従来の対策に加えて、デジタル技術の活用や専門家との連携といった柔軟なアプローチが必要です。

継続的な見直しと改善

どのガイドラインにおいても、社会環境やリスクの変化に対応するため、ガイドラインや計画を定期的にレビューし、更新する必要性について述べています。実際の災害対応から得た経験をもとに、実効性の高い体制づくりを進めることが重要です。

3. BCP対策でクラウドを活用するメリット

BCP 対策を策定する際は、クラウドサービスの活用がおすすめです。クラウドを活用するメリットは下記の 4 つです。

地理的に離れた場所にバックアップを保管できる

クラウドサービスを利用すれば、データを物理的に離れた地理的拠点(別リージョンや国)に保存できます。地震や洪水など地域全体が被災する災害が発生した際も、遠隔地にあるバックアップデータが安全に保管されていれば迅速な復旧が可能です。

復旧プロセスを自動化できる

災害発生時に復旧作業を手動で行うと、ヒューマンエラーが発生するリスクがあり、時間もかかります。自動化機能が搭載されたクラウドサービスを利用すれば、あらかじめ設定した手順に従って自動的にシステムを復旧できます。運用コストの削減や業務効率の向上にもつながるでしょう。

システムの冗長性を確保できる

クラウドサービスを活用すれば、 システムの冗長性を簡単に確保できます。たとえば、地震や停電などで特定の地域が被災しても、別の場所にあるクラウドのデータセンターがバックアップとして稼働することで業務を継続できます。業務の中断リスクを最小限に抑え、安定したサービス提供が可能になるのです。

運用管理を効率化できる

クラウドサービスを活用することで、複雑なシステムやデータの運用管理を簡素化できます。人的リソースを他の重要な業務に集中させることも可能です。

4. まとめ

今回紹介したガイドラインの共通点は下記の3つです。

  • 初動対応と情報共有の重要性
  • 多様なリスクへの対応
  • 継続的な見直しと改善

BCP 対策でクラウドを活用することで、復旧プロセスを自動化し、運用管理を効率化できます。BCP 対策を策定する際は、 Azure Site Recovery などの DR ソリューションを活用するのがおすすめです。

DR (Disaster Recovery ) とは 、ディザスタ(災害)からのリカバリ(復旧)という意味になります。DR ソリューションは BCP 対策でよく活用されています。

BCP対策でクラウドを活用するメリット

図版出典:Microsoft公式サイト

Azure Site Recovery の特徴や Azure Site Recovery を用いた BCP 対策について、下記の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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Tag: BCP対策

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