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クラウドリフトで役立つAzureサービスもあわせて紹介
クラウドシフトは、クラウドの特性を最大限に活用して業務システムを再構築する取り組みであり、 DX 推進や競争力強化に直結します。クラウドシフトを進めるためには、まず手順を正しく理解することが重要です。
本記事では、クラウドシフトの重要性やメリット、具体的な手順についてわかりやすく解説します。クラウドリフトで役立つ Azure サービスも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1. クラウドシフトとは?基本概念とその重要性
クラウドシフトとは、クラウド環境で新たにシステムやアプリケーションを再設計・構築する方式です。まずは、混同しやすい「クラウドリフト」との違いと、クラウドシフトの重要性について解説します。
クラウドリフトとの違い
クラウドリフトとは、オンプレミスで運用していた既存システムを、できる限りそのままの形でクラウドへ移す方式です。短期間でクラウド移行を実現できる一方で、クラウドの特性を十分に活かせないケースがあります。
これに対し、クラウドシフトはクラウド環境を前提にシステムを再構築するアプローチです。クラウドの特性を踏まえてシステムを再構築するためコストや工数は増えますが、利用者の増加や拠点の拡大にも柔軟に対応する拡張性を確保できます。将来的な成長や環境変化に強いIT基盤を整えたい企業にとって、クラウドシフトは有効な選択肢といえるでしょう。
クラウドシフトの重要性
クラウドシフトは、企業の競争力を高める基盤づくりにつながります。クラウド環境は、 AI や IoT 、ビッグデータ分析といった最新技術との親和性が高く、新しいサービスの開発や業務効率化をスピーディに実現できる点が魅力です。変化の激しい市場環境に迅速に対応するためにも、クラウドシフトは欠かせない取り組みといえるでしょう。
2. クラウドシフトが進む背景
ここでは、クラウドシフトが加速している背景について解説します。
DX推進に伴いクラウドシフトを検討する企業が増えている
近年、多くの企業が DX を経営戦略の柱に据えています。新サービスを迅速に展開したり、業務プロセスを改善したりするには、柔軟かつ拡張性の高い IT 基盤が欠かせません。しかし、従来のオンプレミス環境では改修や拡張に多大な時間とコストがかかるため、変化に対応しづらいという課題があります。こうした理由から、クラウドを選択する企業が増えているのです。
総務省の「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、クラウドを「全社的に利用している」企業は 52.9 %、「一部の事業所または部門で利用している」企業は 27.5 %にのぼり、合わせて 8 割を超える企業がクラウドを導入していることが示されています。
※参考:総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」P7
レガシーシステムの課題解決につながる
レガシーシステムとは、老朽化したり最新技術との互換性が低下したりした業務システムです。レガシーシステムは、保守・運用コストの増加やセキュリティリスク、業務効率の低下といった課題を引き起こします。
クラウドへ移行すれば、最新のセキュリティ機能を利用できるだけではなく、利用状況に応じたリソースの最適化やシステムの可用性向上なども期待できます。
3. クラウドシフトのメリット
ここでは、クラウドシフトによって得られる主なメリットを 4 つ紹介します。
コストを最適化できる
クラウドシフトを行うことで、サーバーやストレージといったハードウェアの購入費用や保守費用を削減できます。クラウドサービスは利用した分だけ料金を支払う「従量課金制」が一般的なため、初期投資を抑えつつ、不要なリソースによる無駄な支出を回避できます。
さらに、利用状況に応じてリソースを柔軟に追加・削減できるため、運用コストの最適化が可能です。自社でデータセンターを運用する場合に発生する電力費や冷却費用なども削減できます。
スケーラビリティの向上につながる
クラウド環境では、需要に応じてリソースを柔軟に増減できます。急激なアクセス増加にも即座に対応でき、事業拡大に伴うシステムの拡張もスムーズに行えるため、将来の成長に合わせた柔軟な運用が可能です。
セキュリティを強化できる
クラウドサービスプロバイダーは高度なセキュリティ対策を実装しており、データ暗号化やアクセス制御、定期的なセキュリティ更新を提供しています。これらの仕組みを活用すれば、重要なデータを安全に保護することが可能です。さらに、各種規制やコンプライアンス要件を満たしたセキュリティ基準を備えることで、取引先や顧客からの信頼性向上にもつながります。
企業全体の生産性向上につながる
クラウドシフトを行うことで、 IT 部門はサーバー保守や運用管理に割く時間を削減できます。その結果、空いたリソースを新しいサービスの導入や戦略的な業務に振り向けられ、企業全体の生産性向上につなげることが可能です。また、クラウドサービスプロバイダーが提供する最新機能を活用すれば、システム改善や業務効率化をスピーディに進められます。
4. クラウドシフトの実施手順
クラウドシフトを実施する際は、下記の流れで進めるのが一般的です。
現行調査と要件整理を行う
まずは、現在利用しているハードウェアやソフトウェア、ネットワーク構成、データの格納場所などを把握しましょう。あわせて、中長期的な IT 戦略を踏まえた業務要件とシステム要件を整理することが重要です。
整理した内容をもとに、クラウド移行が適切か、どの部分を移行すると効果的かを判断します。既存システムのパフォーマンス、可用性、セキュリティ要件を分析し、クラウド移行が技術的に可能であり、かつ経済的に合理的かどうかを検討しましょう。
クラウドサービスプロバイダーを選定する
クラウドサービスプロバイダーを選ぶ際は、下記のポイントを比較検討しましょう。
- サービス範囲
- 費用対効果
- サポート体制
- 既存システムとの互換性
- セキュリティ基準
代表的なクラウドサービスプロバイダーとしては、 Microsoft Azure や Amazon Web Services ( AWS )、 Google Cloud などが挙げられます。なかでも Azure は、 Microsoft 製品との高い親和性や、豊富なサービス群、セキュリティ基準の高さなどが強みです。特に Microsoft 製品をすでに利用している企業、セキュリティやコンプライアンス対応を重視する企業などに適しています。
移行計画を策定する
続いて、移行計画を策定します。具体的には、下記の項目を整理しましょう。
- 移行対象となるシステム
- 移行スケジュール
- 必要なリソース
- リスクと対策
- 役割分担
- システムの移行順序
- ダウンタイム最小化の手順
- テストや検証方法
移行計画の策定で役立つのが、 Azure Migrate です。オンプレミスのサーバーやアプリケーション、データベースなどのシステムを Microsoft Azure へ移行するプラットフォームです。現行システムの検出や評価から、 Azure への移行計画策定、移行の実行・監視までサポートでき、移行作業の効率化とリスク低減につながります。
移行作業を進める
まずテスト環境を構築し、機能検証や性能検証など、必要な検証を十分に行います。その後、本番環境への移行を段階的に進めることで、トラブルを早期に発見し、迅速な対応が可能です。リスクを抑えつつ、確実にクラウド環境への移行を進められます。
運用しつつ継続的な改善を図る
移行後は、クラウド環境のパフォーマンスを継続的にモニタリングし、必要に応じて最適化を図りましょう。セキュリティ更新やバックアップ、リソース使用状況の確認など、日常的な運用管理を徹底することも重要です。
Azure Monitor を利用すれば、システムの稼働状況やパフォーマンスをリアルタイムで監視し、異常を早期に検知できます。これにより、長期的な安定稼働を実現できるでしょう。
5. まとめ
クラウドシフトは、企業の競争力を高めるうえで欠かせない取り組みです。しかし、現行環境の調査から計画策定、クラウドサービスの選定、移行、運用改善などを自社だけで完結させるのは容易ではありません。
Rworks では、 Azure 導入支援サービスを提供しており、要件定義から設計・構築・運用まで一貫してサポートすることが可能です。システム移行をご検討の企業は、お気軽にご相談ください。
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