Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

オンプレミス型VDIとクラウド型VDIの違いは?選び方も解説

Category: 実践編

2024.11.11

それぞれのメリット・デメリットを理解して自社に最適な選択をしよう

VDI( Virtual Desktop Infrastructure ・仮想デスクトップインフラストラクチャ)は、サーバー上に仮想化されたデスクトップ環境を構築し、ユーザーがリモートでアクセスする仕組みです。

ユーザーはネットワーク経由で場所を問わずに安全にデスクトップ環境へアクセスできるため、リモートワークの促進やセキュリティ強化を目的に導入する企業が増えています。 VDI にはオンプレミス型とクラウド型の 2 種類があるため、それぞれの特徴を知り自社に適したものを選定することが重要です。

本記事では、オンプレミス型 VDI とクラウド型 VDI それぞれの仕組みやメリット・デメリット、選び方について解説します。

1. オンプレミス型VDIとクラウド型VDIの違い

VDI には、「オンプレミス型」と「クラウド型」があり、仮想デスクトップ環境を構築・提供する方法が異なります。まずそれぞれの仕組みについて解説します。

オンプレミス型VDIの仕組み

オンプレミス型VDIの仕組み

オンプレミス型 VDI は、自社で管理するサーバーやストレージなどのインフラを利用して仮想デスクトップ環境を構築し、クライアント PC からネットワークを経由してアクセスする仕組みです。ハードウェアやネットワーク、セキュリティ設定などはすべて自社で管理します。

クラウド型VDIの仕組み

クラウド型VDIの仕組み

クラウド型 VDI は、クラウドサービスプロバイダが管理するサーバー上に構築された仮想デスクトップ環境を、ユーザーがインターネットを通じてサービスとして利用する仕組みです。「 DaaS ( Desktop as a service )」とも呼ばれます。基本的に環境の構築やメンテナンスなどはプロバイダが行います。

オンプレミス型・クラウド型 VDI の特徴をまとめると次のとおりです。次章から詳しく解説します。

オンプレミス型 VDI クラウド型 VDI
構築場所 自社サーバー クラウドプロバイダのサーバー
管理 自社 基本的なインフラ部分はクラウドプロバイダ
初期コスト 高い 低い
運用負荷 高い 低い
スケーラビリティ 限界がある 高い
カスタマイズ性 高い 制限される
セキュリティ 自社でフルコントロールが可能 クラウドプロバイダに依存

2. オンプレミス型VDIのメリット・デメリット

オンプレミス型 VDI のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

オンプレミス型VDIのメリット

オンプレミス型 VDI のメリットは次のとおりです。

カスタマイズ性が高い

自社で VDI 環境をフルコントロールするため、業務要件に合わせて仮想デスクトップの設定を細かくカスタマイズできます。たとえば、グラフィック処理を多用する設計部門には GPU を強化したサーバーを導入し、パフォーマンスの高い作業環境を提供することが可能です。

また通信経路も自由に設計できるため、インターネット接続に依存せず、社内ネットワーク内のみで稼働するデスクトップ環境を構築することもできます。

既存のオンプレミスシステムとの統合が容易

すでにオンプレミスで稼働している既存の IT システムやアプリケーションとの統合がしやすく、データ移行や連携がスムーズに行えます。これにより、仮想デスクトップ環境から直接既存システムを利用することも可能です。

堅牢なセキュリティ環境を構築できる

企業が VDI 環境全体を自社で管理するため、デスクトップ内で扱うデータが外部に流出するリスクを最小限に抑えられます。また、そもそも企業のセキュリティポリシーにより社外のクラウドにデータを保管できない場合は、オンプレミスを選択する必要があります。

オンプレミス型VDIのデメリット

オンプレミス型 VDI のデメリットは次のとおりです。

初期・維持コストが高い

サーバーやストレージ、ネットワーク機器などの仮想デスクトップ環境を構築するためのインフラを自社で購入・構築する必要があるため、導入コストが高くなります。また、ハードウェアの更新や追加が必要になる場合もあり、長期的な維持コストも必要です。

管理・運用の負担が大きい

VDI環境を維持するハードウェアやソフトウェア、セキュリティ対策、ネットワークの管理などをすべて自社で行うため、専門知識を持った人材が必要です。VDIにインストールしているアプリケーションやOSのメンテナンスやアップデート、障害対応なども必要なため、管理者の負担が増加する懸念もあります。

スケーラビリティに限界がある

仮想デスクトップの利用者数が増える場合、物理的なリソースを増強する必要があります。ハードウェアの調達・設定には時間と費用がかかり、物理的なスペースも考慮しなければなりません。

3. クラウド型VDIのメリット・デメリット

次に、クラウド型 VDI のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

クラウド型VDIのメリット

クラウド型 VDI のメリットは次のとおりです。

初期コストが低く、コストの最適化につながる

仮想デスクトップ環境を構築するためのインフラを自社で購入する必要がないため、オンプレミス型に比べて初期コストを大幅に抑えられます。クラウドサービスは多くの場合、使用した分だけ課金される従量課金制です。仮想デスクトップを利用する人数に合わせてリソースを増減できるため、無駄なコストがかかりにくい特徴があります。

管理・運用の負担が少ない

基本的にクラウドプロバイダがインフラの管理やメンテナンス、セキュリティアップデートなどの作業を行うため、自社での VDI 環境の管理負担が大幅に軽減されます。また、契約するとすぐにサービスを利用開始できるため、スピーディな導入が可能です。

スケーラビリティが高い

必要に応じてリソースを迅速かつ柔軟に追加できるため、急なユーザー数の増加などにも対応可能です。たとえば、季節雇用や繁忙期に合わせて仮想デスクトップ数を増やしたい場合にも迅速に対応できます。まずはスモールスタートで始めて、徐々に拡大したい場合にも適しており、逆にリソースが不要になった場合はすぐに削減できます。

クラウド型VDIのデメリット

クラウド型 VDI のデメリットは次のとおりです。

カスタマイズ性が制限される

プロバイダが提供するインフラやツールに依存するため、オンプレミス型に比べて仮想デスクトップ環境のカスタマイズや設定に制限があります。たとえば、特定の業務要件に合わせて専用のソフトウェアを仮想デスクトップにインストールする必要があっても、クラウド型では対応できない可能性もあります。

運用コストの管理が必要

クラウドサービスの多くは従量課金制であるため、利用状況に応じてコストが変動します。低コストが魅力のクラウド型ですが、要件や設定によってはオンプレミス型よりも高コストになる可能性もあります。常にコストの検証・管理が必要です。

通信環境の影響を受ける

クラウド型 VDI には必ずインターネットを介してアクセスするため、安定したインターネット接続環境が必須です。通信障害や速度低下が発生すると、作業効率に大きく影響するおそれがあります。

4. オンプレミス型VDI・クラウド型VDIの選び方

オンプレミス型 VDI ・クラウド型 VDI それぞれの特徴を踏まえると、どちらが自社に適しているのか判断できます。

オンプレミス型VDIが適している場合

次のような場合は、オンプレミス型 VDI を選択することがおすすめです。

  • 金融機関や医療機関など、データ保護に厳しい規制がある
  • 建設現場や工場など、インターネット接続は不安定だが、社内ネットワークにはアクセスできる
  • 製造業など、高いパフォーマンスが求められる専用ソフトウェアや特定の業務要件に合わせた高性能なハードウェアを導入する必要がある

クラウド型VDIが適している場合

次のような場合は、クラウド型 VDI を選択することがおすすめです。

  • スタートアップ企業や小規模企業など、初期投資を抑え、スモールスタートで始めたい
  • 小売業やカスタマーサポートセンターなど、季節的・一時的に仮想デスクトップの需要が増える
  • 教育機関や非営利団体など、専任のIT管理者が少なく人的リソースが限られている

5. まとめ

ここまで紹介したように、 VDI にはオンプレミス型とクラウド型の 2 種類があり、それぞれ特徴が異なります。効果的に活用するには、自社に適したものを選定することが重要です。まずは自社の要件を整理した上で、検討してみてください。

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Tag: VDI

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