目次
VDIシステムの概要を理解して効果的に活用しよう
VDI システムを導入する際は、構成要素の一つ一つや導入時のポイントを理解することが重要です。本記事では、 VDI システムの概要や主な構成要素について解説します。また、オンプレミスとクラウドベースの VDI システムの違いや導入時のポイント、ベストプラクティスについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1. VDIシステムとは
ここでは、 VDI システムの基本的な概要を解説します。
VDIシステムの概要
VDI ( Virtual Desktop Infrastructure )とは、クライアントがサーバー上に作られた仮想デスクトップ環境にリモートでアクセスし、 OS やアプリケーションを操作できるようにする技術です。
VDI システムとは、 VDI を実現するためのサーバーやネットワーク、ソフトウェアなどの実際のシステム全体のことを指します。 VDI 環境では、クライアント端末の種類は問わず、同じデスクトップ環境を使用することが可能です。

VDIシステム導入による利点
VDI システムの導入により、ユーザーはどこからでもデスクトップ環境にアクセスできるため、自宅や外出先などのオフィス外からリモートワークができます。また、管理者にとっては端末ごとにソフトウェアやパッチをインストールする作業が不要になり、仮想環境で一括管理できるため、運用効率が向上します。
さらに、データはサーバーで処理・保存されるためクライアントで使用する物理的な端末にはデータが残りません。万が一端末を紛失した場合もデータ漏洩のリスクを防ぐことができ、セキュリティを強化できます。
2. VDIシステムの主な構成要素
VDIシステムの構成要素の一つ一つを理解していけば、 VDI システム全体の理解にもつながります。ここでは、 VDI システムの主な構成要素について解説します。
ハイパーバイザー
ハイパーバイザーは、サーバー上に複数の仮想デスクトップ環境を作成するソフトウェアで、 VDI システムにおけるもっとも重要な構成要素です。また、ハイパーバイザーは仮想デスクトップ環境に CPU やメモリなどのリソースを割り当てます。

ストレージ
ストレージには、クライアントがアプリケーションの操作などで記録したデータが保存されます。ストレージにより、クライアントは複数の異なる端末から操作しても同じデータを使用することが可能です。また、ストレージには、仮想デスクトップ環境の設定も保存されます。
ネットワーク
クライアント端末と、サーバー上の仮想デスクトップ環境間の通信はネットワークを通して行われます。ネットワークはクライアントからのリクエストと、サーバーからのレスポンスがストレスなく行われる状態に保つ必要があります。
接続プロトコル
接続プロトコルにより、クライアントのキーボードなどのインターフェースによる制御内容がサーバーに送られ、サーバーからはクライアント画面の更新などの制御が送られます。このような制御を実現する代表的な接続プロトコルとして、 RDP( Remote Desktop Protocol ) が挙げられます。
3. オンプレミスとクラウドベースのVDIシステムの違い
VDI システムには、自社で環境を構築するオンプレミスベースと、クラウドプロバイダが提供する環境をサービスとして利用するクラウドベースのものがあります。ここでは、それぞれの違いについて解説します。
コスト構造の違い
オンプレミスの VDI システムを実現するためには、社内にサーバーやストレージを用意する必要があります。このため、ハードウェアを用意するコストが必要です。また、オンプレミスの VDI システムを運用するためには、サーバーやストレージの障害対応や管理を行う人的コストも必要です。
これに対して、クラウドベースの VDI システムは、すでに構築された仮想デスクトップ環境をサービスとして利用します。サーバーやストレージを用意する必要がないため、初期コストを抑えることが可能です。
また、クラウドベースの VDI システムは多くの場合従量課金制です。無駄なく使用すればコストを抑えられますが、必要以上にリソースを使わないようコスト管理をする必要があります。
導入までの手順
オンプレミスの VDI システムを導入するためには、仮想デスクトップ環境を構築するためのハードウェアやインフラ環境の準備、必要なアプリケーションのインストールなどが必要です。導入時に行うテストや動作確認も全て社内で行うため、手間や時間がかかります。
これに対して、クラウドベースの VDI システムでは既にクラウド環境に導入された仮想デスクトップ環境を活用します。必要なアプリケーションのインストールやテストを行う必要はありますが、ハードウェアやインフラ環境のテストはクラウド事業者により十分に行われています。
自社に適しているVDI環境を選択するポイント
自社で行う業務が一時的な業務の場合、初期コストを抑えられ導入の手間も少ないクラウドベースの VDI システムを選択することがおすすめです。また、ニーズの変化が激しい業務に対応する場合も、クラウドの特徴である従量課金制を柔軟に活用できます。
これに対して、自社内で長期的なビジョンのある業務を行う場合は、オンプレミスの方が導入時に一定の費用や手間を費やす必要はありますが、長期的に見ればコストを抑えられる可能性が高いです。
また、特定の業務内容に高いパフォーマンスが求められる場合などは、カスタマイズ性の高いオンプレミスの VDI システムが適しています。
4. VDIシステム導入時のポイントとベストプラクティス
ここでは、 VDI システム導入時のポイントとベストプラクティスについて解説します。
パフォーマンスの最適化
VDI システムでは、各仮想デスクトップ環境のユーザーの使用状況や業務内容に応じてリソースを割り当てる必要があります。運用中も定期的に使用状況の監視を行い、パフォーマンスが低い仮想デスクトップ環境があれば、リソースの再割り当てや増強を行って最適化することが重要です。
たとえば、デザインソフトのような負荷の高いソフトを使用する担当者の環境には多くのリソースを割り当て、負荷の高いソフトを使用しない担当者の環境には少ないリソースを割り当てるような工夫も、パフォーマンスの最適化につながります。
セキュリティ対策の重要性
VDI システムを活用してリモートワークなどを行う場合、 VDI システムのネットクークでは企業にとって重要で秘匿性の高い情報が通信されます。このため、 VDI システムで十分なセキュリティ対策を行い、情報漏洩などのセキュリティ事故を防ぐことが重要です。
具体的に VDI システムを導入する際には、情報の暗号化、多要素認証(MFA)、役割ベースのアクセス制御(RBAC)などのセキュリティ対策を行いましょう。
運用におけるベストプラクティス
VDIシステムを運用していく上では、コストやリソース、セキュリティ対策など様々なポイントを考慮する必要があります。たとえば従量課金制の仕組みを考慮したコスト計画や、ユーザー負荷に応じたリソースの調整、データの保護とアクセス制限の管理などです。
自社の状況やニーズに応じてこれらに適切に配慮し、 VDI システムを運用していくことがベストプラクティスであり、その結果として業務に与えるメリットは大きなものとなります。
5. まとめ
VDI システムを業務で活用するためには、 VDI システムの基本的な仕組みや構成要素を理解する必要があります。その上で、オンプレミスとクラウドベースの VDI システムのように異なる VDI システムを必要に応じて使い分けることが重要です。
加えて、 VDI システム導入時のポイントとベストプラクティスについて理解し、業務に応用しましょう。ぜひこの記事を参考に、 VDI システムを活用してください。
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