目次
VDIの運用の基本プロセスから安全かつハイパフォーマンスに使えるベストプラクティスを紹介
VDI( Virtual Desktop Infrastructure :仮想デスクトップ)の導入は、企業の IT インフラを効率化し、リモートワークや多拠点からのアクセスを可能にする重要な手段です。しかし、 VDI の運用が適切に行われていないと、パフォーマンスの低下やセキュリティリスク、そして運用コストの増加といった問題が発生します。
本記事では、 VDI 運用における基本的な運用プロセス、パフォーマンス、セキュリティ、そして運用コストの最適化について詳しく解説します。
1. VDI運用の基本プロセス
VDI 環境を安定して運用するためには、いくつかの日常的な運用プロセスを適切に実行・管理する必要があります。ここでは、特に重要な 4 つの運用プロセスについて解説します。
リソース管理
VDI 環境の安定運用には、リソース管理が不可欠です。サーバーの CPU 、メモリ、ストレージなどのリソースが過剰に使用されていると、パフォーマンス低下やシステム停止が発生する恐れがあります。専用の監視ツールを導入し、リソースの使用状況をモニタリングすることで、リソース不足に迅速に対応できます。
ユーザー管理
ユーザー管理は運用の効率性とセキュリティに影響します。複数のユーザーが同時に VDI にアクセスするため、各ユーザーに適切な権限を設定し、リソースを公平に割り当てる必要があります。また、外部アクセスへの対策も重要です。定期的にユーザーアカウントを見直し、不要なアカウントを削除することが必要です。
ソフトウェアやシステムの定期的なアップデート
VDI 環境の安定性やセキュリティを保つためには、ソフトウェアやシステムの定期的なアップデートが必要です。 VDI 製品や仮想化ソフトウェア、デスクトップ OS のバージョンを最新のものに保つことで、セキュリティリスクを最小化し、システムの安定性を確保することができます。
ログ監視とトラブルシューティング
システムの正常性を維持するためには、ログの監視が必要です。ログをリアルタイムで監視し、異常な動作やエラーが発生した場合には即座に対応できるようにしておく必要があります。
2. VDIのパフォーマンス管理と最適化
VDI 環境のパフォーマンス管理は、ユーザーの作業効率やシステムの安定性に直結する重要な要素です。ここでは、 VD Iのパフォーマンス管理と最適化について解説します。
パフォーマンスモニタリングとキャパシティプランニング
VDI 環境の安定運用には、リソースのリアルタイム監視が不可欠です。監視ツールで CPU 、メモリ、ストレージの使用状況を常にモニタリングし、異常がないかチェックすることで、問題が顕在化する前に対応することができます。
また、将来のワークロードやユーザー数の予測に基づいてリソースを計画するキャパシティプランニングを行うことで、将来的なリソースの最適化が可能になります。
ネットワーク遅延の監視と解消

VDI 環境では、ネットワーク遅延が大きな問題となることがあります。ネットワークが遅延すると、ユーザーの作業効率が低下するだけでなく、全体のパフォーマンスにも影響が及ぶ恐れがあります。
監視ツールを利用して遅延やパケットロスを監視し、問題が発生した際には帯域増強やトラフィックの負荷分散などの対応策を実行することで、快適なVDI環境を維持することができます。
パフォーマンス改善のためのベストプラクティス
VDI 環境のパフォーマンスを維持・改善するためには、いくつかのベストプラクティスを実践することが推奨されます。例えば、定期的なシステムメンテナンスを行い、不要なファイルやアプリケーションの削除、リソースの見直しを行います。
また、ユーザーの利用パターンを把握し、業務のピークタイムに合わせてリソースを割り当てることで、パフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
3. VDI環境のセキュリティ運用
VDI 環境を安全に運用するためには、セキュリティ対策が非常に重要です。ここでは、セキュリティを高めるために必要な運用方針と具体的な対策について解説します。
セキュリティポリシーの設定と適用
セキュリティの基本となるのは、セキュリティポリシーの設定と適用です。各ユーザーやグループに対して適切なアクセス権限を設定し、権限のないデータやシステムにアクセスできないようにすることが必要です。
定期的にアクセス権を見直し、業務の変化に合わせてポリシーを更新することで、不正アクセスのリスクを最小限に抑えることができます。
アクセス制御と認証強化

セキュリティ運用のもう一つの重要なポイントは、アクセス制御と認証の強化です。 VDI 環境においては、ユーザーがどこからでもアクセスできるため、適切なアクセス管理が必要です。
多要素認証( MFA )の導入は、リモートアクセス時のセキュリティを強化するための効果的な方法のひとつです。MFA により、万が一、ユーザーの ID やパスワードが漏洩しても、不正アクセスを防ぐことが可能になります。
バックアップ
VDI 環境では、仮想デスクトップに保存されているデータの保護も非常に重要です。定期的なバックアップ戦略を検討し、万が一データが失われた場合に備えましょう。バックアップ・リカバリが可能なことで、システム障害やサイバー攻撃に際しても正しくデータを復元することができます。
セキュリティインシデントの対応プロセス
セキュリティ運用には、インシデント対応プロセスの整備も必要です。インシデントが発生した場合の対応手順をあらかじめ準備しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
具体的には、インシデントの発生を検知した際の報告フロー、原因調査、影響範囲の確認、復旧作業、再発防止策の策定までの一連の流れを決めておくことが重要です。
4. VDI運用コストの最適化
VDI 環境を効果的に運用するためには、継続的なコストの最適化が重要です。 VDI は初期投資だけでなく、運用中にもリソース消費や保守にかかるコストが発生するためです。
リソース割り当ての最適化
VDI 環境のリソースは、ユーザーの使用状況や業務に応じて動的に管理することが求められます。各ユーザーの利用パターンを調査し、 CPU 、メモリ、ストレージなどのリソースを適切に割り当てることで、無駄なリソース消費を抑えることが可能です。
ハードウェアメンテナンス
VDI 運用では、ハードウェアの維持管理も重要なコスト要因です。定期的なハードウェアメンテナンスを行うことで、機器のパフォーマンスを保ちつつ、寿命を延ばすことができます。
運用自動化ツールの活用
運用の効率化には、自動化ツールの導入が有効です。仮想マシンの作成・起動・停止、トラブル時のログ収集などのタスクを自動化することで、手動での作業負荷を軽減し、運用コストを削減できます。
アウトソーシングの活用
コスト削減の一環として、アウトソーシングの活用も検討すべきでしょう。特定の IT 運用タスクや保守業務を外部に委託することで、自社の運用負担や人件費を軽減することができます。5. まとめ
VDI を安定稼働させるには多くの運用プロセスが存在します。基本的なプロセスだけでなく、パフォーマンスやセキュリティにも目を向け、さらに全体のコスト最適化を行うことで、自社に最適な運用が実現します。 VDI 環境を効果的に運用し、長期的な安定運用とコストの最適化を目指しましょう。
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