Kubernetes Managed Service Column <Kubernetes運用コラム>

コンテナを効率的に管理するコンテナオーケストレーションとは?代表的なツールや選び方も紹介

Category: 入門編

2025.05.30

ポイントを押さえて自社に最適なコンテナオーケストレーションを選定しよう

コンテナ技術の活用が進む中、複数のコンテナを効率的に管理し、スケーラブルな運用を実現するための仕組みとして、コンテナオーケストレーションが重要視されています。 Kubernetes に代表されるコンテナオーケストレーションツールを活用すれば、アプリケーションの可用性を維持しながら運用負担を軽減できます。

しかし、コンテナオーケストレーションツールは複数あり、それぞれ特性が異なるため、自社のシステム要件に適した選定が必要です。本記事では、コンテナオーケストレーションの基本的な仕組みや代表的なツールの特徴、選定基準について解説します。

1. コンテナオーケストレーションとは

コンテナオーケストレーションとは

コンテナオーケストレーションとは、多数のコンテナを効率的に管理し、運用の自動化やスケーリングを行うための仕組みです。

そもそもコンテナとは、アプリケーションとその実行に必要なライブラリや設定を一つにまとめ、どの環境でも同じ動作を保証する技術です。一台の物理サーバー上で複数のコンテナを同時に実行できるため、サーバーリソースをより効率的に活用できます。

コンテナオーケストレーションは、このコンテナの配置やスケーリング、ネットワーク設定、監視、障害時の自動復旧などを管理する役割があります。

コンテナオーケストレーションの必要性

コンテナはメリットが多く手軽に構築できる反面、数が増えると運用・管理が煩雑になる課題があります。たとえば適切なリソース配分が難しくなったり、障害発生時の対応が遅れたりするなどの問題が発生しやすいです。

この課題を解決するため、コンテナの運用を自動化してスムーズな管理を実現するコンテナオーケストレーションの必要性が注目されています。コンテナオーケストレーションツールの活用により、担当者はコンテナのデプロイや稼働状況の監視といった煩雑な作業から解放され、アプリ開発に専念できるでしょう。

2. コンテナオーケストレーションの仕組み

コンテナオーケストレーションでは、複数のノード(コンテナを実行するサーバー)をまとめたクラスタを管理し、その上で Pod (コンテナの実行単位)を動作させます。

Pod は一つ以上のコンテナを含み、コンテナ間の通信や外部アクセスにはサービス(ネットワーク通信を管理し、 Pod の負荷分散や内部・外部接続を担う仕組み)を利用します。

またクラスタは、コントロールプレーン(クラスタの管理を担う部分)とデータプレーン(アプリケーションを実行する部分)で構成されます。

オーケストレーションの流れは以下の通りです。

  1. ユーザーが Pod をデプロイする
  2. スケジューラ( Pod をどのノードに配置するかを決定するコンポーネント)がノードを選択する
  3. ノード上で Pod を起動する
  4. サービスを通じて通信を管理する

これにより、スケーリングや障害対応が自動化され、運用の負担を軽減できます。

3. 代表的なコンテナオーケストレーションツール

代表的なコンテナオーケストレーションツールの特徴をまとめました。

ツール名 主な特徴 オープンソース
Kubernetes デファクトスタンダードとされており、スケーラビリティや柔軟性が高い。
Docker Swarm Docker ネイティブで軽量かつシンプルな構成。
Apache Mesos 分散システム全体のリソース管理が可能。
Nomad 軽量でシンプル。コンテナ以外のワークロード(仮想マシンやバイナリ)も管理可能。
Amazon ECS AWS に最適化されている。 ✕( AWS のサービス )

それぞれ詳しく解説します。

Kubernetes

Kubernetes はコンテナオーケストレーションツールのデファクトスタンダードであり、スケーラビリティ、自己修復、ローリングアップデートなどの高度な機能を提供します。クラウド・オンプレミスどちらでも運用可能で、主要なクラウドサービスから以下のようなマネージドサービスが提供されていることも特徴です。

  • Azure Kubernetes Service ( Microsoft Azure )
  • Amazon Elastic Kubernetes Service ( AWS )
  • Google Kubernetes Engine ( Google Cloud )

Kubernetes は大規模で複雑なシステムに適しています。

Docker Swarm

Docker Swarm は Docker (コンテナの実行環境を提供するプラットフォーム)ネイティブのツールで、シンプルな設定によるコンテナ管理が可能です。 Docker が動作する環境ならクラウド・オンプレミスを問わず利用できます。小規模・中規模のシンプルなシステム向けです。

Apache Mesos

Apache Mesos はコンテナオーケストレーションだけでなく、大規模な分散アプリケーションのリソース管理も行えます。コンテナだけでなく、非コンテナワークロード(仮想マシンや Hadoop 、 Spark などの分散処理ジョブ)も一元的に管理する必要がある大規模環境向けです。

Nomad

Nomad は軽量で多様なアプリケーションに対応でき、コンテナ以外のワークロード(仮想マシン、バイナリアプリ)も管理可能です。 Kubernetes ほど複雑な管理が不要な環境や、軽量なツールを求めるケースに適しています。

Amazon ECS

Amazon ECS はAWS 独自のツールで、 AWS のサービスとシームレスに統合できることが特徴です。 EKS ( Amazon Elastic Kubernetes Service )と異なり Kubernetes を使用せず、 AWS 独自の方式でコンテナを管理します。 AWS の環境で簡単にコンテナを実行・管理したい企業に適しています。

4. コンテナオーケストレーションツールを選ぶ際のポイント

コンテナオーケストレーションを選定する際は、以下のようなポイントを確認しましょう。

自社の業務要件との適合性

既存のインフラやワークフローに統合しやすいか。規模感は合っているか。

運用効率

日々の管理作業をどれだけ簡素化できるか。

拡張性

システムの成長に伴い、どの程度の負荷まで対応できるか。

技術的なハードル

導入後の学習コストや運用に必要なスキルセットはどの程度か。

セキュリティ対策

ツールが提供するアクセス制御やネットワークポリシー、脆弱性管理の仕組みは十分か。自社のセキュリティ基準を満たすか。

5. まとめ

コンテナオーケストレーションは、コンテナを効率的に管理するための仕組みです。コンテナオーケストレーションの導入により、煩雑なコンテナ管理業務の負担が軽減し、よりコアな業務に専念できるでしょう。

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