Managed Service Column <システム運用コラム>

VPNと専用線の違い

Category: 入門編

2020.10.09

はじめに

VPNと専用線の違いはどこにあるのだろうか?
自社の場合、VPSと専用線のどちらの方が適しているのだろうか?
テレワークの導入や拠点間の安全な通信のためにVPNや専用線への関心・ニーズが高まっています。

この記事では、VPNと専用線のそれぞれの特徴を解説したうえで、両者の違いについて6つの項目(コスト・品質・管理・調達時間・セキュリティ・可用性)を解説します。

VPNとは

VPNとは、Virtual Private Networkの略で、共有のネットワークを仮想化して専用の回線のように扱う技術のことです。つまり、既に一般利用されているインターネット回線などを、専用回線であるかのように利用できるネットワークということです。

インターネット通信は、交通事故が多発する道路のようにセキュリティリスクをはらんでいますが、VPNがあれば目的地まで安全に到達することができます。

VPNの用途・役割は主に3点あります。

  • 拠点間(本社と支社との間や本部と店舗との間など)の安全な通信を確保すること。
  • 本社のサーバーに保存されているデータやファイルに社外からアクセスできるようにすること。
  • フリーWi-Fiなどの共有ネットワークを安全に使用すること。
    VPNルーターを経由して、フリーWi-Fiを利用することにより、無料で安全なインターネット通信を利用することができます。

VPNの概要や種類、用途などについて詳しく知りたい方は、当社の以下の記事をぜひ参考にしてください。
VPNとは?VPNの基礎やメリット・デメリットについて

専用線とは

専用線とは、文字通り専用の通信回線を引くことを意味します。
VPNでは、専用線のようにネットワークを構築するものの、物理的には回線を他のユーザーと共有しますが、専用線の場合には1社で1本の回線を使用します。

道路の例えでいえば、自社の社員以外は通ることのできない専用道路をつくるようなものです。自分専用の道路なので、安全性は極めて高いといえます。また、大容量の通信が可能というメリットもあります。

したがって、専用線の主な用途は、次の2点です。

  • 拠点間の通信を極めて安全におこなう。
  • 拠点間で大容量の通信をおこなう。

専用線は物理的な配線をそのままイメージすれば良いので、VPNよりも明確にイメージしやすいのではないでしょうか?

また、専用線を導入するときに最大のネックになるのは、コストの面です。自社専用に回線を引かなければならなくなるため、高額な費用がかかってしまうことが多く、拠点間の距離が長くなればなるほどかかる費用が高くなります

VPNと専用線の違い

VPNと専用線のそれぞれの特徴はイメージできたでしょうか?
ここからは、VPNと専用線の違いについてコスト・品質・管理・調達時間、セキュリティの5つの項目で比較をしてみましょう。

まずは、6項目の違いを表にまとめたものをご覧ください。

項目 VPN 専用線
コスト 安い 高い
通信品質 回線の影響を受ける 非常に安定している
管理 手軽に運用できるものもある 専任者が必要
調達の時間や手間 比較的容易 専門知識が必要
セキュリティ 高い 非常に高い
可用性 高い 非常に高い

コスト

コストの面では、VPNが圧倒的に優位です。

具体的な費用はどのようなネットワークを構築するかによって大きく異なりますが、初期費用数万円からVPNを構築可能です。IP-VPN(通信事業者のIP通信網を利用するタイプのVPN)では月額料金がかかります。

拠点間の距離によって価格が変動しないこともVPNのコスト面での大きなメリットといえるでしょう。

専用線にかかるコストは、個別見積もりとなりますが基本的には高額な費用がかかるため専用線のユーザーの多くは大手企業です。

通信品質

インターネット通信の安定性という点で比較すると、VPNよりも専用線の方が信頼性に優れるといえます。

VPNでは、共有の通信回線を利用するため、専用線と異なり回線の混雑状況などの影響を受ける可能性があるためです。このとき、VPNの種類によって影響の受け方が若干異なります。

  • IP-VPN
    IP-VPNは、通信事業者が設定した閉鎖域(専用のサービス網)を契約者が共有するネットワークです。通信帯域がある程度確保されており、比較的通信が安定しています。
  • インターネットVPN
    インターネットVPNは、一般的なインターネット通信網を利用するタイプのVPN。他のインターネットユーザーの使用状況の影響を受けやすい。

専用線は、物理的にも専用の回線を引くことになるため、ギガクラスの大容量の通信をおこなう際にも安心して回線を利用することができます。

管理

VPNの場合、ネットワークの構築方法にもよりますが、提供業者にネットワークの維持・運用を任せることが可能です。したがって、ネットワークの不具合やトラブルの対応・監視をおこなってくれるサービス提供業者を選べば、専任者や専門家を社内に設置する必要もなく、とても手軽です。

一方、専用線の場合は基本的に専任者・専門家を社内に置き、ネットワークを監視・管理する必要があります。

調達の時間や手間

調達については、VPNの方が早く、そして手軽です。特に、インターネットVPNのタイプであれば、VPN対応ルーターを設置したり、専用ソフトをPCにインストールするだけで使用できるものもあり、個人宅にも手軽に構築できます。

専用線は、基本的にはユーザー自ら導入・運用をしなくてはならないため、高度な専門知識を持ったスタッフが社内に必要です。

セキュリティ

VPNでは、トンネリングや暗号化の技術を用いて、セキュリティを高めてくれます。

  • トンネリング
    回線に仮想のトンネルを構築し、外部からのアクセスを遮断します。
  • 暗号化
    暗号化して通信することにより、万が一ネットワークに不正アクセスされても情報を不正取得されないようにします。

ただし、VPNは物理的には他のユーザーと同じ回線を使用するので、正確な知識に基づいてVPNの設定をする必要があります。社内にリテラシーの高い専任者を置くか、信頼性の高い運用業者に依頼することが不可欠です。

専用線の場合には、企業専用のネットワークが構築されるためそもそも外部からのアクセスが不可能です。

可用性

可用性とは、ネットワークが停止することなく使用し続けられる能力のことを指します。

VPNの可用性は、インターネットVPNの場合にはインターネット回線のそれに依存します。IP-VPNの場合は提供業者の対策次第ではありますが一般的には優れています。万が一、回線にトラブルが生じた場合、自動的に別のルートでネットワークがつながるように構築され、ネットワークの接続が維持される仕組みを取っている場合が多いです。

専用線の場合は、拠点間を1本のケーブルで結ぶイメージですが、実際には予備の回線が確保されおり、回線に障害が起きてしまっても予備回線を使って接続が確保できる場合が多いです。

ただし、各拠点への回線引き込み箇所については、冗長構成ではないため、さらにこの部分においても高い可用性を確保したい場合は、VPN や専用線を複数利用するという選択もできます。

おわりに

VPNと専用線の違いについてコスト・通信品質・管理・調達の時間や手間・セキュリティ・可用性の6項目で比較しましたが、いかがでしたか?

ビジネスにおいてインターネットの活用がますます不可欠になり、また情報セキュリティの重要性が高まっている中で、安全な通信を確保してくれるVPNや専用線の必要性も高まっています

VPNは専用線と比較するとコスト面でも非常に導入しやすいので、セキュリティ面で安全なネットワーク接続を検討している方は、検討してみてはいかがでしょうか?

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Tag: ネットワーク セキュリティ 専用線 VPN

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