Managed Service Column <システム運用コラム>

VMware 新ライセンスについて解説

Category: 入門編

2024.09.30

VMware新ライセンス導入の背景とライセンス情報及び利用者へのメリットについて解説

2023 年 11 月に Broadcom 社が VMware 社の買収を完了し、「 VMware by Broadcom 」のブランドで運営されることになりました。また近年では、市場の変化と顧客のニーズの進化、クラウドコンピューティングの普及に伴い、多くの企業が柔軟性とスケーラビリティにメリットがあるサブスクリプションモデルへと移行しています。

これらの背景から VMware 製品のポートフォリオも大きく変更され、サブスクリプションベースのモデルを推進しています。本記事では VMware から公開されている新しいライセンス体系について、現時点での最新情報と、利用者にとっての影響について解説します。

1. VMware 新ライセンスモデルの概要

現時点で明らかになっている情報として、製品ポートフォリオ、ライセンス体系、購入エディション、販売スケジュールについて解説します。

ポートフォリオの簡素化

今回刷新された新しいポートフォリオで、仮想化基盤を構築するソリューションは「 vSphere Essentials Plus 」、「 vSphere Standard 」、「 vSphere Foundation 」、「 VMware Cloud Foundation 」の4つの製品ラインナップに簡素化されました。

ライセンス体系と課金体系

さらにライセンス体系も全てサブスクリプション型の Core ライセンスへ、統一されることになりました。従来の永続ライセンスは廃止が発表されており、既にライセンスを購入・利用している利用者は、今後もそのまま継続利用できますが、将来的にはサブスクリプション型に統合される方針です。

ライセンス体系と課金体系

お客様のカテゴリーに基づく購入エディション

お客様カテゴリーに基づき、購入できるエディション制限も設けられます。利用者企業は「 Strategic 」、「 Corporate 」、「 Commercial 」の3種類に分類され、それぞれ購入可能なエディションが制限されます。

お客様のカテゴリに基づく購入エディション

販売スケジュール

サブスクリプションへの移行と、ポートフォリオが簡素化され、2024 年 2 月 4 日より永久ライセンスの販売が終了しました。すべての製品については、サブスクリプションライセンスを買い直せば、引き続き利用が可能です。永久ライセンス製品のサポートと、サブスクリプション( SnS )更新の販売も2024 年 2 月 4 日をもって終了となります。

以降、永久ライセンス製品の SnS 契約を更新することはできません。有効なサポート契約に対しては契約満了日までは引き続きサポートが提供されます。

販売スケジュール

2. 各エディションの比較

新しく整理された各エディションについて、それぞれのライセンスの考え方や、機能、特徴について解説します。

VMware vSphere Essentials Plus (VVEP)

VMware vSphere Essentials Plus ( VVEP )は、小規模環境に適しており、コスト効率よく利用できます。購入単位は 1 セットにつき 96 コア ( 2 セット/ 192 コアまで拡張可能)です。

VMware vSphere、VMware vCenter の基本的なサービスのみ利用可能で、 vSphere 機能のvMotion 、 High Availability ( HA )が利用できます。

VMware vSphere Standard (VVS)

VMware vSphere Standard ( VVS )は、小中規模の仮想環境向けに適した、柔軟で拡張性の高いエディションです。 vSphere Essentials Plus にある制限が解除され、多くのホストを追加することができます。

vSphere Standard のライセンス単位は「コア単位」で、最小購入数は「物理 CPU あたり16コアライセンス」で、サポートレベルは「Production Support」が提供されます。

高性能な CPU やコア数を搭載したサーバを活用し、 高いパフォーマンスの仮想環境構築が可能です。利用可能なアドオンサービスは、 vSphere Essentials Plus と同様となります。

VMware vSphere Foundation (VVF)

VMware vSphere Foundation ( VVF )は、 vSphere による仮想化機能に加えて、「 VMware Tanzu Kubernetes Grid 」と、マルチクラウド環境の運用を効率化する「 VMware Aria Suite Standard 」が含まれる中規模から大規模な仮想向けエディションです。vSphere Foundation はコア単位のライセンスとなり、最小購入数は「物理 CPU あたり16コアライセンス」です。サポートレベルは「 Production Support 」が提供されます。

VMware Tanzu Kubernetes Grid とは Kubernetes のインフラレイヤーの抽象化を行い、あらゆる場所で Kubernetes 環境を実行できます。また「 VMware vSAN 」をアドオンサービスで、利用できるため、ストレージ仮想化による HCI ( Hyper-Converged Infrastructure )を構成することも可能です。

VMware Cloud Foundation (VCF)

VMware Cloud Foundation ( VCF )は、サーバ、ストレージ、ネットワークの仮想化を中心に、マルチクラウドの管理と自動化も高度に実現することができます。複数のクラウドを横断して一元管理することが可能になり、ITインフラの大幅な変革やマルチクラウド運用の効率化を支援するエディションです。

ライセンス単位、最小購入数、サブスクリプション期間は「 vSphere Standard 」や「 vSphere Foundation 」と同様で、サポートレベルは上位の「 Select Support 」が提供されます。

「旧 VMware NSX 」を利用できる唯一のエディションであり、 旧VMware NSXのセキュリティ機能は、「 VMware Firewall 」もしくは「 VMware Firewall with ATP 」をアドオンすることで利用可能となります。

VMware Cloud Foundation (VCF)

3. 新ライセンスモデルのメリット

業界ではすでにサブスクリプションライセンスは標準的な利用形態となっています。 VMware 社も1年以上前より、サブスクリプションモデルへの移行を進めていました。今後も顧客ニーズに沿った価値を提供すべく、 新ライセンスのメリットとして以下の点が挙げられます。

継続的なイノベーション

ソフトウェアのアップデートや定期的なセキュリティアップデートを提供し、新機能がリリースされた際も、継続的にイノベーションを提供することができます。

価値実現までの時間の短縮

サブスクリプションライセンスは、高額な一時的な購入費用が不要で、利用開始の際の経済的負担が少なくなり、価値実現までの時間を短縮できます。また、必要に応じてユーザー数やサービスのスケールを調整しやすいため、企業の成長や変化に柔軟に対応が可能です。

費用の予測可能性

定期的な支払いにより、企業はかかるコストをより予測しやすくなり、予算計画が立てやすくなります。またサブスクリプションライセンスでは、一時的な購入費用が不要で、利用開始の際の経済的負担が少なくなります。

4. まとめ

本記事では VMware から公開されている新しいライセンス体系などの情報について紹介しました。

クラウドコンピューティングの普及に伴い、多くの企業は従来の一括購入やライセンスベースのソフトウェア配布から、柔軟性とスケーラビリティを提供するサブスクリプションモデルへと移行しています。近年では、さらなる技術進歩により、仮想化からクラウドネイティブアプリケーション、コンテナ技術へと市場が進化するにつれて、コスト、セキュリティ、運用負荷の観点からも、今後ますますサブスクリプションベースのモデルを推進していく流れになるでしょう。

その中で、Broadcom 社による VMware社の買収は、新ライセンスモデルを導入し、市場での競争力を維持しながら、顧客の変化する要求に応え続けるための必要不可欠な戦略的なステップと言えるでしょう。

今後も新しい情報が発信されることが予測されますので、最新の情報はVMwareの公式サイトをご確認ください。

出典:VMware by Broadcom : 製品ラインアップとライセンスモデルを大幅に簡素化

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Tag: VMware

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