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Nutanixとは?VMwareとの違いやメリット、移行の進め方を解説

Category: 入門編

2025.07.28

VMwareの代替手段として注目されている理由とは?

近年、 IT インフラの効率化や運用コストの削減を目的として、 HCI (ハイパーコンバージド・インフラ)への移行を検討する企業が増えています。また、 VMware のライセンス変更や価格改定を受け、 VMware からの切り替えを検討する企業も多く見られます。

こうした背景から注目されているのが「 Nutanix (ニュータニックス)」と呼ばれる HCI 型仮想化ソリューションです。本記事では、 Nutanix の概要や VMware との違いについて解説します。Nutanix のメリットや移行の進め方についても解説しますので参考にしてください。

1. Nutanixとは

Nutanix とは、サーバー・ストレージ・仮想化・管理機能を 1 つのハードウェアに統合した HCI ソリューションを提供する企業、またはソリューションの名称のことを指します。Nutanix を導入すれば、 IT インフラの構築・運用・拡張をより短期間かつ低コストで実現できます。

HCIとは

HCI は、サーバー・ストレージ・仮想化・ネットワークなどの IT インフラ要素をソフトウェアで統合する仕組みです。サーバーや共有ストレージ( SAN や NAS など)、仮想化ソフトウェアなどを個別に構成する必要がなくなり、短期間で導入できるメリットがあります。さらに、機器の設置スペースや電源・冷却にかかるコストも削減できます。

構成と主な特徴

Nutanix は主に下記の 3 つの要素で構成されています。

構成要素 概要
AHV( Acropolis Hypervisor ) Nutanix が提供する独自のハイパーバイザー(仮想化基盤)
Prism Nutanix の統合管理インターフェース。ブラウザベースの GUI で操作可能
CVM ( Controller VM ) Nutanix の HCI 環境で動作する仮想アプライアンス

VMwareとの違い

Nutanix は、 1 台のノードに仮想化・ストレージ・管理機能を統合しています。一方、 VMware では仮想化ソフト( ESXi )や管理ツール( vCenter )、ストレージ( vSAN や外部 SAN )などを個別に構成しているのが特徴です。

Nutanix の「 Prism 」は一元管理に優れており、仮想マシンやストレージ、リソースなどを統合的に運用することが可能です。一方、 VMware は管理領域が分散しているため、設計・運用時において専門的な知識が求められます。

<VMwareとNutanixのシステム構成の違い>
VMwareとNutanixのシステム構成の違い

2. Nutanix構成の導入メリット

<Nutanix構成の導入メリット>
Nutanix構成の導入メリット

Nutanix 構成を導入することで得られる主なメリットは、下記の 5 つです。

シンプルな構成で短期間に導入できる

Nutanix は、サーバー・ストレージ・仮想化ソフトウェア・管理機能などが 1 台に統合されています。そのため、個別に機器を用意したり、構成したりする手間がかかりません。ネットワークに接続し、基本設定を行うだけで、すぐに運用を開始できます。従来のインフラ構築と比較して、導入までの期間を大幅に短縮できます。

スモールスタートで初期費用を抑えられる

Nutanix は 3 ノード構成(構成により 2 ノード構成も可)から導入することが可能です。小規模な構成で始めて、段階的に拡張できます。初期投資を最小限に抑えながら導入でき、 PoC (概念実証)にも適しています。

ビジネスの成長に柔軟に対応できる

Nutanix は、業務拡大にあわせて必要なノードを追加するだけでリソース( CPU ・メモリ・ストレージ)を簡単にスケールアウトすることが可能です。新しいノードは既存環境と自動で統合されるため、システムを停止することなく拡張できます。

運用・管理の負荷を軽減できる

Nutanix の管理ツールである「 Prism 」を使えば、仮想マシン・ストレージ・ネットワークなどのリソースを一元管理できます。また、監視・アラート通知機能や、障害時に別サーバ上で仮想マシンを自動的に再起動させる機能を備えているのも特徴です。少人数の IT チームでも効率的な運用を実現できます。

BCPやDR対策としても活用できる

Nutanix には高可用性( HA )や自動バックアップ機能が備わっており、障害が発生してもシステムの継続稼働が可能です。遠隔地とのレプリケーション機能により、災害対策( DR )や BCP にも柔軟に対応できます。

「 Xi Leap 」と連携することで、オンプレミスの仮想マシンを Nutanix 管理のクラウド環境にフェイルオーバーさせることも可能です。Xi Leap はクラウド型の災害復旧サービスであり、事業継続性の大幅な向上が期待できます。

3. Nutanix移行の進め方

<進め方のステップ図>
進め方のステップ図

Nutanix への移行を進める際は、下記の 5 ステップで進めましょう。

ステップ1:要件定義・設計

まずは、現行システムの課題や改善したいポイントを整理し、 Nutanix 導入によって達成したいゴールを明確にします。業務要件やセキュリティ要件、可用性や拡張性などを踏まえ、必要なノード数や構成、導入スケジュールなどを設計しましょう。あわせて、移行対象となるシステムやアプリケーションの依存関係を洗い出すことも重要なポイントです。

ステップ2:PoC(概念実証)で自社環境との適合性を検証する

次に、 PoC 環境を構築し、自社の業務システムやアプリケーションが Nutanix 上で正しく動作するかを確認します。性能要件やネットワーク構成、運用性、管理画面の使いやすさなど、実運用を想定した検証を行うことが求められます。PoC を通じて得られたフィードバックをもとに、導入設計や運用ポリシーを最適化しましょう。

ステップ3:スモールスタートで段階的に導入する

初期導入では、小規模なノード構成からスタートし、業務影響が比較的少ないシステムや部門から運用を開始します。業務負荷や運用体制に応じて段階的に拡張することで、費用対効果を最大限に引き出しつつ、安全に移行を進められるでしょう。

ステップ4:現行システムと並行運用して業務の継続性を確保する

すべてのシステムを一度に切り替えるのではなく、一定期間は現行システムと Nutanix 環境を並行稼働させ、基盤上に乗っている複数の VM を段階的に移行しましょう。「 Nutanix Move 」を利用すれば、業務への影響を最小限に抑えつつ、タイミングを見極めて段階的に移行を進めることが可能です。また、運用マニュアルや監視体制を整備し、トラブル発生時の対応フローを明確にすることもポイントです。

ステップ5:安定稼働を確認後、システム全体を新環境に切り替える

新環境での安定稼働が確認できたら、すべてのシステムを本格的に Nutanix へ移行します。データの完全移行やユーザーアカウント・アクセス権の最終チェックなどを実施し、稼働後のサポート体制も事前に整備しましょう。

また、導入後も定期的なチューニングやソフトウェアアップデートなどを行い、中長期的な運用計画を策定します。 Rworks では、 PoC フェーズでの検証環境の構築から本番環境の設計・実装・運用支援まですべての工程で一貫したサポートが可能です。

4. まとめ

Nutanix は、サーバー・ストレージ・仮想化を統合した HCI 製品として、 IT インフラのシンプル化や運用コスト削減に貢献することが可能です。近年では VMware からの代替手段としても注目されています。

Nutanix へ移行する際は、 PoC による事前検証から始め、スモールスタートで段階的に導入を進めることがポイントです。Rworks は導入企業のニーズに合わせ、効率的な Nutanix 移行をサポートできます。お気軽にお問い合わせください。

Tag: Nutanix

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