Managed Service Column <システム運用コラム>

サーバーリプレイスとは?クラウドも見据えた判断基準と手順を解説

Category: 入門編

2025.10.29

必要性から進め方・注意点まで、実務に役立つポイントを網羅

「サーバーのサポート終了が迫っているが、何から手をつければよいのか分からない」
多くの担当者が抱える不安の一つがサーバーリプレイスです。

サーバーリプレイスとは、企業の業務システムを支えるサーバーを更新することを指し、機器のサポート終了や業務要件の変化などをきっかけに検討が必要です。単なるハードウェアの更新にとどまらず、仮想化やクラウド移行も含めた基盤再設計の機会となりますが、適切な環境選定と計画が欠かせません。

本記事では、サーバーリプレイスが必要な理由や判断基準、具体的な手順、注意点を解説します。

1. サーバーリプレイスとは

サーバーリプレイスとは、既存のサーバーを更改することです。サーバーは社内の業務を支える重要なインフラであり、適切な時期にリプレイスを行わなければ、セキュリティリスクや性能不足、障害による業務停止などの問題を招きかねません。

自社でサーバーを保持している場合、サーバーリプレイスは保守期限に応じて数年ごとに発生する周期的な取り組みです。単なる保守作業ではなく、 IT 戦略や業務要件を踏まえた改善の好機でもあります。サーバーリプレイスを適切に計画することで、コスト削減や業務継続性の強化といった成果を得られます。

2. サーバーリプレイスが必要な4つの理由と判断基準

一般的にサーバーリプレイスを実施するタイミングは、メーカーの保守サイクルや部品供給状況から5〜7 年が目安ですが、業務要件やシステムの利用状況によって異なります。ここでは、リプレイスが必要となる代表的な 4 つの理由と判断基準を解説します。

サーバーやOSのサポート終了・互換性問題

サーバーの保守サポートが切れると、障害時に部品調達や原因調査の支援を受けられず、業務継続が難しくなるおそれがあります。また、 OS との互換性の問題もあり、 OS 更改時に既存サーバーが新 OS の動作要件を満たさない、もしくは新 OS 向けのドライバーが提供されていない場合、サーバーも同時に更改する必要があります。

判断基準
  • サーバーの保守サポート期限が近づいている。
  • OS 更改の必要があり、更改後のバージョンが既存サーバーとの互換性を確保できない。

ビジネスの拡大やデータ量増大による処理能力不足

ビジネスの拡大やデータ量の増加により、既存サーバーの処理能力が限界に達するおそれがあります。トランザクションの増加や大容量データ分析といった業務要件に既存サーバーでは対応できない場合、レスポンス遅延やシステム停止を招きかねません。これらは顧客体験や業務効率に直結するため、リプレイスの検討が必要です。

判断基準
  • ピーク時の CPU やメモリ使用率が高止まりしている。
  • ストレージ容量や I/O 性能が不足し、拡張しても限界に近い。

運用保守負担の削減ニーズ

日々の運用保守に人員が割かれ、業務改善や DX 推進に十分なリソースを割けない状況があります。運用保守の負担を軽減し、限られた人材を有効活用するためには、サーバーリプレイスの検討が必要です。

判断基準
  • 定型作業や障害対応に工数を取られ、業務改善や新規施策の時間を確保できない。
  • 運用保守にかかる固定費が大きく、 DX や戦略的な IT 投資に十分な予算を回せない。

IT戦略や業務要件の変化への対応

DX や働き方改革などにより、企業を取り巻く要件は大きく変化しています。既存環境だけでは新たなニーズへの対応が難しく、競争力の低下につながります。長期的な要件に対応できる柔軟な基盤を整えるために、サーバーリプレイスのタイミングでクラウド移行やハイブリッド構成の導入も検討しましょう。

判断基準
  • 既存環境では、システム拡張や他システム連携などに柔軟に対応できない。
  • セキュリティ基準や法規制の変更に、既存環境では迅速に対応できない。

3. サーバーリプレイスの手順

サーバーリプレイスは、現状把握から移行・切替まで段階的に進めることが重要です。ここでは、具体的な手順を解説します。

① 現状資産の棚卸

既存環境を正確に把握することが出発点です。サーバー機器のスペックや周辺機器、搭載 OS 、アプリケーション、利用ユーザー数、稼働状況などを洗い出し、依存関係も整理します。

② 要件整理と移行要否の判断、移行先の選定

機能要件と非機能要件を整理し、「現状維持で継続可能か」あるいは「移行が必要か」を判断します。移行が必要と判断した場合は、要件と予算のバランスに加え、 DX や法規制対応、将来の拡張性など中長期的な観点も考慮することが重要です。そのうえで、以下の複数の選択肢を比較し、自社に最適な方針を決定しましょう。必要に応じて PoC (概念実証)を実施し、要件を満たせるかを検証します。

選択肢 概要 メリット デメリット ユースケース
単純更改 既存サーバーを最新版へ置き換え 既存構成を大きく変えずに済む 将来的な柔軟性に欠ける可能性あり 現行システムを大きく変えずに継続利用したい
仮想化基盤 仮想化基盤によるサーバー集約 リソース集約・柔軟な運用 初期設計・運用に知識が必要 サーバー集約やリソース効率化を進めたい
ハイブリッド オンプレ+クラウドを組み合わせる 両者の利点を両立 構成・運用が複雑になりやすい 段階的にクラウド移行しつつオンプレも残したい
クラウド全面移行 クラウド環境へ段階的に移行 拡張性・最新機能の活用が容易 移行コスト・運用変更が大きい 拡張性重視で最新サービスを積極的に活用したいい

③ 設計・構築・検証

移行先環境の設計・構築・検証を行います。ネットワークやストレージ構成、冗長化やバックアップの仕組みも含めて検討しましょう。検証段階では、機能検証に加えて性能検証や障害検証を行い、想定どおりの挙動をするかを確認します。

④ 移行・運用計画

業務影響を最小化するための移行計画を立てます。業務部門との調整や関係者への周知も欠かせません。移行手順やタイムチャートに加えてロールバック手順も用意し、想定外の事態に対応できる体制を整えます。さらに、移行後の運用体制や障害対応手順の整備も必要です。

⑤ 本番データ移行

本番データを新環境に移行します。データ量が大きい場合は、サービスを継続しながらデータを新環境と同期し、切り替え当日は差分のみを移行するなど、業務影響を最小化する工夫が求められます。

⑥ 新サーバーへの切替

最終的に業務を新サーバーへ切り替えます。切替直後はシステムの稼働状況を集中的に監視し、不具合があれば迅速に対応することが重要です。安定稼働を確認したあと、旧サーバーの停止や廃棄を計画します。

4. サーバーリプレイス時の注意点

サーバーリプレイスを成功させるには、計画・設計・検証・体制構築の段階ごとに必要な作業を明確化し、注意深く進める必要があります。サーバーリプレイス時の注意点を解説します。

早めの計画立案とリスクに備えたスケジュール確保

特にオンプレミスを前提とした移行であれば、リリースまでに 1 年以上かかる場合もあります。業務部門との調整や機器調達、構築、検証に時間を要するため、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。調達遅延や検証での不具合など想定外の事態にも備え、バッファを組み込んでおくとリスク回避につながります。

セキュリティ要件の整理と再設計

セキュリティ要件を棚卸しし、認証方式やアクセス制御、暗号化方式などを移行先の基準に合わせて再設計する必要があります。特にクラウドでは「クラウド事業者」と「利用者」がそれぞれ担う範囲を定めた責任共有モデルが前提となるため、自社が担う部分を明確にしたルール設計が不可欠です。

属人化リスクの解消

現行環境が属人化し、運用手順や構成が担当者の暗黙知に依存していると、担当者不在時に移行作業が進まないおそれがあります。構成や手順を文書化し、引き継ぎを徹底することが重要です。既存環境の調査や標準化のノウハウを持つ外部ベンダーを活用すれば、ドキュメントが不十分でも円滑に進められます。

業務部門と連携し、事前検証を徹底

業務部門と協業し、機能検証に加えて性能や障害時の切り替え検証も行うことが重要です。事前検証を徹底することで、移行後の業務影響を最小化し、業務要件を満たすことを関係者全体で確認できます。

現状踏襲に固執せず、クラウド移行も含めて最適な複数案を検討

サーバーリプレイスは単なる置き換えではなく、将来を見据えた IT 基盤再設計の機会です。仮想化やクラウド活用も含め、複数案を比較検討することが重要です。

5. まとめ

サーバーリプレイス時は、必要性を正しく見極め、計画・検証・体制づくりを丁寧に進めることで、将来の事業成長を支える安定した基盤を築けます。

自社での検討に不安がある場合は、外部の支援を活用することが有効です。Rworks では、オンプレミスからクラウドまで幅広い環境に対応し、最適なプランをご提案いたします。サーバーリプレイスに課題を抱えている場合は、ぜひご相談ください。

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