Managed Service Column <システム運用コラム>

多層防御とは?外部・内部の脅威を防ぐ実践的な運用を解説

Category: 入門編

2026.01.20

人員不足でも実現できる、多層防御による堅牢なセキュリティ運用とは

サイバー攻撃が高度化し、単一の防御策だけでは侵入を防ぎきれない時代となりました。特に、オンプレミス環境を中心にシステムを運用する中堅企業では、老朽化した基盤や限られた人員のなかで、安定稼働とセキュリティ強化を両立させる負荷が増大しています。

この状況において有効なのが「多層防御」です。複数の防御レイヤーを積み重ね、攻撃の段階ごとに対策を配置することで、侵入・横展開・情報窃取のいずれも抑止できる技術です。本記事では、多層防御の基本概念から構成要素、そして実際に機能させるための運用設計までを解説します。

1. 多層防御の基本概念と必要性

サイバー攻撃は巧妙化しており、従来の単一的な境界防御のみではリスクを抑えきれません。多層化の意味と背景を理解することが、最適な防御戦略の第一歩です。ここでは、多層防御とは何か、そしてなぜ今日のオンプレミス中心の企業に必須となっているかについて解説します。

多層防御の定義

多層防御とは、ネットワーク、エンドポイント、アプリケーション、認証基盤、データ保護など複数の防御レイヤーを重ね、攻撃の進行段階ごとに異なる対策を配置するアプローチです。「一つ破られても別の層で止める」ことを前提とし、単点障害を避けて全体としての防御耐性を高めます。従来の境界防御だけに依存する方式とは異なり、内部ネットワークやクラウド利用も含めた全体最適の防御を目指す点が特徴です。

サイバー攻撃の高度化と多層防御が必要な理由

近年の攻撃は、侵入・横展開・情報窃取の 3 段階を前提に高度化しています。ランサムウェアは侵入後に権限を奪取し、内部ネットワーク全体へ拡散します。フィッシングは従業員の認証情報を盗み、正規ユーザーとしてシステムに入り込む手法です。脆弱性攻撃は VPN やミドルウェアの脆弱性を突き、セキュリティを突破します。

侵入後は、攻撃者がネットワーク内部を移動しながら脆弱な端末や特権アカウントを狙う横展開が行われ、攻撃範囲が一気に拡大します。最終段階では、暗号化前に機密ファイルを外部へ送信する情報窃取が発生し、被害が深刻化します。

これらの経路は単一の対策では遮断しきれないため、「入口」「内部」「出口」にそれぞれ防御壁を分散させることが重要です。多層防御はこの考え方を体系化し、攻撃の複数段階を複合的に抑止します。

オンプレミス中心の企業が抱える課題

中堅企業が多層防御を必要とする大きな理由は、オンプレミス運用の制約にあります。まず、人員不足により監視やログ分析、パッチ適用が滞る傾向があります。さらに、長期運用された機器は脆弱性が蓄積しやすく、攻撃対象となりやすいのが実情です。

クラウドとの併存環境が増えて監視ポイントが拡大しているにもかかわらず、境界防御に依存した管理モデルのままでは、侵入後の被害を防ぎきれません。こうした特性から、技術導入だけではなく、運用全体を通した多層的なセキュリティ設計が不可欠となっています。

2. 多層防御の仕組みと構成要素

多層防御は、攻撃者が侵入を試みる「入口」、内部で横展開する「内部」、情報を持ち出す「出口」という 3 段階を前提に防御レイヤーを配置する考え方です。ここでは、 3 段階それぞれで必要な構成要素を解説します。

入口対策

外部からの攻撃者やマルウェアの侵入阻止を目的とした層です。主にネットワークとアプリケーションレイヤーで対策を行います。ファイアウォールや IPS/IDS が不正通信やスキャン行為を遮断し、 VPN やゼロトラスト型接続管理によって外部アクセスを厳密に制御します。

また、 WAF は Web アプリケーションへの攻撃を防ぎ、MFA(多要素認証)はパスワード窃取による侵入を抑止する仕組みです。これらの対策は、攻撃者に「入口を突破させない」ための壁であり、ここが破られると内部層への侵入を許すことになります。

内部対策

侵入を前提とした「被害範囲の限定」を目的とする層で、エンドポイント(デバイス・端末)、ネットワーク内部・アプリケーションで対策します。エンドポイントでは、 EDR が端末上の不正挙動を検知し、攻撃の横展開を阻止します。パッチ管理が遅れがちなサーバ群や仮想基盤に対しても、継続的な脆弱性管理が不可欠です。

ネットワーク内部では、マイクロセグメンテーションにより不要な横通信を制限し、攻撃者の移動経路を断ちます。さらにアプリケーション層では、ミドルウェアの脆弱性や特権アカウント管理の不備が内部侵害の起点となりやすいため、更新管理と権限管理が重要です。

出口対策

情報の持ち出しや事業への深刻なダメージを防ぐための層で、ネットワークとデータ層が中心となります。ネットワークでは、 DLP やプロキシによって不審な外部送信や大量データ転送を検知・遮断することで、内部に潜んだ攻撃者が外部へ情報を持ち出す行為を抑止可能です。

データ層では、暗号化やアクセス制御によりデータそのものを守りつつ、バックアップの世代管理やオフライン保管によってランサムウェア被害時の復旧手段を確保します。出口対策は「情報を守る最後の砦」であると同時に、万が一の際に「事業を継続できる状態」を維持するための必須要素です。

3. 多層防御を機能させるための運用設計

多層防御は、個々の対策を導入するだけでは十分に機能しません。技術面だけではなく、異常を検知し、改善サイクルを回す運用面の対策も必須です。

  • 監視・検知体制の構築

多層防御の要となるのが監視体制です。ネットワーク、エンドポイント、アプリケーションなど各層のログを収集し、単発では見えない兆候を捉える必要があります。

SIEM などを活用して相関分析できる環境を整えることが理想的です。また、アラート対応の手順やエスカレーションルールを定め、少人数でも迅速に動ける仕組みづくりが重要です。

  • ログ活用・脆弱性管理・パッチ運用

内部対策を有効に機能させるには、日常的な分析と弱点の解消が欠かせません。ログは攻撃の前兆を捉える最も確実な情報源であり、異常通信や認証失敗の増加といったサインを見逃さないことが早期発見につながります。

脆弱性管理はサーバ、 OS 、ミドルウェアすべてに必要で、特にオンプレミス環境ではパッチ適用の遅れが致命的なリスクとなります。メンテナンス時間の確保や緊急パッチの判断基準を明確にし、運用に組み込むことが重要です。出口対策の要であるバックアップについても、定期検証を行い、確実に復旧できる状態を維持しましょう。

  • 外部パートナー活用による負荷軽減

多層防御をすべて内製で回すには多大な工数を要します。特に中小企業では担当者が少なく、監視やパッチ管理が属人化しがちです。

そこで有効なのが、監視、脆弱性管理、バックアップ運用などを外部パートナーに委託し、運用負荷を分散させるアプローチです。システム運用代行サービスを活用すれば、限られた人員でも多層防御の仕組みを維持でき、安定したセキュリティレベルを確保できます。

4. まとめ

サイバー攻撃は複数経路を同時に突く形で高度化しており、単発の対策だけで安全を確保することは困難です。特にオンプレミス中心の中堅・中小企業では、人員不足や運用負荷により「対策を維持し続けること」が最大の課題といえます。重要なのは、多層防御を構築して終わりにせず、監視・分析・バックアップ検証といった継続的な運用でセキュリティ体制を維持することです。

Rworks では、 24 時間監視、障害対応だけにとどまらず、セキュリティを考慮したシステム設計や運用設計、パッチ適用などのセキュリティ対策を含むシステム運用代行サービスを提供し、企業のセキュリティ運用を長期的に支援しています。多層防御の運用に不安を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

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