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運用品質を安定させるために押さえておきたいポイント
システム運用の現場では、担当者に業務が集中する「属人化」が大きな課題となっています。特定の担当者しか把握していない設定や手順が残り続ければ、障害対応の遅延や運用品質の低下、退職時の引き継ぎ困難など、事業継続にも関わるリスクを招きかねません。
属人化は、適切な対策を講じることで着実に解消できます。本記事では、属人化がなぜ発生するのか、どのような問題を引き起こすのかを整理し、システム運用における属人化を解消するための具体的な方法を解説します。
1. 属人化とは
属人化とは、業務が特定の担当者の知識や経験に依存し、他者が同じ品質で作業を再現できない状態です。この状態では、担当者が変わるだけで業務の精度やスピードが大きく揺らぎやすくなります。
属人化は多くの業務領域で発生する問題ですが、なかでも IT 運用の中核を担うシステム運用は、一般業務よりも属人化が顕在化しやすい領域です。システム構成が複数のレイヤーにまたがり、かつ設定変更も頻繁に発生するため、特定の担当者しか把握していない情報が蓄積されやすくなります。
システム運用における属人化が進むと、障害発生時に対応できる人が限られてしまいます。その結果、初動遅延や判断ミスによって復旧に時間を要し、組織全体へ深刻な影響を与えかねません。
2. 属人化が発生する原因
システム運用において属人化が生まれやすい代表的な原因を整理します。
業務プロセスや手順書の不備・更新不足
業務手順が担当者の頭の中にしかない状態は、属人化の典型例です。特に判断基準や例外対応など、担当者の経験に依存する部分が明文化されていない場合、ほかのメンバーが同じ手順を再現することは難しいでしょう。結果として、作業の品質やスピードにばらつきが生まれやすくなります。
また、ドキュメントが存在していても、内容が古かったり更新されていなかったりすると、実際の運用との乖離が生じます。
人的リソースの不足と役割分担の曖昧さ
システム運用は、少人数で多くの環境を管理する体制になりやすく、日常業務に追われるなかでは業務整理やドキュメント化の優先度がどうしても下がりがちです。
また、役割や担当範囲が明確化されないまま運用が続くと、特定の担当者に情報や判断業務が集中し、「その人がいないと回らない」状態が自然に形成されてしまいます。このように業務の可視化が後回しにされる環境が、属人化を助長する大きな要因です。
システム構成の複雑化と設定・変更履歴の共有不足
システム運用では日々の設定変更や調整が頻繁に発生しますが、その背景や理由が十分に共有されないケースがあります。長期間運用されている環境ほど過去の変更意図が整理されにくく、ほかのメンバーが構成を把握することが難しくなりがちです。
さらに、オンプレミスとクラウドの併用、ミドルウェアやサービスの多層化などにより、技術的な構成は年々複雑化しています。その結果、全体を理解できる担当者が限られ、障害対応や設定変更が特定の人だけに依存する構造が強まります。
3. 属人化が引き起こす問題
属人化は単に担当者の負担が増えるだけの問題ではなく、 システム運用全体の安定性や事業継続にも影響を及ぼす重大なリスクです。ここでは、属人化によって生じる代表的な問題を整理します。
障害対応の遅延
障害発生時に必要な知識や判断が特定の担当者に集中していると、その人が不在の状況では初動が遅れやすくなります。
また、システム構成や設定意図が特定の人にしか共有されていない状態では、ほかのメンバーが判断できず、対応そのものが止まってしまうおそれもあるでしょう。結果として復旧までに時間がかかり、サービス提供に支障をきたすリスクが高まります。
運用品質の低下
属人化した環境では、定期メンテナンスや改善作業が後回しになることも多く、潜在的なリスクが蓄積しやすくなります。また、作業品質が担当者のスキルや経験に大きく左右されるため、品質のばらつきが発生しやすいことも課題です。
標準化が進まないことで改善のサイクルが回らず、問題のある運用がそのまま固定化される状況が生まれやすくなります。これは運用全体の安定性を低下させ、将来的な障害リスクを高める結果につながりかねません。
事業継続性の低下
属人化が最も深刻な影響を及ぼすのが、担当者の退職・異動時です。引き継ぎが十分に行われず、重要な知識が一気に失われると、運用体制そのものが機能不全に陥るおそれがあります。
特に、新任メンバーがシステム構成を理解するまでの間は、判断ミスや対応遅延が起こりやすくなります。 BCP (事業継続計画)の観点からも、特定の担当者がいないと運用が成立しない状態は大きな経営リスクであり、早急な対策が求められるでしょう。
4. 属人化を解消する方法
システム運用で属人化を解消するための代表的なアプローチを紹介します。
業務の可視化・標準化
属人化解消の最初のステップは、業務内容の「見える化」です。「誰が・何を・どの手順で行っているのか」を棚卸しし、作業手順を文書に落とし込むことで、担当者以外でも作業を再現できる状態をつくれます。
既存の手順書や運用フロー、設定情報などは最新化し、例外対応や判断基準まで整理しておくことが重要です。標準化が進むと、作業品質のばらつきが抑えられ、引き継ぎや教育の負荷も大きく軽減されます。
プロセスの整備と自動化の活用
監視や障害対応、設定変更など、システム運用で繰り返し発生する作業は、できる限り仕組み化することで属人性を低減できます。対応フローを明確にして、「アラート発生時に何を確認し、どの順番で判断するか」を決めておくことで、誰が対応してもブレのない運用が可能です。
さらに自動化ツールを活用すれば、初動対応や定常作業を人の手から切り離し、担当者の経験に左右されない安定した運用が実現します。迷わない運用体制をつくることが、属人化を防ぐ大きなポイントです。
外部パートナーの活用による運用体制の強化
属人化を解消し、安定した運用体制を整えるには、継続的に業務を標準化・改善できる仕組みが欠かせません。しかし、限られた内部リソースだけで業務を標準化し続けることは難しいでしょう。
また、 24 時間 365 日の監視や障害対応、継続的なシステム改善といった高度な運用領域は、高い専門性と人員体制が必要となるため、外部パートナーを活用することで安定性を高めやすくなります。
監視・障害対応・設定変更・運用改善・ドキュメント整備などを外部に委託すれば、個々の担当者に集中していた業務を分散でき、属人化の根本的な解消につながります。第三者による客観的な視点で標準化や改善提案が入る点も、運用品質を組織として安定させる大きなメリットです。
属人化しやすい日常運用を外部に委ねることで、IT担当者は本来取り組むべき企画・改善業務に集中しやすくなり、組織全体の生産性向上にも寄与します。
5. まとめ
属人化とは、業務が特定の担当者に依存し、他者が同じ品質で作業できない状態を指します。特にシステム運用においては、障害対応の遅延や運用品質の低下、事業継続性のリスクなど、組織に大きな影響を与える課題です。しかし、業務の可視化や標準化、プロセス整備、自動化の活用といった仕組みづくりによって、これらは解消することができます。
一方で、システム運用は日々の変更や障害対応が多く、限られた体制だけで属人化を防ぎ続けるのは容易ではありません。自社リソースだけで解決が難しい場合には、外部の専門家と協働し、運用を仕組みとして安定させることが有効です。
Rworks の「システム運用代行サービス」は、 24 時間 365 日の監視・障害対応から、運用改善・設定変更・ドキュメント整備までを一貫して支援し、属人化しやすい運用領域を根本から解消することをサポートします。運用体制に課題を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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