Azure Managed Service Column ＜Azure運用コラム＞AKS(Azure Kubernetes Service)とは？コンテナの目的とAzure上での実現方法について解説

ビジネス環境の変化に迅速に対応する方法とコンテナのメリットとは

アジャイル開発や、それを支える DevOps や継続的インテグレーション・デリバリーなど、迅速にサービスを開発・改善するための方法論や仕組みを取り入れる企業が増えています。

こうした高速な開発を下支えする「コンテナ」という仕組みをご存じでしょうか。コンテナはアプリケーション開発を高速かつ簡単に実現するための仕組みであり、アジャイル開発や DevOps に欠かせない仕組みのひとつです。Azure では、Azure Kubernetes Service というコンテナのオーケストレーションサービスが提供されており、Azure クラウドとコンテナが持つ開発高速性を活用した迅速なサービス提供が可能となります。

本記事では、コンテナの目的を明確化した上で、Azure Kubernetes Service の概要とメリット、料金体系について解説します。

1. コンテナとは

コンテナとはどのようなものでしょうか。まず、コンテナの概要と目的について解説します。

1.1　コンテナの概要

コンテナとは、一言で言うと、アプリケーションの実行に必要なものを 1 つのイメージにまとめて任意の環境で稼働させるための技術です。

コンテナは仮想化技術のひとつですが、これまでの仮想化環境では、OS・ミドルウェア・アプリケーションの全てを仮想マシンとして作成していました。それに対してコンテナでは、OS 周辺の環境は共通で利用し、ミドルウェアとアプリケーション、そして CPU やメモリなどのマシンリソース、ファイルなどを個別の「コンテナ」という単位でまとめて管理・利用します。

1.2　コンテナの目的

コンテナは、主に下記の目的で利用します。

• アプリケーションのポータビリティ向上
• アプリケーションが安定して稼働する環境を、高速かつ簡単に構築できる
　

コンテナは、アプリケーション実行に必要なものを 1 イメージに集約するため、コンテナを移動させることでどの環境でも動作することができます。また、コンテナ技術を活用して高速な開発環境を整備することができます。アジャイル開発を目的とした DevOps のための環境や継続的インテグレーション・デリバリーの仕組みを導入することで、開発サイクルの期間短縮を狙うことができるようになります。

2. Kubernetes とは

コンテナを実現するための製品はいくつかありますが、ここではコンテナの管理と操作の自動化を行うプラットフォーム、Kubernetes について解説します。

Kubernetes とは、コンテナ化したアプリケーションのデプロイ、管理、スケーリングを行うためのオープンソースのプラットフォームで、「 k8s（ k + 8文字 + s ）」とも表記されます。

コンテナの設定、管理、調整を自動化するため、オーケストレーションソフトウェアとも呼ばれます。Kubernetes は、Google が 2014 年に開発していますが、現在は Cloud Native Computing Foundation に開発が引き継がれています。Kubernetes には下記のような特徴があります。

• 高いアプリケーションの移植性
• コンテナの簡単なスケーリング
• 豊富な拡張機能やプラグインの提供

2.1　高いアプリケーションの移植性

コンテナは基本的にサーバーやネットワークなどのインフラと完全に切り離され独立しています。そのため、Kubernetes 上であればどこでも実行可能であるため、環境間の一貫性を維持したままオンプレミス・クラウド・ハイブリッドなど環境を問わず移植が可能です。

2.2　コンテナの簡単なスケーリング

Kubernetes により、コンテナは複数でクラスタリングされたサーバー上にデプロイすることが可能となります。そのため、アプリケーションの負荷状況に応じて柔軟にスケールすることで、アプリケーションの正常性を保つことが可能です。

2.3　豊富な拡張機能やプラグインの提供

Kubernetes の開発元である Cloud Native Computing Foundation は大規模なコミュニティであり、Google、Microsoft、RedHat などのエンジニアも積極的に参加しています。そのため、セキュリティ、監視、管理系などの拡張機能やプラグインを積極的に開発しており、様々なアプリケーションに適用できるようになっています。

3. Azure Kubernetes Service とは

Kubernetes はオンプレミスで利用されることが多い製品ですが、クラウド上でも利用することが可能です。ここでは、Microsoft Azure で Kubernetes を利用するためのサービス、Azure Kubernetes Service について解説します。

3.1　Azure Kubernetes Service の概要

Azure Kubernetes Service とは、Azure が提供しているマネージドサービスのひとつで、Azure 上で Kubernetes クラスタの構築・管理を行うサービスです。定義した要件に基づいてコンテナをクラスタに配置し、Kubernetes の機能によりオーケストレーションをすることができます。

利用者は、監視・スケーリング・クラスタの作成などを Azure に任せることでインフラを意識する必要がなくなるため、運用上のオーバーヘッドを削減し、効率的なコンテナの運用管理が可能となります。

3.2　Azure Kubernetes Service のメリット

Azure Kubernetes Service のメリットは下記の通りです。クラウドならではのメリットを享受できます

• コンテナ化されたアプリケーション開発の高速化
• 運用効率の向上
• セキュリティ強化

3.2.1　コンテナ化されたアプリケーション開発の高速化

Azure Kubernetes Service では、Kubernetes の本来の特徴であるアプリケーション開発の高速化に加え、Azure が持つインフラ構築の簡素化・高速化や、Azure Portal から一元管理することにより、より簡単かつ高速なアプリケーション開発が可能です。

3.2.2　運用効率の向上

Azure Kubernetes Service では、監視・スケーリング・クラスタの作成などを Azure に任せることで、インフラの存在を意識することなく運用が可能となります。そのため、オンプレミスと比較して運用管理のオーバーヘッドを大幅に削減することができます。

3.2.3　セキュリティ強化

Azure Kubernetes Service は、Azure クラウド内に構築されるため、Azure が持つ高いセキュリティを確保できます。また、Azure AD や Azure Private Link など他のマネージドサービスとの連携により、ID 単位でのアクセス制御や通信の保護などきめ細かい制御が可能となります。

3.2　Azure Kubernetes Service の料金体系

Azure Kubernetes Service では、Kubernetes のデプロイ、管理、および操作にかかる料金は無料となっています。Azureの仮想マシンと、関連するストレージとネットワークの使用分を支払う従量課金制となっているため、費用対効果の高いコンテナオーケストレーションサービスと言えます。

4. まとめ

昨今、企業を取り巻くビジネス環境は、過去に例をみないレベルで目まぐるしく移り変わっています。企業はビジネス環境の変化を敏感に察知し、その変化に合わせたサービスを迅速に展開していくことが求められています。アジャイル開発や、アジャイルを支える DevOps や継続的インテグレーション・デリバリーなど、高速開発を支援する方法論・サービスはいくつも存在しますが、コンテナはそれらを下支えするインフラとなる仕組みです。

Azure においては Azure Kubernetes Service を利用することで低コストかつ効率よくコンテナを構築・運用することが可能です。Azure の導入を検討されるのであれば、コンテナの導入・運用も検討してみてはいかがでしょうか。

Tag： Azure Kubernetes Service Azureコンテナ

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