Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Advisorとは? Azure Advisorを効果的に活用して最適な運用を継続しよう!

Category: 入門編

2022.04.06

Azure Advisor サービスの概要、主要機能、便利機能について解説します。

Microsoft 社が提供するクラウドサービスである「 Azure 」は、クラウドプロバイダー市場において「 AWS 」( Amazon Web Service )に次ぐ世界規模のシェアを誇り、今後も全世界で成長が見込まれるサービスです。日本でも近年の DX 化推進、テレワークの普及により、いままでオンプレミスで運用されてきた業務システムやデータを、クラウドへ移行する企業が急増しています。

このように Azure を使い始める事自体はとても簡単です。しかしサービスラインナップも 100 種類以上存在し、どのサービスをどのように利用するかを考え、最適な状態で使い続けることが難しいサービスとも言われています。

場合によっては、予期せぬところでオンプレミスの運用以上にコストがかかったり、セキュリティが脆弱化したりするリスクも含んでいます。

本記事では、Azure を最適な状態で使い続けるために欠かせない Azure Advisor の概要と必要性を解説し、Azure Advisor の分析機能や便利な機能など、活用できるポイントについて紹介します。

1. Azure Advisor とは?

Azure Advisor は、上手く活用することで Azure のコスト削減、セキュリティ強化など、より最適な状態で利用する事ができる可能性があります。まずはサービスの概要と必要性について解説します。

1.1 Azure Advisor の概要

Azure Advisor はユーザーの利用状況を自動的に分析し、利用状況に基づいたベストプラクティスを提案してくれるコンサルタントサービスです。

ベストプラクティスを提示してくれるレコメンデーション(推奨事項)機能、素早く簡単にアクションを実行するための Azure Quick Fix 機能、Azure リソースの最適化に向けた状況を一元化しスコアリングしてくれる Advisor スコア機能、新たなベストプラクティスを逐一知らせてくれるアラート機能など、Azure を最適に利用するための様々な情報を提供してくれます。

Azure Advisor の機能はすべて Azure ポータルからアクセスする事ができ、無料で利用する事ができます。しかし推奨事項の内容によっては、実行にあたってコストがかかる可能性があるので注意が必要です。例えば利用頻度に応じた仮想マシンのサイズ変更を推奨された場合、サイズ変更によって料金の変更が生じることになります。

1.2 なぜ Azure Advisor が必要なのか?

Azure は元々、Azure Advisor 以外にもベストプラクティスを提示する機能が用意されています。セキュリティを強化するための推奨事項を提示する Azure Security Center( Microsoft Defender for Cloud )、支払い状況を監視しコスト最適化をレコメンデーションする Azure Cost Management、データベースのパフォーマンスを最適化する Azure SQL DB Advisor などです。しかし、これらの各機能は、サービス毎に限られた範囲でしか分析できないケースがあります。

Azure Advisor は、Azure のベストプラクティスに従い、クラウド全体でのコスト効率を高めることを目的としています。その為、これら個別のサービスから情報を取り込み、最適化に関するすべての情報を一元的に管理することで、より素早く適切に推奨事項を実行することができます。

このように Azure Advisor は、クラウド全体を把握するためのポータル機能として大変重要な役割を担っているのです。

1.3 そもそも、なぜこのような最適化ツールが必要なのか?

近年のクラウドサービスに対する重要性や利用頻度が高まり、セキュリティ基準への対応、ビジネススピードへの対応が求められるようになりました。その為、クラウドサービスは日々アップデートが繰り返されることから、不要なリソースが生じてしまいやすい状況と言えるでしょう。例えば不要な仮想マシン、ストレージ、バックアップ、アクセス制限の設定、アクセス鍵、証明書など、あげればきりがないほど、クラウドサービスの不要なリソースは存在しています。

こうした状態を放置し続けると、セキュリティ、コストパフォーマンス共に低下し、クラウドサービスのメリットを損なうことになります。
そのことが原因で、クラウドサービスの利用促進を妨げることにつながれば、DX、テレワークなどの働き方の推進が停滞してしまう恐れがあります。

そして近年、経済産業省が警鐘を鳴らす「 2025 年の崖」問題、「 IT 人材不足」問題など、最悪のシナリオとして負の連鎖が生じかねません。

このような不要リソースは、整理する事が可能です。しかし人の手だけでは管理が行き届きません。だからこそこのような最適化ツールを活用し、効率的に使い続ける事で生産性を向上させる必要があるのです。これは Azure に限らずクラウドサービス全般に共通して言えるでしょう。

2. Azure Advisor が分析する 5 つのカテゴリとは?

それでは Azure Advisor について詳しく解説していきます。まず Azure Advisor はメイン機能として 5 つのカテゴリを対象に分析を行い、推奨事項を提示する機能をもっています。本項では 5 つのカテゴリについて推奨事例を含め解説します。

2.1 信頼性

Azure リソースやアプリケーションの継続稼働率を向上するための推奨事項が提示されます。

推奨事例

  • アプリケーションゲートウェイの冗長化(フォルトトレランス用インスタンス)を推奨
  • 仮想マシンの誤ったオペレーションによる削除防止のため保護機能を推奨
  • Azure managed disks に移行して、データの信頼性向上を推奨

2.2 セキュリティ

Azure リソースに関するセキュリティを Azure Security Center( Microsoft Defender for Cloud ) と統合し、推奨事項を提示します。Azure リソースのセキュリティの状態を定期的に分析し、潜在的なセキュリティの脆弱性が特定されると、推奨事項が提示されます。尚、現在では Azure Security Center は Microsoft Defender for Cloud に名称が変更されています。

推奨事例

  • 多要素認証( MFA )の有効化を推奨
  • 不要なサービスポートの無効化を推奨
  • Azure 各種サービスの最新バージョンへのアップグレードを推奨

2.3 パフォーマンス

Azure リソース、アプリケーションの実行スピード、応答性能など、パフォーマンス向上に関する推奨事項が提示されます。

推奨事例

  • Azure Traffic Manager のエンドポイント応答時間を短くし迅速に切替を行う設定を推奨
  • SQL Database Advisor を使用してデータベースのチューニングを推奨
  • ストレージのトランザクション状況から高い I/O パフォーマンスの Premium Storage へ移行を推奨

2.4 コスト

Azure リソースのなかで、活用されていない状態を識別し、全体的に Azure のコストに関する推奨事項が提示されます。

推奨事例

  • 使用率が低い仮想マシンのインスタンスサイズの変更を推奨(もしくは停止を推奨)
  • 未プロビジョニングの ExpressRoute やアイドル状態の Network gateway など適切なネットワークコンポーネント削除を推奨
  • 仮想マシンの購入タイプをオンデマンドタイプからリザーブド(予約制)インスタンへ変更を推奨

2.5 オペレーショナル エクセレンス

Azure リソースに対する管理作業に関して、効率化するための推奨事項が提示されます。

推奨事例

  • Azure Monitor における無効なログ警告ルールを抽出しクエリの修正を推奨
  • Azureサービスの問題に起因する障害情報を受け取るための Azure Service Health アラートの作成を推奨
  • Azureサービスの制限事項に対し、制限に近づいた場合、制限に達する前に調整するように勧告

3. Azure Advisor の便利機能3選

ここまで Azure Advisor は Azure ポータルからアクセスし、信頼性、セキュリティ、パフォーマンス、コスト、作業効率に関する推奨事項を提示してくれるアドバイザリー機能であることを紹介しました。このようなメイン機能以外にも Azure Advisor が有する便利な機能を3点紹介します。

3.1 Advisor スコア機能

Azure Advisor は分析の過程でのあらゆる情報を収集し Advisor スコアとして数値化する機能です。Advisor スコアは、5 つの各分類カテゴリスコアと、1 つの総合スコアで構成されます。数値化する事で、現状の Azure リソースの使用を総合的に評価する事ができます。効果測定もしやすくなるため、運用を担当する管理者にとっては大変貴重な機能と言えるでしょう。

3.2 Azure Quick Fix 機能

Azure Quick Fix 機能とはその名の通り、提示された推奨事項を素早く修復できる機能です。その為、簡易的に実行できる推奨事項が対象であり、すべての推奨事項が対象ではありません。

Quick Fix が対象のリソースはタグが付与されており可視的に判別することが可能です。この Quick Fix タグを利用して推奨事項を「一括で実行」や「延期」、「却下」などといったアクションを選択する事が可能です。また、一度「却下」したアクションも後から「アクティブ化」することもできます。

Quick Fix 機能およびこのタグ管理機能は作業効率化において大変貴重な機能と言えるでしょう。

3.3 Azure Advisor アラート機能

Azure Advisor では新しい推奨事項が検出されるたびに、イベントとして Azure アクティビティログに格納されます。このイベントをアラートとしてメールや、テキストメッセージで通知する事が可能です。また Webhook を使用して推奨事項データを他のシステムに送ることができるので、Slack や Chatwork のようなビジネスチャットとの連携も可能です。

影響レベル、推奨事項の種類など、必要に応じてリソースグループをカスタマイズが可能なので速効的な対応可否の判断や素早い情報共有として非常に役立ちます。

4. まとめ

本記事では、Azure Advisor について、 概要、必要性をはじめ、分析内容や便利な管理機能について紹介しました。Azure のようなクラウドサービスは大変便利なサービスであり、現代において必要不可欠なインフラと言えるでしょう。しかし、非効率的な使い方をしてしまうと、セキュリティやコストを理由に検討を見送り、利用を止めてしまう企業が存在することは事実です。

将来、労働生産性を高めていくことは、企業のみならず国全体の課題と言えます。その為にクラウドサービスの活用は必要不可欠です。利用にご不安な点があれば、気軽に専門家にご相談の上、クラウドサービスの導入、最適な運用についてご検討ください。

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Tag: Azure Advisor Azure運用管理

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