Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

Azure Deployment Environmentsとは?アプリの開発環境をIaCで素早く確実に準備する方法を解説

Category: 入門編

2023.08.07

簡単に IT インフラ環境を複製する方法とは?アプリ開発の効率化に繋がる方法を解説

IT の進化とクラウドの普及により、ビジネスの競争環境は劇的に変化しています。ビジネス成功のために、企業は開発のアジリティを一層高めることが求められており、開発に必要な環境をいかに迅速に準備できるかが重要なポイントのひとつになっています。

こうした状況下で、マイクロソフトでは、 IaC ( Infrastructure as Code )を活用して、 Azure インフラストラクチャーを簡単に構成、起動し、素早く開発環境を横展開可能とするサービスを提供しています。

本記事では、 IaC の基礎的な知識と、マイクロソフトが提供する Azure Deployment Environments の概要とメリット、主な機能について解説します。

1. IaCとは

システム開発に携わる人なら、「 IaC で自動化する」という話を耳にしたことがあると思いますが、 IaC とはどのようなものでしょうか。まず、 IaC の概要とメリットについて解説します。

IaCの概要

IaCの概要

IaC ( Infrastructure as Code )とは、サーバーやネットワーク、ストレージなどの ITインフラの管理とプロビジョニングを自動化するための仕組みのひとつです。

従来、 IT インフラは、手作業による設定や変更が必要でした。 IaC はこれらのプロセスを自動化し、コードで管理することで、迅速かつ一貫したITインフラ環境の構成と提供を可能としました。

IaC は、 IT インフラ環境をコードで表すことで諸々の管理作業を自動化し、より効率的で安全な運用を可能にする手法です。

IaCでできること

IaC の導入で実現できることは主に下記があります。

  • 環境の迅速なセットアップ
  • 設定変更の容易な管理

環境の迅速なセットアップ

IaC により、 IT インフラ環境を迅速に構築することが可能です。たとえば、新しい開発プロジェクトを開始するたびに、新しくアプリの開発環境をセットアップする必要がありますが、 IaC を用いると、これらの環境をコードの一部として定義し、自動化されたスクリプトで簡単にデプロイ(展開)することができます。

設定変更の容易な管理

IaC により、既存のシステム設定を容易に変更・更新することが可能です。たとえば、システムのスケールアップ・スケールダウンを行う必要がある場合や、セキュリティポリシーの変更が必要な場合などに、コードを変更するだけでシステム全体の設定を変更することができます。

IaCのメリット

IaC 導入のメリットは下記の通りです。

  • 効率性と迅速性の向上
  • 一貫性確保による品質向上
  • バージョン管理による透明性確保

効率性と迅速性の向上

IT インフラの手動による構築・設定作業は時間と手間を要しますが、 IaC により大幅に削減することが可能になります。自動化により環境のセットアップや既存環境の変更が簡単になります。新機能のリリースや、必要に応じてリソースのスケールアップ・ダウンを行う作業が効率化し迅速に実施できます。

一貫性確保による品質向上

人間による手作業は誤りを起こすリスクがあります。しかし、 IaC を用いれば、全ての設定がコードで管理されるため、作業の一貫性が確保されミスが排除されます。 IaC により、システムの品質が向上します。

バージョン管理による透明性確保

IaC は、コードとしてインフラの状態を管理するため、バージョン管理ツールを用いて変更履歴を追跡することが可能です。これにより、どの変更がいつどのように行われたかを明確にすることができ、問題が発生した際の対応も容易になります。

2. Azure Deployment Environmentsとは

Azure で IaC を実現するためにはいくつかの方法があります。ここでは、 IaC を実現するためのサービス、 Azure Deployment Environments の概要と料金体系について解説します。

Azure Deployment Environmentsの概要

Azure Deployment Environmentsの概要

図版出典:Microsoft公式サイト

Azure Deployment Environments は、 Microsoft Azure 上で提供される、 Azure のインフラのテンプレートと IaC の仕組みを活用し、開発者にアプリの開発環境を簡単かつ迅速に提供するためのサービスです。

開発プロジェクトベースのテンプレートを提供し、定められたセキュリティ設定やインフラ設定をコードとして事前定義して展開することで、開発環境、テスト環境、本番環境などそれぞれの環境を迅速に構築することができます。

開発者は、開発プロジェクトの中でアプリの環境が必要になったら、必要なインフラが定義されたテンプレートを選ぶだけで、自動で環境を構築してくれます。

Azure Deployment Environmentsの料金体系

Azure Deployment Environments は、 2023 年 7 月現在、無料で使用することができます。ただし、本サービスを通じて提供された環境で使用される仮想マシン、ストレージ、ネットワークなど他のAzureリソースについては別途料金が発生することに留意が必要です。

Azure Deployment Environments の料金体系の詳細は公式サイト(※1)を参照してください。

3. Azure Deployment Environmentsの構成要素と利用シーン

Azure Deployment Environments は開発環境を迅速に提供するために複数の構成要素で成り立っています。ここでは、 Azure Deployment Environments の構成要素と主な利用シーンについて解説します。

Azure Deployment Environmentsの主要な構成要素

Azure Deployment Environments の主要な構成要素は下記の通りです。

  • デベロッパーセンター( Dev Center )
  • プロジェクト( Project )
  • 環境( Environment Type )
  • マネージド ID ( Identities )

デベロッパーセンター(Dev Center)

デベロッパーセンターは、同様の設定を行う複数のプロジェクトを束ねて管理するためのコレクションです。デベロッパーセンターを使用することで、プロジェクトで使用する IaC テンプレートの管理と、実際の環境の構成などを行うことが可能です。

プロジェクト(Project)

プロジェクトとは、 Azure Deployment Environments の管理者が実際の開発チームに向けて公開する開発のアクセス・ポイントです。プロジェクトをデベロッパーセンターに関連付けると、デベロッパーセンターが保持している全ての設定がそのプロジェクトに自動的に適用されます。開発インフラの管理者は、プロジェクトをすぐ使用できるよう、予め開発チーム向けのインフラ環境を定義しておくことができます。

環境(Environment Type)

環境とは、 Azure Deployment Environments によって実際にアプリがデプロイされるインフラ環境のことを指します。仮想マシンやストレージ、ネットワークだけでなく、例えば Web アプリ向けには、 Azure App Service や Azure Key Vault 、データベースとして Azure Cosmos DB を使用するなどさまざまな Azure リソースをコレクションすることができます。

マネージドID(Identities)

マネージド ID を使用して、開発チームに環境の作成や削除などの権限を割り当てる必要があります。マネージド ID とは Azure のサービスが他のサービスに安全にアクセスするための機能で、認証情報は Azure が自動的に管理するため、管理者が認証情報を直接管理する必要がないことがメリットです。

Azure Deployment Environmentsの代表的な利用シーン

Azure Deployment Environments の代表的な利用シーンには下記のようなものがあります。

  • 調査用のサンドボックス環境
  • オンデマンドテストの環境
  • トレーニング・ハンズオンラボ・ハッカソン用の環境

調査用のサンドボックス環境

サンドボックス環境とは、新しいソフトウェア、コード、アプリケーションをテストするための独立した安全な環境を指します。子供がサンドボックス(砂場)で自由に遊ぶように、開発者はサンドボックス環境で自由に試行錯誤を行うことができます。こうしたサンドボックス環境を簡単に構築し、アプリや Azure リソースの設計に関する調査や動作確認などを安全に行うことができます。

オンデマンドテストの環境

開発者は多くの場合、コードを作成してパイプラインを実行する前に既存のテスト環境だけでなく、追加の環境が必要になるケースがあります。こうした際でも、 Azure Deployment Environments を利用することで、本番環境を模した追加のテスト環境を簡単に複製することができます。

トレーニング・ハンズオンラボ・ハッカソン用の環境

外部向けのワークショップやハンズオンのためのトレーニング環境、またはハッカソンなどの一時的に利用される環境を作成するためにも利用できます。本番環境から完全に分離された環境として複製することができ、利用が終わったら簡単に削除することができます。

4. まとめ

本記事では、 IaC の概念と、 Azure Deployment Environments の概要、構成要素と利用シーンについて解説しました。 Azure Deployment Environments は、 IaC の仕組みを活用し、開発者にアプリの開発環境を簡単かつ迅速に提供することができます。ぜひ専門家の支援を受けながら導入を検討してみてください。

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Tag: Azure Deployment Environments

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