目次
Azure Virtual Desktopの料金構造とは? Azure インフラのコスト構造も含めて解説
現代のビジネス環境では、テクノロジーの進化と共に企業の従業員の働き方も大きく変化しています。特にリモートワークの普及とグローバルなチームワークの必要性が増している中、企業はどのように効率的に組織を運営し、生産性を向上させるかが重要な課題となっています。
このような課題を解決するため、 Microsoft の Azure Virtual Desktop は、場所を選ばずにセキュアなデスクトップ環境を提供するソリューションとして注目されています。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、適切なライセンス選択と管理が必要不可欠です。
本記事では、 Azure Virtual Desktop の導入を検討する方のために、必要なライセンスの種類や料金モデル、そしてコストの最適化について詳しく解説します。
1. Azure Virtual Desktopの基本的な料金構造
Azure Virtual Desktop の料金計算には、いくつかの基本的な料金構造があります。これらの構造を理解することで、効果的なコスト管理が可能になります。
Azure Virtual Desktop ライセンスコスト
Azure Virtual Desktop を使用するためのライセンスコストとは、 Azure Virtual Desktop サービスの基盤(管理コントロールプレーン)を利用するために必要な最低限の費用です。基本的に、 Microsoft 365 または Windows 標準ライセンスに含まれており、これらのライセンスを購入することでAVDを単体で購入することなく利用できます。
Azureリソース消費コスト
Azure Virtual Desktop を実行するために必要な Azure のインフラサービス(仮想マシン、ストレージ、ネットワーク、その他サービスなど)の使用に基づくコストです。これらはユーザー側で用意する必要があります。
Azureインフラサービスのコスト
Azure Virtual Desktop (セッションホスト)が使用する仮想マシン( VM )コストが主要部分を占めます。仮想マシンの種類やスペックによってコストが変動し、仮想マシンの稼働時間に応じて課金される従量課金制を基本とします。コストを削減するために、 1 年または 3 年の期間を予約して割引が可能な「事前予約インスタンス」や、仮想マシンに限らず Azure リソース全般の使用量に基づいて割引を行う「節約プラン」などが用意されています。
IDプロバイダのコスト
Azure Virtual Desktop 環境での認証を行う ID プロバイダ( Microsoft Entra ID )も料金が必要です。Microsoft Entra ID の単独使用では基本的な認証機能が提供され、条件付きアクセスなど高度な機能を利用する場合は追加の料金が発生します。オンプレミスの Active Directory を組み合わせた場合は、ドメインコントローラーの仮想マシンのコストも考慮する必要があります。
その他付随コスト
Azure Virtual Desktop では、他にも多くの機能が利用可能で、それぞれコストが伴います。例えば、 Azure Monitor を使用した分析情報のログ記録、 Azure Files や Azure NetApp Files を用いたアプリケーションのストレージ、 FSLogix プロファイルコンテナー(ユーザーのプロファイル管理ツール)などが該当します。これらのサービスは使用状況に基づいて課金されるため、必要に応じて適切なリソースを選択し、コストを管理することが重要です。
2. Azure Virtual Desktopのライセンスとコスト要件
次に、 Azure Virtual Desktop のライセンスとコスト要件(※1)について解説します。
Windows10/11 Enterpriseの場合(マルチセッション含む)
下記に示すユーザーあたりのライセンスのいずれかを保持している場合、 Azure Virtual Desktop を利用可能です。 Microsoft 365 のライセンスだけでなく、下記に示す Windows 標準ライセンスでも利用可能となります。
- Microsoft 365 E3/E5
- Microsoft 365 A3/A5/Student Use Benefits
- Microsoft 365 F3
- Microsoft 365 Business Premium
- Windows 11 および Windows 10 Enterprise E3/E5
- Windows 11 および Windows 10 Education A3/A5
- Windows 11 および Windows 10 VDA Per User
Windows Server 2016/2019/2022の場合
下記に示すライセンスが必要となります。
- ソフトウェア アシュアランス( SA )付き RDS CAL ライセンス
- RDS ユーザーサブスクリプションライセンス
Azure Virtual Desktop 上でOfficeを利用する場合
Azure Virtual Desktop の仮想マシン上でOfficeを利用する場合は、 Office の利用ライセンスが必要です。以下のライセンスを購入することで、 Azure Virtual Desktop 上でOfficeの利用が可能です。
- Microsoft 365 E3/E5
- Microsoft 365 A3/A5/Student Use Benefits
- Microsoft 365 F3(Web版、モバイル版のアプリのみ)
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 Apps for Enterprise
また、 Microsoft 365 Apps for Enterprise を購入することで、 Office のサブスクリプション版を利用することも可能です。
※参考1:Azure Virtual Desktop のライセンス
3. 仮想マシンの選択とコスト最適化
最後に、仮想マシンの選択とコスト最適化について解説します。
コスト最適化を目指した仮想マシンの選択方法
Azure Virtual Desktop でのコスト効率の良い仮想マシンを選択するには、ニーズに合わせたスペックの選定が必要です。使用するアプリケーションの要求に必要十分な CPU 、メモリ、ストレージ容量を備えた仮想マシンを選ぶことが重要です。過剰なリソースはコスト増加の原因になるため、予測される負荷に基づいて最適なモデルを選定することがコスト削減につながります。
コスト最適化を目指したAzureリソース管理方法
効果的なコスト管理のためには、 Azure のスケーリング機能と自動停止機能を活用することが重要です。ピーク時の需要に応じてリソースを自動的にスケールアップし、不要な時間には仮想マシンを自動的にスケールダウンまたはシャットダウンすることで、使用されない時間のコストを削減できます。また、事前予約インスタンスや Azure 節約プランの活用により、長期間の使用を前提にした場合のコストを大幅に削減することが可能です。
Azureの料金計算ツールの使い方

図版出典:公式サイト
Azure 料金計算ツール(※2)を使うと、 Azure Virtual Desktop のコストを予測し、適切なコスト計画を立てることができます。まず、 Azure の料金計算ツールのページにアクセスし、 Virtual Machines など必要なサービスを選択して見積もりに追加します。各サービスについて、リージョンやサイズなどのパラメータを設定することで、詳細なコスト見積もりが可能です。
例えば、仮想マシンの稼働時間や帯域幅の設定変更によって、見積もりが自動的に更新されます。また、料金計算ツールは、購入した企業・組織単位で、個別の交渉に基づく価格設定や特別な料金プランを反映するために、当該企業・組織のアカウントでログインするとさらに精密なコスト見積もりを得ることができます。
4. まとめ
Azure Virtual Desktop は、現代のビジネス環境において重要なリモートワークソリューションです。しかし、効果的に活用するためには、適切なライセンス選択とコスト管理が必要です。本記事では、 Azure Virtual Desktop の基本的な料金構造、ライセンスとコスト要件、仮想マシンの選択とコスト最適化について解説しました。
効率的に Azure Virtual Desktop を導入し、コストを最適化するための具体的な方法を理解し、正確な料金計算とリソース管理を行うことで、 Azure Virtual Desktop の利便性とコスト効果を最大限に引き出すことができます。ぜひ、専門家の助けを借りながら導入を検討してみてください。
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