目次
Azure Virtual Desktop(AVD)のオートスケールの概要や設定方法について解説
Azure Virtual Desktop (以下、 AVD )のオートスケールを活用することで、リソースの効率化とコスト削減を実現できます。この記事では、AVD のオートスケールの基本的な概念、設定の手順、適用可能なシナリオ、そして運用時のベストプラクティスについて詳しく解説します。
1. AVDのオートスケールの概要
AVD および Azure におけるオートスケール機能について説明します。
Azure Virtual Desktop(AVD)とは
AVD とは、 Microsoft Azure が提供するクラウドベースのデスクトップおよびアプリケーション仮想化サービスです.AVDを使用することで、物理的なデバイスに依存することなく、リソースを効率的に管理・配布することが可能です。
AVDは、コストを抑えつつ利用するリソースに応じてパフォーマンスを最適化できるため、特にリモートワークや多様なデバイスを使用する環境での柔軟な働き方をサポートします。
AVDにおけるオートスケールとは
オートスケール機能は、リソース使用量を自動的に監視し、必要に応じてリソースを増減させるシステムです。この機能を使うことで、使用状況に応じたリソースの調整が可能となり、無駄なリソースの確保を避けることができます。
特に AVD では、ユーザーのアクセスパターンや利用状況を分析し、適切な数の仮想デスクトップを動的に提供することで、コスト効率の良い環境を実現し、常に最適なパフォーマンスを提供します。
2. AVDオートスケールの設定手順
ここからは、 AVD のオートスケールの設定手順について説明します。
サブスクリプションへのロールの割り当て
AVD オートスケールを設定する前に、 Azure サブスクリプションに必要なロールを割り当てる必要があります。これは、 Azure ポータルから「 IAM 」セクションに移動し、「ロールの割り当て」をクリックして、必要な権限を付与することで行います。
※参考:https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-desktop/service-principal-assign-roles?tabs=portal
スケーリングプランの作成
スケーリングプランには、 AVD の仮想マシンの数をどのように増減させるかを定義します。以下に、その作成手順を説明します。
手順2. 「 Azure Virtual Desktop 」を選択します。
手順3. 「スケーリングプラン」をクリックし、「作成」を選択します。
手順4. 「スケジュール」タブで 「スケジュールの追加」を選択します。
スケーリングプランの詳細を入力し、ピーク時と非ピーク時の仮想マシンの数、1 日のうち使用率が最も高くなる開始時刻などが含まれます。
診断ログの設定
AVDオートスケールの動作を監視し、問題を迅速に特定するためには、診断ログの設定が重要です。Azureポータルから「診断設定」を選択し、必要なログレベルと保存先を設定します。
ログが記載されているJSON ファイルを分析することで、オートスケールの動作を詳細に追跡でき、オートスケールプロセス中に発生したイベントやエラーの迅速な解決につながります。
※参考:https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-desktop/autoscale-diagnostics
3. AVDオートスケールの適用シナリオ
AVDのオートスケールは、様々なシナリオに適用可能です。以下に、ユーザー数が増加、または減少した場合のシナリオを示します。
シナリオ例1:ユーザー数増加時のスケーリング
ユーザー数が増加すると、 AVD 環境内のリソース需要も高まります。オートスケーリングプランは、必要に応じてデスクトップ数を自動的に増やす機能を提供します。これにより、新たなユーザーを含む全てのユーザーが、作業をスムーズに進めることが可能となります。
シナリオ例2:ユーザー数減少時のスケーリング
逆に、ユーザー数が減少した場合、余剰となったリソースを削減する必要があります。オートスケーリングプランは、不要なデスクトップを自動的に削除します。これにより、リソースの無駄を防ぎ、運用コストを節約可能です。
特に、時間によるユーザー数の変動が大きい企業や、季節やイベントによってユーザー数が大きく変動する場合には特に有効です。また、リモートワークの普及に伴い、日々のユーザー数が不規則になる環境では、リソースを最適に管理し、無駄を削減するための重要なツールとなります。
4. AVDオートスケールを活用した運用時のベストプラクティス
AVD のオートスケール機能を活用した運用における最適な方法についてご紹介します。
評価方法
スケーリングプランの評価には、主にリソース使用率とパフォーマンスメトリクスの分析が有効です。これにより、現在のスケーリングプランが効果的に機能しているか、または調整が必要かを判断することができます。
調整手順
Azure ポータルからスケーリングプランの調整を行います。スケーリングプランの設定を開いて、必要に応じてピーク時と非ピーク時のインスタンス数、スケールアウトとスケールインの速度を調整します。
Start VM on Connectの有効化
AVD のオートスケールと「 Start VM on Connect 」を連携することで需要に応じた正確なスケーリングを実現できます。
Start VM on Connectとは
Start VM on Connect とは、ユーザーが接続要求を行ったときに仮想マシンを起動する機能です。これにより、リソースの使用が最適化され、必要なときに即座にデスクトップにアクセスできます。使用されていない時間のリソース消費を削減することでコストを節約します。またユーザーの待機時間を最小限に抑えることで生産性の向上に寄与します。
Start VM on Connectの有効化手順
Azure ポータルから、 AVD の設定を開き、「 Start VM on Connect 」を有効にします。これにより、ユーザーが接続要求を行ったときに仮想マシンが自動的に起動します。
スケーリングプランのトラブルシューティング
AVD オートスケーリングでは、予期せずにスケーリングが発生する、またはスケーリングが期待通りに行われないといった問題が発生します。これらの問題を解決するためには、診断ログの確認とスケーリングプランの設定の見直しが重要です。
5. まとめ
AVDのオートスケール機能は、利用状況に応じてリソースを最適に管理し、コスト効率を向上させる重要な機能です。この機能により、利用者数の増減に応じて適切な数の仮想デスクトップを動的に自動で調整し、無駄なリソースの確保を避けます。
特にリモートワークやユーザー数が不規則に変動する環境で有効です。また、「 Start VM on Connect 」を活用することで、更に精緻なリソース管理とユーザー体験の向上を実現していきましょう。
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Tag: AVD Azure Virtual Desktop
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