目次
自社のニーズに最適な仮想デスクトップの実現方法を選定するために
デスクトップ仮想化とは、サーバー上でデスクトップ環境を構築・管理し、各クライアント端末からアクセスして利用する仕組みのことです。リモートワークの普及などにより、セキュリティ面やコスト面でメリットがあることから注目されています。
仮想デスクトップを実現する方式にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なるため、自社に適した種類を選ぶことが重要です。本記事では、デスクトップ仮想化方式の各種類の仕組みや特徴、選び方についてわかりやすく解説します。1. デスクトップ仮想化方式の種類
デスクトップ仮想化を実現する方法として、主に次の 4 種類があります。


VDI方式(仮想デスクトップ方式)
VDI 方式は、 一つの物理サーバー上に複数の仮想デスクトップを作成し、各ユーザーに専用のデスクトップ環境を提供する方式です。
一人に一つ独立した環境を用意できるため、ユーザーごとに必要なアプリケーションを選択してインストールできるなど、カスタマイズ性が高いことが特徴です。また企業が集中管理するため、独自のセキュリティポリシーの適用などもできます。
VDI 方式のデメリットは、環境構築のための初期投資や、運用管理の負担が高くなる点です。また、ユーザーごとに仮想マシンが割り当てられるため、リソースの効率的な使用が難しい場合があります。
SBC方式(サーバーベース方式)
SBC 方式は、 一つのサーバー上に用意されたデスクトップ環境やアプリケーションを複数のユーザーで共有する方式です。各ユーザーは同じデスクトップ環境を使用するため、リソースを効率的に利用でき、初期投資や運用管理負担を VDI 方式よりも低く抑えられる点がメリットです。
一方で複数ユーザーで同じ環境を利用するため、個人で自由にカスタマイズすることは難しくなります。また、複数のユーザーが同時に高負荷な作業を行うとパフォーマンスが低下する可能性もあるため、軽作業が中心の業務環境に向いています。
HDI方式(ホスト型デスクトップインフラ方式)
HDI 方式は、物理的なデスクトップマシンを直接リモートで操作する方式で、一人に一台専用の物理リソースが割り当てられます。 VDI 方式と違い仮想化によるオーバーヘッドが発生せず、 SBC 方式と違い複数ユーザーでの共有もないため非常に高いパフォーマンスを提供できることが特徴です。そのため、たとえば CAD や 3D モデリングなど、パフォーマンスが重要な業務に適しています。
一方でユーザーと同数の物理マシンが必要になるため初期投資が高く、メンテナンスコストも大きくなりやすい点がデメリットです。また専用の物理マシンが必要なため、スケーラビリティも VDI 方式や SBC 方式に比べて制約があります。
DaaS方式(パブリッククラウド方式)
DaaS ( Desktop as a Service )方式は、クラウドプロバイダが用意した仮想デスクトップ環境をサービスとして利用する方式です。たとえば代表的なものには Microsoft Azure の Azure Virtual Desktop や、 AWS の Amazon WorkSpaces などがあります。
DaaS 方式の大きなメリットは、クラウドのスケーラビリティを活かして必要に応じてリソースを増減できる点です。また物理インフラが不要なため初期投資が少なく、従量課金性であることが多いため、コストを抑えやすくなります。さらにインフラの運用・管理はプロバイダが担うため運用管理負担も減らすことが可能です。
ただし、インターネット接続が必須なため、通信環境がパフォーマンスに大きく影響します。また、自社で管理するほかの方式と比較すると、自由なカスタマイズや独自のセキュリティポリシーの適用などが制限される場合がある点もデメリットです。
それぞれの特徴を比較すると次のとおりです。
VDI 方式 | SBC 方式 | HDI 方式 | DaaS 方式 | |
---|---|---|---|---|
カスタマイズ性 | ◎ | △ | ◎ | 〇 |
リソース効率 | 〇 | ◎ | △ | ◎ |
パフォーマンス | 〇 | △ | ◎ | 〇 |
初期投資 | △ | ◎ | △ | ◎ |
スケーラビリティ | △ | 〇 | △ | ◎ |
運用管理負担 | △ | ◎ | △ | ◎ |
カスタマイズ性: ◎=高い、◯=普通、△=低い
リソース効率: ◎=高い、◯=普通、△=低い
パフォーマンス: ◎=高い、◯=普通、△=低い
初期投資: ◎=少ない、◯=普通、△=多い
スケーラビリティ: ◎=高い、◯=普通、△=低い
管理機能: ◎=非常に良い、◯=良い、△=不足している
運用管理負担: ◎=少ない、◯=普通、△=多い
2. デスクトップ仮想化方式の種類の選び方
前章で紹介したように、それぞれの方式にはメリット・デメリットがあるため自社のニーズに合わせた選択をすることが重要です。ここでは、特定のニーズに合わせたおすすめの 方式を紹介します。
カスタマイズ性を重視する場合
業務ごとに異なる設定が必要であるなど、高いカスタマイズ性を求める場合、 VDI 方式が適しています。各ユーザーに専用の仮想環境を提供できるため、それぞれの業務に合わせたアプリケーションのインストールや、柔軟な設定などが可能です。また、 HDI 方式もユーザーごとに専用の物理リソースが提供されるため、カスタマイズ性が高くなります。
リソースを効率的に使いたい場合
リソースを効率的に活用したい場合は、 SBC 方式が適しています。複数のユーザーが同じリソースを共有するため、無駄を最小限に抑えられ、コストパフォーマンスが高いためです。ただし、高負荷な作業や個人の業務に合わせたカスタマイズは難しい場合があるため、コストと効率のバランスを慎重に検討する必要があります。
業務に高いパフォーマンスが求められる場合
大容量のデータ処理などの高負荷な業務を行う場合は、 HDI 方式や VDI 方式が適しています。 HDI 方式は物理リソースをユーザーごとに割り当てるため、仮想化によるオーバーヘッドがなく、最大限のパフォーマンスを発揮できます。 VDI 方式も、適切にリソースを割り当てることで高いパフォーマンスを維持することが可能です。
初期投資を抑えたい、または将来的なリソースの拡張が必要な場合
初期投資を抑え、必要に応じてリソースを拡張したい場合、 DaaS 方式が最適です。クラウドサービスのためハードウェアの購入は不要で、契約するとすぐに利用を開始でき、必要な分だけリソースを使用できます。まずはスモールスタートし、徐々に導入を拡大していきたい企業にもおすすめです。
3. まとめ
デスクトップ仮想化を実現する方法には、今回紹介したようにさまざまな種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、各種類の特徴について理解した上で、自社のニーズに合うものを選択することが重要です。
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Tag: VDI
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