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VDIセキュリティのメリット・デメリットを理解して適切な対策を行おう
VDI を活用してリモートワークを行う際は、企業の重要な情報にオフィス以外の場所からアクセスするため、セキュリティ面が気になるところです。 VDI では、高度なセキュリティを確保するために多くの対策方法があり、実施することで機密情報への安全なアクセスが可能となります。
本記事では、 VDI のセキュリティの基本的な内容や、セキュリティ上のメリット・デメリットについて解説します。さらに、 VDI の具体的なセキュリティ対策に関しても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1. VDIのセキュリティの基本的な仕組み
VDI (仮想デスクトップインフラストラクチャ)のセキュリティは、ユーザーが仮想デスクトップ環境にリモートでアクセスする際に、データやシステムを保護するための一連の仕組みや対策を指します。これにはアクセス制御やデータの暗号化、多要素認証( MFA )などが含まれます。
VDI の特徴は、データやアプリケーションをサーバー上で一元管理できる点です。個々で端末を管理する場合と比べて、バックアップやアップデートなどが容易になり、端末ごとの脆弱性により生じるリスクを最小限に抑えることができます。

2. VDIのセキュリティ上のメリット
VDI には、次のようなセキュリティ上の様々なメリットがあります。
データ漏洩リスクの軽減
VDI では、クライアント端末にデータが保存されないため、端末が紛失や盗難に遭った場合でもデータ漏洩のリスクが軽減されます。また、サーバー側でデータの暗号化やアクセス制御を施すことで、リスクを予防することが可能です。
セキュリティポリシーの一元管理
VDI では、サーバー上でセキュリティ設定を一元的に管理できるため、リモートアクセスやデータの取り扱いに関するセキュリティ設定を個別に行う必要がなくなります。すべての接続やデータのやり取りに対して、企業全体で統一されたセキュリティポリシーを適用することが可能です。
また、ユーザーごとのアクセス権限も中央で管理できるため、各部門やプロジェクトごとに業務内容に応じたアクセス制御が容易にでき、不正アクセスのリスクが低減されます。
インシデント対応の効率化
VDI 環境では、セキュリティに関するログを確認する際は、基本的にサーバー上のログのみを確認すればよくなります。その結果、セキュリティインシデントに対する対応を素早く行うことができ、万が一セキュリティ攻撃を受けた場合には、迅速に正常な状態へ回復させることが可能です。
インフラ内における全ての端末に対してインシデント対応を行う必要があるインフラ構成に比べると、コストの面でも手間の面でもメリットが生じます。
3. VDIのセキュリティ上のデメリット
VDI には、セキュリティ上の様々なメリットがある反面、デメリットもあります。ここでは、デメリットをいくつか紹介しますので、事前に理解しておきましょう。
インターネットを介することで生じるリスク
VDI では、サーバーとクライアントの通信は基本的にインターネットを介して行われます。そのため、データ通信時の流出リスクを考慮した暗号化や VPN (仮想プライベートネットワーク)の導入などの対策は必須です。
また、メール等を利用して行われる標的型攻撃など、 VDI だからといって完全に防御しきれないものもあります。標的型攻撃によりクライアントのアカウント情報が盗まれると、正規ユーザーを装って社内ネットワーク内に侵入されるなどのリスクもあります。
サーバー攻撃の影響範囲
VDI では複数のクライアントが同じサーバーにアクセスします。このため、万が一サーバーが DDoS 攻撃などのセキュリティ攻撃を受けると、アクセスしている全てのクライアントにも影響する可能性があります。このように VDI ではサーバー攻撃を受けた際の影響範囲が広い点がデメリットです。
そのため VDI では、トラフィックを監視したり攻撃を受けた際の復旧に備えたりすることが重要です。常時バックアップを用意し、極力運用を止めない体制づくりを心がけましょう。
端末側のセキュリティに対する懸念
クライアント端末で不正アクセスに対する対策を欠いていると、 VDI のセキュリティに影響を及ぼすリスクがあります。クライアント端末を使う各従業員へのセキュリティ教育を徹底するなどして、サーバーに比べて手薄になりがちなクライアントのセキュリティ対策への意識を高める必要があります。
4. VDIのセキュリティ対策
ここでは、前章で解説したデメリットに対する、具体的な VDI のセキュリティ対策について解説します。 VDI のセキュリティを強化するポイントは、一つのセキュリティ対策だけに頼るのではなく、複数のセキュリティ対策を組み合わせることです。
VPN
VPN を活用することで、サーバーとクライアントの通信は仮想の専用トンネル内で行われます。このため、外部からの攻撃を受けるリスクを低減させることが可能です。また、 VPN により IP アドレスを隠すことができるため、悪意のある攻撃者により攻撃対象として特定されることを防ぐことができます。

多要素認証
多要素認証は、パスワードと生体情報のように異なる情報により認証する方法です。万が一パスワードが漏洩した場合も、生体情報は本人しか持ちえません。 VDI 環境に多要素認証を導入することにより、不正な認証を防ぐことができ、セキュリティを強固にすることができます。
SSL/TLS暗号化
SSL/TLS は、ネットワーク上の通信を暗号化するプロトコルです。 SSL/TLS 暗号化により、外部からは情報を解読できないようにします。これにより、情報漏洩などのリスクを低減できます。
ゼロトラストモデル
ゼロトラストモデルとは「すべてのアクセスを常に検証し、認証できるまでは信頼せずにアクセス権を与えない」というセキュリティの考え方です。 VDI でもゼロトラストモデルの考え方を取り入れることで、クライアントがサーバーにアクセスする際に強固なアクセス制御を行えます。
たとえば、次のような対策が挙げられます。
- アクセス元の IP アドレスやデバイスを制限する
- 各ユーザーが必要とする最小限のリソースにのみアクセスできるようアクセス権を細かく設定する
5. まとめ
VDI を安全に運用するためには、 VDI セキュリティの基本的な内容やメリット・デメリットを理解しておく必要があります。その上で、自社に必要なセキュリティ対策を検討しましょう。ぜひこの記事を参考にして、 VDI 環境における安全性の高いセキュリティ対策を実現してください。
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