Managed Service Column <システム運用コラム>

ESXiのバックアップ方法と重要性、運用時に考慮すべきポイントを解説

Category: 入門編

2026.01.23

バックアップ運用における課題、将来的な検討ポイントも解説

ESXi 環境を適切にバックアップするには、ESXi ホスト・仮想マシン(VM)・vCenter Server の 3 つを確実に保護することが重要です。どれか一つでも欠けると、障害発生時の復旧に支障が出るだけではなく、業務停止のリスクも高まります。

本記事では、 ESXi のバックアップ対象と方法、運用時に押さえるべきポイントを解説します。 ESXi のバックアップについて「何を・どう取ればよいか」を整理したい方は、ぜひ参考にしてください。

1. ESXiをバックアップする重要性と対象の整理

ESXi のバックアップを適切に取得していない場合、ハードウェア故障による ESXi ホスト の停止などが発生した際に、業務停止が長期化するリスクがあります。そのため、何をどこまで保護すべきかを明確にしておくことが重要です。

ここでは、 ESXi の主なバックアップ対象とバックアップの種別について解説します。

バックアップの対象

ESXi 環境では、役割の異なる以下の要素を適切に保護することが重要です。

  • ESXi ホスト(ホスト構成情報)
  • 仮想マシン(業務データ・ OS ・アプリケーション)
  • vCenter Server(管理・制御情報)

ここでは、障害時の復旧可否に大きく影響する「 ESXi ホスト構成」と「仮想マシンのバックアップ」を中心に解説します。

フルバックアップと増分バックアップの違い

仮想マシンのバックアップ運用では、フルと増分を組み合わせて取得する方法が一般的で、基準となるフルバックアップを取得し、日常の運用では増分バックアップを活用する方法が効率的です。

フルバックアップは、バックアップ対象となるすべてのデータを一式コピーして保存する方式を指します。指定した範囲のデータをすべて取得するため、復旧作業の判断がシンプルで、短時間で確実に元の状態へ戻せる点がメリットです。一方で、取得するデータ量が多く、バックアップ時間が長くなりやすいデメリットがあります。

増分バックアップは、前回のバックアップから変更された差分データだけを取得する方式です。データ量が少ないためバックアップの処理時間が短く、ストレージ容量を節約できます。ただし、復旧時にはフルバックアップと複数の増分バックアップを順番に適用しなければならず、復旧手順が複雑になりやすい点は認識しておきましょう。

<ESXi フルバックアップと増分バックアップの違い>
ESXi フルバックアップと増分バックアップの違いを表した図

2. ESXiのバックアップ/リストアの方法

本章では、仮想マシンを対象とした一般的なバックアップ方法と、ESXi ホスト構成のリストア手順について解説します。

仮想マシンを対象とした主なバックアップ方法

ESXiの 主なバックアップ方法は以下の 2 つです。

①バックアップ専用ソフトで VM をイメージバックアップする方法

「 Veeam Backup & Replication 」や「 Arcserve UDP 」などのバックアップ専用ソフトを利用し、仮想マシン全体をイメージとしてバックアップする方法です。中規模〜大規模環境で複数の VM をまとめてバックアップしたいケースに適しています。

バックアップ専用ソフトは、物理サーバーまたは専用の仮想マシンにインストールして使用するのが一般的です。 Veeam Backup & Replication の場合は、以下の保存先を利用できます。

  • ローカルストレージ
  • 共有フォルダ( NAS など)
  • Veeam Backup Repository
  • Veeam Cloud Connect Repository

②ストレージ( SAN/NAS )のスナップショットを活用する方法

ストレージのスナップショット機能を利用し、 VM の復元ポイントを取得する方法です。ストレージ内で VM の復元ポイントを高速に作成し、迅速なロールバックを行いたいケースに適しています。

この方法のメリットは、 ESXi ホスト側に負荷をかけずに短時間で復元ポイントを取得できる点です。ただし、ストレージ自体で障害が発生すると、スナップショットもまとめて失われるリスクがあるため、外部ストレージへのバックアップと併用することが推奨されます。

ESXi ホスト構成のリストア手順

ESXi のリストア手順は、対象システムの種類やバージョンによって異なります。 ESXi ホストの構成データをリストアする一般的な流れは以下のとおりです。

①下記のコマンドでホストをメンテナンスモードにします。
# vim-cmd hostsvc/maintenance_mode_enter
②次にバックアップファイルを ESXi ホストにコピーします。
③ホストを再起動します。
④ESXi が再起動したら、
/tmp/configBundle.tgz
にバックアップファイルを移動させます。
⑤下記のコマンドを実行して、 ESXi ホスト構成をリストアします。
# vim-cmd hostsvc/firmware/restore_config 0

※参考:Broadcom「ESXi ホストの構成のバックアップ方法

<ESXi リストアの手順>
ESXi リストアの手順を示したステップ図

3. ESXiバックアップ運用における課題と将来的な検討ポイント

ここでは、 ESXi バックアップ運用における課題と将来的な検討ポイントを解説します。

VMware環境のライセンス変化による長期的リスク

近年、 VMware 製品はライセンス体系の改定により、以下のリスクが懸念されています。

  • コストの増加
    サブスクリプション制への完全移行により、従来の永続ライセンスに比べてランニングコストの増加が懸念されている。
  • IT管理体制の再構築
    ライセンス契約形態が大きく変わったことで、 IT 部門の管理体制そのものを見直す必要がある。
  • セキュリティリスクの増加
    サポート切れによって技術支援やセキュリティパッチの提供などを受けられなくなり、セキュリティリスクが懸念されている。

これらは、現在構築しているバックアップ方式の継続可否にも直結するため注意が必要です。

<VMware環境のライセンス変化による長期的リスク>
VMware環境のライセンス変化による長期的リスク

ほかの仮想化基盤との比較

以下の表は、バックアップ運用を軸に主要ハイパーバイザー 3 つを比較したものです。どの仮想化基盤でもバックアップは可能ですが、 ESXi は近年ライセンス体系の変更が続いています。事前に運用コストや契約条件を確認したうえで、適切な製品を選定することが重要です。

製品名 ESXi Hyper-V Nutanix AHV
概要 VMware 社の代表的なハイパーバイザー Microsoft 純正のハイパーバイザー Nutanix の HCI に標準搭載されるハイパーバイザー
バックアップ機能の特徴 VADP ( VMware vSphere 環境の仮想マシンを効率的にバックアップするためのAPI)により、効率的なイメージバックアップが可能 VSS (指定されたボリュームの内容を複製し、専用の領域に保管する機能)により、安定したバックアップが可能 Nutanix Data Protection (仮想化基盤のデータを保護する機能)により、高速な復旧を前提としたデータ保護が可能
主なバックアップ先
  • ローカルストレージ
  • 外部ストレージ
  • Veeam backup repository
  • Veeam Cloud Connect repository
  • ローカルドライブ
  • 外部ストレージ
  • バックアップソフト経由のリポジトリ(Windows Server バックアップ、 Veeam など)
  • Nutanix のローカルストレージコンテナ
  • リモートの Nutanix クラスタ
将来性 ライセンス体系の変化が続いており、コストや契約条件の事前確認が重要 Microsoft 製品との高い親和性を活かした統合運用が可能 HCI 市場の拡大とともに採用が進んでいる

4. まとめ

ESXi のバックアップは、業務システムを安定稼働させるために欠かせない取り組みです。しかし、近年の VMware のライセンス体系変更により、 ESXi を長期的に利用し続けるリスクが指摘されています。そのため、単にバックアップ運用を見直すだけではなく、将来的な仮想基盤のあり方を再検討する企業が増えているのが現状です。

Rworks では、 VMware 環境からの移行サービスを提供しており、お客様の環境に適した構成設計から構築・運用までを一貫してサポートできます。仮想基盤の見直しやバックアップ運用に課題を感じている企業様は、お気軽にご相談ください。

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