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仮想デスクトップサービスをもっと手軽に。Microsoftの仮想デスクトップサービスを比較!
クラウドの普及や、新型コロナウイルスの影響もあり、リモートワークを導入する企業が増えていますが、リモートワークを導入した企業が抱えるよくある悩みとして下記があります。
- リモートワークを導入したが、社員が個人 PC から会社環境にアクセスしており、セキュリティに不安がある。
- 社員に持出用端末を配布する方法は、端末管理負荷や、持出端末からの情報漏洩リスクが上がるので避けたい。
こうした悩みを解決するには、仮想デスクトップサービスの導入がおすすめです。
Microsoft が提供する仮想デスクトップサービスである Windows 365 と AVD は、どこからでも、どの端末でアクセスしても安全なリモートワークを実現できます。加えて、 Office 365 や Teams などの Microsoft 製品との親和性を高めることができるのは両者に共通したメリットです。
ではこの 2 つはどう違うのか、どのような組織・使い方に向いているのかを解説していきます。
- よくあるお悩み:
- リモートワークを推進するために仮想デスクトップを導入したい
- クライアント端末の管理、メンテナンス負荷を下げたい
- クライアント端末をオフィス外に持ち出すことが多いので、情報流出等のリスクを低減したい このようなお悩みを解決するサービスはこちら。>> AVD(Azure Virtual Desktop)導入設計サービス
1.Windows365とAVDのそれぞれが向いている利用シーン
まずは結論から解説します。 Windows 365 と AVD のそれぞれが向いている利用シーンは以下の通りとなります。
Windows 365(Business)が向いているケース
- ユーザ数が 300 人未満の環境で手軽に仮想デスクトップ環境を導入したい
- Active Directory 環境を持っていない
- 社内に仮想デスクトップ運用に詳しい担当者がいない
Windows 365(Enterprise)が向いているケース
- 300 人より多い大規模組織に仮想デスクトップを導入したい
- 自社内で Active Directory を運用しており、仮想デスクトップから自社オンプレ環境と Azure 上の社内リソースにアクセスしたい
- 社内に仮想デスクトップ運用に詳しい担当者がいない
- システム構成を頻繁に変更する想定はなく、大きな変動を想定しない予算計画をしたい
AVDが向いているケース
- 自社のセキュリティポリシーに合わせて、仮想デスクトップ環境をカスタマイズしたい
- 自社で仮想デスクトップの運用を行いながらコストパフォーマンスを最適化したい
- 自社内で Active Directory を運用しており、仮想デスクトップから自社オンプレ環境と Azure 上の社内リソースにアクセスしたい
- 営業時間帯だけ起動する、ユーザ増減に合わせて台数調整する、など業務の状況に応じてコスト最適化をしたい
ではなぜ上記のようになるのでしょうか。Windows 365 と AVD の概要、メリット/デメリットを説明しつつ、両者を比較して見てみましょう。
2.Windows 365とは?
まず、 Microsoft が「クラウド PC 」と定義する Windows 365 について解説します。
Windows環境をクラウド上で使えるクラウドPCサービス

Windows 365 は、クラウド上の Windows 環境を占有できるサービスです。 OS 、 vCPU 、RAM 、ストレージなどのリソースがあらかじめ設定されており、利用者は必要なライセンスを購入し、スペックを選択するだけですぐに使い始めることができます。
個人の設定、アプリケーションデータが保持されるため、インターネットへの接続環境があれば、様々なデバイスで、どこからでも Windows のデスクトップ環境を安全に利用可能です。従来はオフィス環境にある物理的なパソコンにデータを保存する事が当たり前でした。 Windows 365 は、このパソコン環境を丸ごとクラウド上で管理する「クラウド PC 」という概念を持ったサービスです。
Windows 365のメリット
一般的な仮想デスクトップサービスと共通する点もありますが、 Windows 365 が持つメリットについて解説します。
- Windows PC でなくても利用可能
- 端末からの情報漏洩リスクを低減できる
- 初期セットアップ、端末管理の負担が軽い
Windows PCでなくても利用可能
Windows 365 は、リモートデスクトップクライアントか、 Web ブラウザから接続します。 インターネットへの接続環境さえあれば、 iOS ・ Android ・ Windows ・ Chromebook など様々なデバイスから Windows 環境の利用が可能です。
端末からの情報漏洩リスクを低減できる
物理的にデバイスを持ち出すと、紛失・盗難によって第三者の手に渡るおそれがあります。また、昨今ではランサムウェアのようなウィルス感染の被害も深刻化しており、それぞれのデバイスにデータが保存されることは大変リスクが高いです。
Windows 365 はストレージもクラウド上で管理されるため、紛失や盗難あるいはウィルス感染など、物理的に端末を持ち出すことで発生する情報漏洩リスクを低減できます。Azure AD と連携することで多要素認証も設定できます。
初期セットアップ、端末管理の負担が軽い
物理的なパソコンの場合、購入後にライセンスの認証 OS の初期設定やアプリケーションのインストールが必要でした。しかし、 Windows 365 は割り当てられたクラウド上の環境で初期設定が完了しています。一部固有のアプリケーションなどは利用者で準備する必要がありますが、 Windows 365 は利用までのプロセスが大幅に簡略化されています。
また、 OS の更新プログラム、セキュリティ問題へのパッチ適用、ソフトウェアのアップデートなどがサービスとして提供されるため、運用にかかる手間を大幅に削減できます。
Windows 365のデメリット
次に、 Windows 365 が持つデメリットについて解説します。
- スペックが決められたプランからしか選択できない
- ランニングコストが割高になるケースがある
- 仮想デスクトップの稼働時間が決められている
スペックが決められたプランからしか選択できない
Windows 365 は、マシンスペックが決められたプランからしか選択できないようになっています。そのため、業務内容に合わせた細かい調整が難しいと言えます。
ランニングコストが割高になるケースがある
Windows 365 は、 1 ユーザが 1 環境を占有するシングルセッション方式となっています。そのため、ランニングコストが割高になるケースがあります。
仮想デスクトップの稼働時間が決められている
仮想デスクトップの稼働時間は 24 時間 365 日と決められています。コスト削減のために業務時間外は停止するなどの細かい調整はできません。
料金体系
Windows 365 の料金は、月額固定のサブスクリプションモデルを採用しています。利用ユーザ数、スペック、ストレージ容量、セキュリティ管理機能( Microsoft エンドポイントマネージャー)との連携有無などにより 2 つのプラン( Business 、 Enterprise )が用意されています。
3.Azure Virtual Desktop(AVD)とは?
AVD も仮想デスクトップサービスのひとつです。次は AVD について解説します。
Microsoft Azure上で稼働する仮想デスクトップサービス

AVD は、 2019 年に発売された仮想デスクトップサービス( DaaS / Desktop as a Service )です。 Microsoft が提供する Azure というクラウドサービスによって提供されるため、 VDI ( Virtual Desktop Infrastructure )サービスとして位置付けられています。
2019 年に発売された当初は、 Windows Virtual Desktop ( WVD )という名称でしたが、 2021 年 6 月に名称が AVD に変更されています。 Windows 365 と同様に、クラウド上に構築された Windows 環境へ様々なデバイスからアクセスできるサービスです。
AVDのメリット
AVD が持つメリットについて解説します。
- マルチセッション接続でコストを抑えられる
- 端末からの情報漏洩リスクを低減できる
- 端末管理、メンテナンス負荷を低減できる
- 自社のポリシーや業務ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできる
マルチセッション接続でコストを抑えられる
AVD は、 1 つの仮想 PC に複数ユーザが同時にアクセスできるマルチセッション方式を採用しています。そのため、ユーザ数分の PC を用意する必要がなく、コスト削減にもつながります。
端末からの情報漏洩リスクを低減できる
AVD は、多要素認証や監査ログといったセキュリティ対策が施されています。また、保存したデータはクラウド上で保管する仕様となっているため、端末からの情報漏洩リスクを低減できます。
端末管理、メンテナンス負荷を低減できる
AVD では、端末の設定を一元管理することができます。そのため、端末個別に設定を行う必要がなく、セキュリティ対策を含めた端末の設定を一本化できます。
自社のポリシーや業務ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできる
AVD は柔軟にカスタマイズできる点が大きなメリットです。自社のポリシーや業務ニーズに合わせて、柔軟に設定を行うことができます。例えば、ファイルの端末へのコピーやプリンタでの印刷を許可する / 許可しないといった制御や、仮想デスクトップの稼働時間を調整や、業務内容に応じて細かいスペックの調整が簡単にできます。
AVDのデメリット
AVD が持つデメリットについて解説します。
- 運用するためには一定の技術的なスキルが求められる
- 従量課金であるため費用対効果が予測しづらい
運用するためには一定の技術的なスキルが求められる
AVD を運用するためには、 Azure 環境で仮想デスクトップサービスを実行する仮想マシンや管理コンポーネントを設定する必要があります。技術的な IT スキルが求められるため、スキルを持った人材の確保や設定を行うサービスを提供する外部への委託が必要となり、中小規模の組織では導入のハードルが高いとされています。
従量課金であるため費用対効果が予測しづらい
AVD の利用料金はリソースを使った分だけの従量制課金制です。そのため、初期の段階で費用対効果が予測しづらい点が AVD の課題です。適切なスペックや費用を算出するためには一定の PoC 期間が必要な場合があります。
料金体系
AVD の料金体系は、ユーザ数やスペック、稼働時間に応じた従量課金制です。 AVD の料金は、以下の要素によって変わります。
- 利用ユーザ数
- ホストプールタイプ(シングルセッション / マルチセッション)
- 仮想マシンの必要なスペック
- OS のディスク( HDD / SSD )
- Windows 10 のライセンス
- その他オンプレミスとの接続( VPN や Express Route による接続)、オプションの有無など
4.Windows 365 と AVD の比較
これまで、Windows 365 と AVD の概要、メリット / デメリットを解説してきました。ここでは、両者を比較して見てみます。
比較項目 | Windows 365 | AVD | ||
---|---|---|---|---|
Business | Enterprise | |||
環境 | ユーザー数 | 1~300 | 無制限 | 無制限 |
セッション形式 | シングルセッション | シングルセッション | マルチセッション | |
オンプレミスとの接続可否 | × | ○ | ○ | |
AD 参加 | × | ○ ( ADDS は別途追加が必要) |
○ | |
Azure AD と AD 同期要否 | 不要 | 任意 | 任意 | |
ネットワーク | パブリック | Azure 上で自由に構成可能 | Azure 上で自由に構成可能 | |
通信料制限 | あり( 20 ~ 70 GB / 月)※1 | なし | なし | |
RDPポリシー制限 | 不可 | 可能 | 可能 | |
稼働時間 | 24 時間 365 日 | 24 時間 365 日 | 稼働時間を自由に設定可能 | |
Cloud PC | スペック | 決められたプランから選択 | 決められたプランから選択 | 自由に選択可能 |
マスターイメージの利用 | × | ○ | ○ | |
マスターイメージのカスタマイズ可否 | × | ○ | ○ | |
必要なライセンス | Azureサブスクリプション | 不要 | 必要 | 必要 |
Microsoft 365/Windows 365 | Windows 365 出典:※1 |
Window 365+ 下記のいずれか
Microsoft 365 BP / E3 / E5 / F3 / A3 / A5 出典:※1 |
下記のいずれか
|
|
料金 | 料金体系 | 月額固定 | 月額固定 | 従量課金 |
料金例 | 5,570 円 ユーザ / 月 < Business Standard > 2 vCPU 8 GB RAM 128 GB ストレージ
|
5,570 円 ユーザ / 月 < Enterprise Standard > 2 vCPU 8 GB RAM 128 GB ストレージ
|
3,079 円 ユーザ / 月 2 vCPU 8 GB RAM 128 GB ストレージ
|
|
料金計算ツール | https://www.microsoft.com/ja-jp/windows-365/cloud-pc-chooser |
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/calculator/?service=virtual-desktop |
||
初期導入コスト | 小 | 中 | 大 | |
ランニングコスト | 中 | 大 | 大 |
※出典1 よく寄せられる質問
※出典2 Azure Virtual Desktopライセンスガイド
※出典3 仮想マシンを使用したWindows デスクトップ オペレーティング システムのライセンス
5.まとめ
本記事では、Windows 365 と AVD のサービスを比較し、それぞれに適した環境について紹介しました。
Windows 365 はクラウド PC として位置付けられ、手軽に仮想デスクトップサービスを始められるというコンセプトに基づいています。 AVD も同じく仮想デスクトップサービスですが、 VDI ( Virtual Desktop Infrastructure )というクラウドサービスにより基盤を提供するという点が、 Windows 365 との根本的な違いと言えるでしょう。
近年、働き方改革やテレワークの普及、デバイスの多様化に伴い、様々な仮想デスクトップサービスが登場しています。今回ご紹介した Windows 365 と AVD は、Microsoft 365 など既存の Microsoft サービスと高い親和性があり、既に Microsoft 製品・サービスを利用中であれば、業務効率化や生産性の向上が期待できます。ぜひ専門家の支援を受けながら、導入を検討してみてください。
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