Azure Managed Service Column ＜Azure運用コラム＞Azure Mapsとは？Azureにおける地理情報サービスの概要と利用シーンについて詳しく解説

地理情報とは？どのようなシーンで活用できる？Azure上での活用方法を解説

デジタルトランスフォーメーション（ DX ）の潮流が加速し、 IT ・クラウド技術がビジネスの現場において重要な役割を果たすようになっています。

中でも、地図や位置情報を活用したサービスが注目されています。これは、リアルタイムの位置情報や地理的な分析が、物流、販売、マーケティングなど、多くの業務において有用であるためです。

一方で、地理情報を活用したシステムを一から構築するには専門的な知識と時間が必要で、ハードルが高いという課題もあります。

そこで、マイクロソフトでは、 Microsoft Azure 上で地理情報を活用するためのサービス、 Azure Maps を提供しています。本記事では、 Azure Maps の概要から利用シーンまでをわかりやすく解説します。

1. Azure Mapsとは

Azure 上で地理情報を活用するためのサービス、 Azure Maps とはどのようなサービスなのでしょうか。まず、 Azure Maps の概要と料金体系について解説します。

Azure Mapsの概要

図版出典：Microsoft公式サイト

Azure Maps は、最新の地図情報を活用して、 Web アプリケーションやモバイルアプリケーションに対して地理的な情報を提供するための一連の地理空間サービスおよび開発ツールキット（ SDK ）です。

Azure Maps では、 Web と Android 用の SDK が提供されており、この SDK を利用することで、開発者は地図データや位置情報、目的地までの検索、交通情報など、Azure Mapsが提供する地理情報に関連したサービスを、自分たちの Web サイトやモバイルアプリケーションに組み込むことができます。

Azure Mapsの料金体系

Azure Maps の料金体系は、利用した分だけ課金される従量課金制となっています。 Azure Maps Gen1 と Azure Maps Gen2 の 2 つの価格レベルが設定されていますが、 Gen1 は旧世代の価格体系であり、サービスに制限や、コストが劣る場合があるため、 Gen2 を選択することが強く推奨されています。

なお、 Azure Maps が提供するサービスにはそれぞれ無料枠が設定されており、無料枠を超えた分が課金される仕組みとなっています。Azure Maps の料金体系の詳細は公式サイト（※1）を参照してください。

2. Azure Mapsの主な機能

Azure Maps は地理に関する様々な情報をサービスとして提供します。ここでは、 Azure Maps が提供する主な機能について解説します。

Data Service（地理データのアップロード）

Data Service は、空間演算や画像合成で使用する地理空間データをアップロードし、クラウド上に格納するためのサービスです。大量の地理データをクラウド上にアップロードすることで、処理パフォーマンスと生産性向上が期待できます。また、必要な時にデータの分析を行うことも可能となります。

Geolocation Service（位置情報サービス）

指定した IP アドレスから国及び地域コードを取得するためのサービスです。指定した地点の地理情報に基づき、周辺の地理のビジュアル化や、ルート案内・交通情報の提供などを行うアプリケーションの開発に役立ちます。

Render Service（地図の描画）

ユーザーが Web やモバイルアプリケーションで見ることができる静的な地図画像や動的な地図タイルを生成するサービスです。 2D または 3D で線やポリゴン、記号などを使用してユーザーに視覚化した地理情報を提供することができます。

Route Service（ルート指定）

図版出典：Microsoft公式サイト

要求された各ルートの推定到着時刻 ( ETA ) を計算するためのサービスです。一般道や高速道路を使用したルート、交通状況を考慮したルート、さらには歩行者や自転車向けのルートなど、さまざまな条件に基づいて複数の地点間の最適なルートを見つけるための API を提供します。

Search Service（検索サービス）

開発者が住所、場所、名称などから位置情報を検索するためのサービスです。緯度と経度から住所などを逆引き検索することもできます。

Spatial Service（空間サービス）

空間データの操作と分析を提供するためのサービスです。位置情報に基づいて分析を行い、その地点の空間で現在発生している進行中の「イベント」の情報を取得することができます。

例えば、交通状況に応じた配送ルートの最適化や、不動産の価値評価を目的とした物件の周辺環境・発展状況の確認や、犯罪発生地点を特定して迅速な対応を計画するなど、様々なシーンで活用できます。

TimeZone Service（タイムゾーンサービス）

TimeZone Service は、特定の地理的位置に基づいてタイムゾーン情報を提供します。世界中の任意の場所の現在の日付と時刻を取得したり、特定の地点のタイムゾーンデータを調査したりすることができます。

Traffic Service（交通情報サービス）

図版出典：Microsoft公式サイト

Traffic Service は、リアルタイムの交通情報を提供するサービスです。リアルタイムで道路の混雑状況や、渋滞・事故など交通に関連する情報を取得することができます。

Weather Service（天気サービス）

Weather Service は、世界中の指定した地点のリアルタイムの気象情報を取得するためのサービスです。この情報には、観測日時、天候、降水量インジケーター フラグ、気温、風速情報が含まれます。

Map Creator Service（屋内マップの作成）

Map Creator Service は、建物の屋内マップの作成および描画をするためのサービス群を提供します。特定のビルや施設の屋内マップを作成し、それを他の Azure Maps サービスと組み合わせて使用することができます。

3. Azure Maps の代表的な利用シーン

Azure Maps は、地理情報を活用して様々な機能（サービス）を提供しますが、具体的にどのような利用シーンが想定できるのでしょうか。最後に、 Azure Maps の代表的な利用シーンについて解説します。

送電網の運用改善

Azure Maps を活用することで、風力、水力、太陽光発電所の位置情報と天候情報を一元化し、視覚化することが可能になります。 Azure Maps により、それぞれの送電網のデータの検索時間が大幅に改善され、資産管理タスクも自動化することができるなど、大幅な運用改善が期待できます。

物流・配送サービス

Azure Mapsは、物流・配送業界において、配送ルートの最適化やリアルタイムでの配送状況の監視に使用することができます。具体的には、 Spatial Service を使って、配送車両が特定の領域から外れた際の通知を行い、 Route Service を使用して最適な配送ルートを計算することができます。 Azure Maps により効率的な運用と優れた顧客サービスを提供することが可能になります。

スマートシティの開発

Azure Maps の利用シーンの1つとして、スマートシティの開発が挙げられます。都市開発者や行政機関は、 Azure Maps を使用して都市のインフラを効果的に管理し、市民の生活の質を向上させるための取り組みを行うことができます。

例えば、公共交通の現在位置や遅延情報をリアルタイムで視覚化し、市民に提供することで、市民は交通の状況をリアルタイムで把握することが可能になります。これにより、通勤や旅行の計画をより効率的に立てることができます。

また、 Azure Maps の Map Creator Service や Route Service を用いて、公共施設の屋内地図を提供することも可能です。これにより、市民は施設内で迷うことなく目的地にたどり着くことができます。

4. まとめ

本記事では、 Azure Maps の概要、主な機能、代表的な利用シーンについて解説しました。 Azure Maps を活用することで、地理情報を活用したさまざまなアプリケーション・サービスを構築することができるようになります。ぜひ専門家の支援を受けながら導入を検討してみてください。

Microsoft Azureを利用したシステムの設計・構築を代行します。お客様のご要件を実現する構成をご提案・実装いたします。

Tag： Azure Maps

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