Azure Managed Service Column <Azure運用コラム>

クラウドネイティブとは?主要技術や進め方を徹底解説

Category: 入門編

2025.11.24

クラウドネイティブを正しく理解してクラウドへの移行を推進しよう

クラウドネイティブとは、クラウド環境の特性を最大限に活かし、アプリケーションの開発や運用を行うアプローチです。マイクロサービスアーキテクチャ、コンテナ、サービスメッシュ、イミュータブルインフラといったクラウド固有の技術を組み合わせることで、柔軟かつ効率的なシステム運用を実現できます。

本記事では、クラウドネイティブの基本概念や構成技術、メリット・デメリット、導入の進め方について詳しく解説します。

1. クラウドネイティブとは?

クラウドネイティブとは、クラウド環境の特性を最大限に活かしてアプリケーションの設計、開発、運用を行うアプローチです。従来のオンプレミス中心の開発とは異なり、クラウドが提供するスケーラビリティ、柔軟性、自動化などを前提に設計します。これにより、俊敏で信頼性の高いシステムを構築できます。

2. クラウドネイティブを支える主要技術

クラウドネイティブを構成する主な技術は以下のとおりです。

マイクロサービス

マイクロサービスとは、従来のモノリシックなアプリケーションを、小さな独立したサービス群に分割して構築する手法です。各サービスを独立して開発、デプロイできるため、障害が発生しても影響を一部に留めやすく、システム全体への影響を防げるメリットがあります。

コンテナ技術

コンテナ技術とは、アプリケーションと、その実行に必要な環境を最小限にまとめてパッケージ化する技術です。環境差異をなくし、移植性を高められます。さらに Kubernetes などのオーケストレーションツールを使うことで、スケーリングや自動復旧を効率的に実現できます。

宣言型API

宣言型 API とは API ( Application Program Interface )の一種で、最終的にどうなってほしいかを記述する方式です。例えば、プログラムのマニフェストのように desired state (望ましい状態)を定義します。システムがその状態に自動的に収束するため、運用自動化や一貫性確保を容易にできる点がメリットです。

イミュータブルなアーキテクチャ

イミュータブルとは、サーバやコンテナそのものを更新するのではなく、新しいバージョンをデプロイして既存のプログラムと切り替える考え方です。イミュータブルなアーキテクチャを採用することで過去の状態に戻しやすく、構成の再現性が高まるため、安定運用につながります。

サービスメッシュ

サービスメッシュとは、マイクロサービス間の通信や認証、負荷分散をアプリケーションから分離して管理する仕組みです。複雑な分散システムにおいて、マイクロサービス間の連携や通信制御を簡素化できる点が特徴です。

3. クラウドネイティブのメリットとデメリット

ここでは、クラウドネイティブ化によるメリットとデメリットを解説します。

メリット

クラウドネイティブ化の主なメリットは以下のとおりです。

柔軟な拡張性と高い可用性を実現できる

クラウドネイティブ環境では、マイクロサービスやコンテナを単位としてシステムを構成するため、利用状況に応じて必要な部分だけを拡張・縮小できます。

さらに、サービスメッシュやイミュータブルなアーキテクチャを組み合わせれば、特定のコンポーネントが停止してもシステム全体の稼働を維持することが可能です。これにより、システムの拡張性と可用性を両立できます。

環境依存を抑え、運用を自動化しやすい

コンテナ技術を利用すると、アプリケーションと実行に必要な設定やライブラリをまとめてパッケージ化できます。これにより、開発環境と本番環境の違いによる動作トラブルを防ぎ、どの環境でも同じ状態で稼働させることが可能です。

また、 Kubernetes などのオーケストレーションツールを活用すれば、デプロイやスケーリング、障害対応などの運用を自動化しやすくなります。

デメリット

クラウドネイティブ化の主なデメリットは以下のとおりです。

学習コストが高い

クラウドネイティブを構成する技術は多岐にわたります。マイクロサービス、コンテナ、サービスメッシュなどの技術を理解したうえで連携させる必要があるため、開発者、運用者ともに新たなスキル習得が求められます。

設計・運用の再構築が必要

従来のモノリシックなシステムをそのままクラウドに移しても、クラウドネイティブの特性は活かせません。システムをマイクロサービス化したり、イベント駆動に作り直したりと、設計・運用には一定の工数とコストが発生します。

これらの課題はあるものの、クラウドネイティブ化は長期的には運用効率や開発スピードの向上につながる投資といえます。自社のリソースや段階に合わせて、段階的に導入を進めることが重要です。

4. クラウドネイティブ化の進め方

クラウドネイティブへの進め方について、Microsoft Azure のサービスを紹介しながら解説します。

1. 現状調査・アセスメント

既存システムの構成や要件、依存関係、運用課題を整理し、クラウド移行の可否や優先度を判断します。どのシステムがクラウドの特性を活かせるか、どの部分を作り直す必要があるかを見極めることが重要です。

<利用可能な Azure サービス>
  • Azure Migrate :オンプレミス環境の評価・移行計画支援

2. 目的・ゴール設定

クラウドネイティブ化の目的を明確化し、関係者間で合意します。目的には、コスト削減、システムのスケーラビリティ向上、開発スピードや変化対応力の強化などが挙げられます。

現状調査やゴール設定で整理した点を踏まえて、自社の要件に最適なクラウドサービスプロバイダーを選定することが重要です。

3. アーキテクチャ設計

マイクロサービス、コンテナ、イベント駆動アーキテクチャなどの設計方針を決め、利用するマネージドサービスを選定します。

<利用可能な Azure サービス>
  • Azure Kubernetes Service :コンテナオーケストレーション基盤
  • Azure Functions :サーバーレスでのイベント駆動処理
  • Azure Service Bus :メッセージング・イベント駆動設計

4. PoC(概念実証)実施

小規模なクラウド環境を構築して動作を検証します。 PoC を実施後、課題を洗い出すことも重要です。

<利用可能な Azure サービス>
  • Azure DevTest Labs : PoC 環境を迅速に構築

5. 実装・検証

設計に基づき構築を進め、クラウドネイティブアーキテクチャを実装します。テスト環境で動作、性能、セキュリティといった事項を確認し、本番移行に備えます。

<利用可能な Azure サービス>
  • Azure Container Apps :軽量なコンテナベースアプリ構築
  • Azure Container Registry ( ACR ):コンテナイメージの管理

6. 段階的移行・本番適用

サービス単位でクラウドネイティブ化を進め、影響を最小化しながら段階的に移行します。

<利用可能な Azure サービス>
  • Azure Site Recovery ( ASR ):本番ワークロードをダウンタイム最小で移行
  • Azure Deployment Environments :チーム単位で安全な環境デプロイを実現

7. 運用と改善

モニタリングやセキュリティ対策を行い、改善活動を継続的に行うことで信頼性を高めます。

<利用可能な Azure サービス>
  • Azure Monitor :統合的な監視・ログ分析
  • Microsoft Defender for Cloud :セキュリティ強化
  • Azure Policy :ガバナンス・コンプライアンスの適用
  • Azure Advisor :パフォーマンスやセキュリティの改善提案

5. まとめ

クラウドネイティブとは、クラウドの特性を活かしてアプリケーションを設計・開発・運用する考え方であり、マイクロサービスやコンテナ、サービスメッシュなどの技術が基盤です。

クラウドネイティブ化のためには、適切な設計と導入計画が欠かせません。自社の状況に合わせて慎重に移行を進め、その効果を最大限に発揮させましょう。

クラウドネイティブ化を検討する際は、豊富な知見を持つ Rworks に相談することで、安全かつ効率的な実現が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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